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今日も締めはゲームで  作者: 朝昼 夕夜
第4章 占拠戦
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168・墓場エリアに来てみた

遅くなりすみません

寒い。

祠に入り、目の前にあった階段を下りていると、下からの冷気で体が冷える。ブルりと体を震わせるとそれに気付いたなまけものがこっちを見た。


「寒いよな」

「ちょっとね」

「そんなポンタに残念なお知らせだが、下に行くほど寒くなるからな」

「・・・マジか・・・」


要らん情報を・・・

ただでさえテンション低いんだらさ、こういう時はテンション上がる情報を教えて欲しい。

例えば・・・個々の適正(適性)値上げたら此処の隠しエリアではこれが手に入るとか、さ。


「そんな情報あったら、真っ先に教えてる」

「だよな」


まぁ分かってたけどね。


とりあえずまずは地下1階。

広場へ出ると大きめの通路が前方と左右に伸びており、壁には穴が開いている。1つを覗くと中には棺桶がすっぽりと収まっていた。これ、全ての穴に棺桶があるのなら、この見える範囲でも凄い量の棺桶があることになる。

もはや壁=棺桶=死体、つまり死体で覆われたエリアと言ってもあながち間違ってもーー


「ちょっ・・ちょっとポンタ。そういう事言うの止めてくれない?」

「あ、ごめん」


どうやら声に出てたようだ。ドン引きしているユウさんに後ろから指摘された。

しかしこんな陰気なエリアだが、思った以上にプレイヤーが多い。この辺では僕らと同じように更に下へと行こうとする者、PvPをしてる者が居るが、一番多かったのは棺桶を漁っている者だ。


棺桶に何かあるのか?


よく分からないので、とりあえずすぐ横の穴に押し込まれた棺桶を引っ張り出してみた。時間が経っている設定なのか引っ張り出した時に凄い量の埃が舞い上がった。


「ちょ・・・何してるの?」

「え? 皆してるしちょっと確認」

「ちょ、ちょっと待って!」


ユウさんは慌てて僕から離れから合図をしてくる。そんなに怖がらなくても、周りがみんな開けてるんだからヤバい事はないだろう。


あ、単純に中を見たくないだけかな?

一応ユウさんから中身が見えないように立ち位置を変え棺桶を開ける。

するとすぐ傍になまけものが寄ってきて一緒に中を見だす。乗っているココアも同様だ。


「やるのか?」

「何が?」


何をやるんだ?

そう思いながらなまけものの回答を待たず、棺桶を全開にし中を確認。

入っていたのは予想というか想像通り、仰向けに横たわった骸骨で、何やら杖のような宝石が着いた枝を胸のあたりに持っている。それ以外特に変わったところは無い普通の死体だ。

つまんなーー


『キィィヤアアアアア!!』

「なっ!?」

「わっ!?」

「!? ひぃいいい!?」

「・・・相変わらずうるせぇな」


ガッと目の部分と杖の宝石が光り、何処から出てるのか髑髏が大声で奇声を発した。驚いた僕は慌ててその場から飛び退く。後ろではユウさんが頭を抱えて蹲ってた。


そんな僕らに対し、1人冷静ななまけものは少し距離を取ってから、


「ほらやるぞ」

「だから何が!? ん?」



1人冷静ななまけものにツッコむ時、足元が光っているのに気付く。棺桶を中心に大きな円の紋様が地面に描かれ、奇声を発している死体が飲み込まれていく。そして周囲から4体の鎧を纏い剣を持った髑髏が湧いて出てきた。


ああ・・・やるって戦闘の事だったのか。

どうやらこのエリアはあの棺桶を開けることで戦闘が出来るシステムらしい。


カタカタと骨格を鳴らしながら戦闘態勢に移る髑髏たち。マーキングしてみると、現れた髑髏全てが髑髏騎士と表示され名前は無く、レベルは40。推奨レベルと同じに設定されているのだろう、今の僕らだと余裕で倒せる。


「こいつら魔法に弱いからポンタたちはタゲ取って防御に専念してくれ。攻撃は俺やるわ」

「分かった」


なまけものに行こうとする髑髏騎士たちに『スケイルショット』で攻撃。攻撃対象を僕に向けて少し距離を取りながら戦闘エリア内を歩く。相手は動きが遅い上、遠距離攻撃手段を持ち合わせていないようなので、なまけものにタゲが移らないよう離れ過ぎずに移動するだけでよさそうだ。


ユウさんは大丈夫かな・・と歩きながらユウさんを見ると、1体の髑髏騎士を砕鬼でフルボッコにしている。かなり余裕が無いのか顔が怖い。


ちょっと手助けに行った方がいいな。

と思い動こうとすると、なまけものが首を振った。


「あんなに慌てるユウは珍しいしもうちょっと見ようぜ?」

「だよね。面白そうだし」

「お前ら・・・」


なまけものは、直ぐに僕がタゲを取っていた髑髏騎士たちを魔法で消して、ユウさんの髑髏騎士の戦闘を観戦しだした。

ユウさんが負けないと分かっているのだろう、2人してニヤニヤしながら慌てているユウさんを眺めている。


この二人は・・・まぁいいや、放っといて助けに行こう。

と思ったら目の前に『サンダー』が落ちてきた。ダメージは無いが目の前で急に光るのはびっくりする。

落とした犯人は言うまでもない。


「おい!」

「馬鹿、もうちょっと待て。今いいとこなんだばぁ!?」


なまけものが両手で×を作り、何もするなのアピール。

次の瞬間、そのなまけものに高速で飛んできた髑髏騎士が直撃した。直撃した衝撃で乗っていたココアもろとも吹き飛ぶ。


何事!?

と思って、髑髏騎士が来た方角を見ると、息の荒いユウさんが鋭い目つきでなまけものを睨んでいる。

砕鬼を振りぬいた体勢を見るに、髑髏騎士を砕鬼で吹き飛ばしたようだ。


「ったく、人が慌ててるのに一向に助けが来ないと思ったら・・・」


ユウさんはそのまま、吹き飛んで転がっているなまけものの傍まで行くと、両手で砕鬼を振り上げる。


「わ、悪かった。悪かったって! ちょっと面白そうだから見てただけなんだよ」

「あ、あたしは止めようって言ったんだよ! なのになまけが」

「あ、ココアてめぇ。裏切る気か!?」

「煩い!!」


ギャァアアア!!

砕鬼が振り下ろされ、大きな音と共に2人の悲鳴が周囲に響き渡る。

何だ?と振り向きながら傍を通過する他のプレイヤーに僕は「煩くてすみません」と頭を下げつつ、自分は関わらないように遠くで見守る。


ユウさんは数分間徹底的になまけもの達を叩きつけた後、苛立ちからか砕鬼を引き摺りながらこっちへ来る。

殴られるのを覚悟していたが、大丈夫だった。


「さ、元凶は退治したから先行くわよ」

「酷い目にあったぜ・・・」

「・・・元凶生きてるぞ」


ユウさんの後ろから何事もなかったかのようになまけものが現れる。ゲームの仕様によりノーダメージだ。


「あら? 殴られ足りない?」

「足りてるし止めろ。言っとくが過剰な味方攻撃はBAN対象だからな!」

「チッ! 仕方ないわね」


ユウさんの態度が悪い・・・

こりゃ相当苛立っているようだ。


「・・・一旦帰るか」


このままだと楽しくない。

ユウさんには一度気分転換してもらおう。

次回更新は明後日の予定です

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