171・状況の確認をしてみた
オアシスへ死に戻り、ユウさんと合流。
「さて、どうしたものか」
「とりあえずレベル上げしかないわよね」
「・・・だよなぁ」
「「「はぁ・・・」」」
溜息が揃って出る。
40を超えレベルが上がりにくくなった今、50以上まで上げるのはかなり時間がかかりそうだ。どれ位かかるかを考えるだけでやる気が下がる。
今死んだのでレベルアップ直前まで溜まってた経験値も減ったしさ。
まぁそれは置いといて、さっきの戦闘の整理をしよう。
ユウさんは『雷斬』直後に攻撃を受け、よく分からないままやられたそうだ。視界外からの攻撃だったらしく、どんな攻撃かも誰からの攻撃かも分からなかったらしい。
たださっき聞こえた話の通りであれば倒したのは【断頭】で、一撃でユウさんの首を刎ねたとみて間違いないだろう。
スキルかどうか不明だが、ユウさんが一撃なら僕も一撃でやられるな。
「あと、あの子供に『雷斬』も躱されたわ」
「マジか・・・」
僕らから見た限りでは当たったように見えたんだが、そういえばくらった様子もなかったし、ダメージも入っていなかった気がする。逃げることを優先してたからHPなんて気にしてなかったわ。
「俺らは何かされたよな?」
「ああ。なんか腹痛くなって動けなかったな」
下痢した時のように痛く、殴られた感じはしなかった。
もしかしたらあの魔女っぽい人に何かされたかな。【呪われ人】って二つ名だから呪いでもかけられたかも。
「同時にやられたから範囲技かもしれんな」
「でもココアには効いてなかったよな」
「いやアイツに腹部なんてないし」
「お前だって腹ないじゃん」
「・・・確かに。・・・じゃあ幻痛か何かか? ダメージも無かったしさ」
「あ、そうなの?」
痛すぎて自分のHPは見てなかった。
「ところでココアは?」
「「ん?」」
ユウさんに言われ僕らは気付いた。
そういえばココアが居ない。オアシスの死に戻った場所から動いていないので、死んだならココアもここに出て来る筈なんだが。
「居ないな」
「まだ死んで無いんじゃね?」
「・・・というか僕ら死ぬとき居た?」
「・・・あれ?」
僕らが倒れた時には居たのは覚えてる。しかしその後は姿を見た記憶がない。
「死んだインフォはねぇし、まだ死んでないな」
「じゃあうまく逃げたんじゃない?」
「かもな。じゃあもうちょい待つか、オアシス来たら分かるだろ」
「そうね。ところで思ったんだけど・・・あれが強敵なの?」
「ん?」
「ほら、あのプライベートビーチに出てくる強敵の話よ。さっきの冒険者がそうじゃないの?」
「ちょっと待てよ・・・」と言いつつなまけものが強敵について書かれていた投稿を探す。すぐに見つけ、さっき見た画像を開いた。
それを見たユウさんが画像の数か所を指さして、
「ほらこの人の見た目とか、この武器とか、それにこっちの小さいのって多分【鬼の子】だと思うし」
「・・・それっぽいな」
画像は若干ぼかしてあるが、【断頭】が持っていた大きな包丁や、【竜紋】や【呪われ人】の見た目の特徴が見てわかる。【鬼の子】には見た目の特徴はないが、画像の4人のうち1人だけ小さいので多分こいつだろう。
まさか本当に居るとは・・・、デマじゃなかったか。
「しかし、強敵って言ってももうちょっと勝てそうな設定にしてほしかった」
「だよな。あんなのレベル50以上に上げてないと勝てねーだろ。推奨レベル45の海エリアに出すなよな」
「ほんとだよー! もー!!」
「「「!?」」」
急な声にびっくりして全員が声の聞こえた方向を向く。そこにはいつの間にかココアが居た。
「急に後ろから会話に入ってくんな。ビビるだろうが!」
「えー!? それが頑張って帰ってきたあたしに言う言葉!?」
「ココアは大丈夫だったの?」
「うん。うまいこと逃げてきた」
「どうやって?」と聞くと、ココアは飛んだり泳いだりして逃げたらしい。
僕らがやられるちょっと前、彼らが僕らの近くに来る前に上空へ逃げ、海に潜って戦闘エリアから離脱したそうだ。
彼らは飛んだり泳いだりできないらしく追ってはこなかったらしい。
「となると空中や水上に逃げりゃいいんだな。そこから遠距離攻撃すればいける」
「こっちの攻撃も当たんないから勝てないでしょ」
「あー・・・そだな」
奴らは高速移動をする。魔法や遠距離攻撃は真正面から撃ってもほぼ当たらないだろう。
ただもしもの時の逃げ道としては使えそうだ。飛んだり泳いだりできるのはココアだけだが・・・
「結局のところ普通に戦うしかないと思う」
「「「「はぁ・・・・」」」」
溜息しか出ないな・・・
次回更新は明後日の予定です