174・階段守護者にからまれてみた②
「『双剣斬』」
「『縮地』、『火球』」
「なっ!? くっ・・・」
剣による2連撃。『縮地』で後ろに下がり、振り終わりを狙って火球を当てる。
剣でガードされたが、ダメージは少し入ったかな。
「くそっ、『縮地』持ちかよ!」
『縮地』を知ってるのか。
まぁスキルブック覗いたら載ってるし知っててもおかしくないか。寧ろ「チート、チート!」と言われなくて済むから知っててくれる方がありがたい。
スキルとったすぐ後にPvPで使ったらチーター呼ばわりされたし。
あれ後で絶対通報されてたよな。
っと、今はどうでもいいや。
「チッ! 面倒な奴だな! さっさと死ねや!!」
「おっと、『縮地』」
「ぐふぅ!?」
相手は持っていないようで、走って突っ込んでくる。胴体ががら空きなので、そのまま『縮地』で体当たりし吹き飛ばした。やはりこれ当てやすいしカウンターもされにくいから使いやすい。反動ダメがちょっと痛いけど。
「『スケイルショット』」
「!? 『スケイルアーマー』!」
ギギギギギィン!
MS-5の鱗が緑色から黒色変色し、追撃の『スケイルショット』を全弾弾いた。どうやら鱗を強化して防御力を上げるスキルのようだ。一撃の威力が小さい『スケイルショット』ではダメージが入らない。
「あぶねぇ。弱い技で助かったぜ」
「僕の中では弱くないんだけどなぁ・・・」
重要な遠距離攻撃技なのに・・・。
あの『スケイルアーマー』、思った以上に防御力が上がるようだ。『火球』をぶつけてみたがこっちもあまりダメージがない。
となると近接攻撃しかないか・・・
「なんだ、もう来ないのか? それともさっきの雑魚技より強い攻撃が無いから攻撃できないのか?」
「・・・まぁそんなところかな」
「おいおいマジかよ。じゃあ俺の勝ちだな」
「そうかもな」
煽ってくるので適当に返す。
とはいえこのまま遠距離でいると勝てない。あのアーマーはどれくらいで効果が切れるのだろう。時間制限なら逃げ回ればいいだけだが、壊すまで無くならないパターンだと面倒だ。近距離攻撃をするしかないし。
助け来ないかな~と周りを見渡す。
ユウさんココア組は、ココアの魔法が有利属性なので優勢だ。あと少しで相手は死にそう。なまけものの方は・・・戦闘開始から何も変わってないな。
魔法を撃ち合ってはいるものの互いに回避し合っているせいで当たっていない。動くスピードが遅い分、なまけもののの方が大変そうだ。魔法を使う回数も少ない。
ちょっと加勢した方が良さそうだ。
「ちょっと待っててくれる?」
「は?」
阿呆な面をするMSー5を一旦放置し『縮地』で一気にLの後ろへと移動。相手は僕に気付いていない、1人でドヤりながらなまけものの攻撃を回避している。
「余裕余ーー」
「『猛毒牙』」
「ぎゃああ!」
久しぶりの『猛毒牙』。『毒双斬』でもよかったんだけど、こっちなら確実に毒状態に出来るから後の戦闘が大分楽になる。
Lが腕を振るったタイミングで離れ適当な距離を取る。Lはこっちを見ると、舌打ちをして周囲を見回す。毒が入っているからか若干顔色が悪い。
「MSー5は何してんだ!?」
どうやら僕をみすみす通したと思っているようだ。アイツなら・・・あ、こっち向かって走ってくるな。まだ『縮地』は再使用出来ないので、2人を視界に収めつつ『スケイルショット』をLに当てる。
「ぐぅぅうう」
ガードして『スケイルショット』をガードするL。しかし気にせず撃ち続ける。取り敢えず『縮地』が使えるまで抑えればいい。
おっと、MSー5が来た。じゃあ『スケイルショット』は止めようか。
「『風斬』!」
「『縮地』」
「なっ!?」
「なぁああ!!」
取り敢えずなまけものの横まで移動。
向こうでまた逃げられたMSー5がキレてる。そこへなまけものが『ダークランス』を撃ち込んだ。
タイミングが良いのでMSー5が突っ込むのを見て見計らっていたのだろう。『スケイルショット』の間に撃ってくれると思ってたのに中々来ないから、一瞬何してんだと思ってしまった。
「ナイス」
「こっちも助かった」
なまけものと一緒にニヤリと笑う。
「Lは毒らせたからもう放置でいいと思う」
「分かった。じゃあ2人掛でMSー5倒すか。隙作ってくれ」
「いいけどあの『スケイルアーマー』で結構防御力上がってるから1発じゃダメかもしれん」
「面倒くせっ。魔力セーブして戦ってるの、よっ」
Lの『アクアエッジ』が飛んできた。なまけものを狙い、ココアよりも大きめの水の弾が飛んでくる。なまけものは少し右に移動し躱す。
Lは・・・毒で死ぬにはもう少しかかりそうだ。『ダークランス』で大分減ってるからあと1分程度かな。
MSー5は・・・あ、こっち走ってきた。必死だなぁ。
「クソが! 死ねやぁ!!」
物凄い怒ってるなぁ。丁度走ってきてるし、転がそう。
『縮地』でMSー5のすぐ前に移動し、尻尾で足を引っ掛ける。そろそろ『縮地』の反動で体が痛くなってきた。後引っ掛ける際に思いっきり尻尾を蹴られたのでそっちも痛い。
「うぉおお!?」
ズザザァア!
・・・まぁ相手が転んだし良しとしよう。さて追撃追撃。
跳躍し、転んだMSー5の上空から攻撃を仕掛ける。が、前のめりに転んだMSー5はその姿勢のまま目だけこっちを向け、尻尾を振った。
「『毒双斬』」」
ギギィイン!
単純な尻尾によるなぎ払いかと思いきや、思った以上に威力が高い。単純にステータスの攻撃力が違うのだろう、『毒双斬』ごと弾き返された。しかもアーマーのせいでダメージも殆どない。
「アーマーが鬱陶しい!」
「『縮地』程じゃぁああああ!」
弾かれた僕と入れ代わるかのようのになまけものの『サンダー』がMSー5に落ちた。
次回更新は明後日の予定です