17・ココアも進化に向けて頑張ってみた
「『羽矢』、『羽矢』!、『羽矢』!!」
目の前でココアが『羽矢』を撃ち続ける。
今日は、ココアの進化について試していた。
方向としてはなまけものと同じで、とにかくスキルの使用回数を上げ続け敵を倒す。
問題はココアの攻撃力が低いこと、『羽矢』一発では大してダメージが入らないのだ。それに意外と冒険者は避けてくる。最初の数発は当たっても、徐々に見切ってくるのだ。
なので1対1で戦わせると物凄く時間がかかる。
動き回られると面倒なので、冒険者には磔状態になってもらった。
『ぐぅっ、きさま、ぐっ! ら、ひきょ、痛っ、うだ、うっ! ぞ』
「知っ、るかっ! おれっ、だってっ、嫌っ、だ!」
絶え間なく『羽矢』が当たるため、何言ってるかよく分からない。
ちなみにもう一つの声は拘束係のなまけものだ。
背の高さが冒険者よりも高く、力も強いので適任なのだ。ついでに防御力も高いし冒険者に殴られても事故率が少ない。
磔にされた冒険者はココアの『羽矢』の的としてただ受け続けてもらう。これで多少の時間短縮にはなるだろう。
拘束係のなまけものにも流れ弾が当たっているが、フレンドリーファイアはノーダメなので気にしない。
『も、うっ、もうや、ぐっ! めて!』
「はたから見たら虐めね・・・」
「確かになぁ・・・」
横を通り過ぎるプレイヤーが皆ドン引きしている。
周りの目が冷たいのでそろそろやめたい。でもまだHPが少しあるんだよな。
早く終わって欲しい。
出来れば通報される前に終わって欲しい。
「ココアまだ~?」
「まだぁ〜。・・・あ!」
「来たか!?」
「あっちから冒険者来た~」
そっちか・・・。
磔状態の冒険者が叫ぶので、声を聞いた冒険者が寄ってくる。邪魔なのだが、経験値稼ぎには丁度良い。
なので僕とユウさんで寄ってくる冒険者を排除している。
「早く終わって欲しいけど、探す手間が省けるからなんとも言えない」
「そうだけど、4人相手に2人ではキツい」
まぁキツいで済むのはユウさんのお陰だけどね。進化して剣が振りやすくなったのと、冒険者(磔中)のロングソードを手に入れたおかげで、他の冒険者相手に無双している。ロングソードを両手で構えた姿は完全にサマになっている。
僕が1人毒殺してる間に3人倒してるから、自分がちょっと頼りなく感じる。
今回も頑張ったけど、結果は同じだった。
「あ、レベル上がった」
「あ、僕も」
となるとあっちの2人も上がっただろう。これで進化先が出れば良いんだけど・・・
「『羽矢』、『羽矢』・・、『羽矢』・・・・疲れた」
「俺も疲れた・・・」
あっちでは2人が消えていた。こっちが冒険者を倒している間に倒したようだ。
地面に倒れ込んでいる。
動きそうにないので、寄って状況を聞いてみる。
「大丈夫か?」
「喉渇いた・・・気がする」
「俺の頭穴空いてね?」
「それは大丈夫よ。それよりこっちはさっきレベル上がったけど・・・そっちはどう?」
「えーっと・・・お、上がってる。あ、進化できる!!」
「私も! やったー!!」
2人でイエーイとハイタッチ。
なんか楽しそうだな。
「私たちもする?」
「そうだな」
手はないので尻尾で小さくやってみた。