167・全員合流してみた
「あー! みんな此処にいたー」
「おー居るぞー」
何も知らないココアが満面の笑みで寄って来る。とりあえずさっきの話は保留しいつも通り接する。なまけものを見ると「プライベートビーチの話はするなよ」と目で言ってきた。
言われなくてもするつもりはないが、僕とユウさんは頷いて了解の意を伝える。。
「何してるの?」
「休憩。これから墓場エリアに行こうと思ってな」
「え、聞いてないんだけど?」
「そりゃそうだろ、ユウが来る前にポンタとそう話してたんだから」
え、そうだっけ? なまけものが1人で行くんじゃなかったっけ?
というか墓場エリアなんて行きたくないんだが?
そうか!
なまけものの奴、1人で行くのがキツイからってこのタイミングで僕らを墓場エリアへと連れて行くつもりだな?
聞く限り面倒そうなエリアなので気分が乗らない時に行く気は無い。
「僕的には火山エリアの方がいいかな。レベル足りないけど適正値上げに行っておきたいし」
「そう? なら私も火山にしよっかな」
「何ぃ!?」っとなまけものが顔を変える。
ふっ、バカめ。ユウさんはオカルトがダメだ。だから火山エリアと墓地エリアなら火山エリアを選ぶのは想定済みだ。
「おいおい! さっき行くって言ってたじゃんか!」
「言ってねーよ!」
「2対1ね。じゃあ火山に行きましょ」
「えー!? 火山は暑そうだからやだよ~」
「ふふふ、これで2対2だな」
「墓地も嫌!」
「何ぃ!? じゃあココアは何処行きたいんだよ!?」
あ、なまけの馬鹿!
そんなこと聞いたら・・・
「海行こ海! せっかくプライベートビーチ取ったんだからさ~」
ほら、そうなった。
「いや・・・海は昨日行ったじゃん」
「プライベートビーチ取ったんだよ。使わなきゃ損じゃん~」
「でももう奪われてるかも・・・」
「なら取り返しに行こー?」
なまけものが返答するたびにココアが行こうとする。この感じだとバレるまで時間の問題なので隠すのをやめた。
「ココア、実はなーー」
ひとまず分かっていることを全部話し、現状だとプライベートビーチでゆっくり出来ない旨を話す。ココアは最初怒って行こうとしたが疲れるだけだと止めた。
「じゃあどうするのさ!」
「とりあえず収まるのを待つしかないな」
「えー・・・」
ココアのテンションがみるみる下がっていく。どうやら今日もあそこの入江でのんびりする予定だったらしい。
「墓場も良いぞ」
「良くない! あーあ、せっかく昨日見つけた海の底にある穴に行ってみようと思ってたのにー」
「今日は我慢するしかないわね」
「分かったー・・・」
テンション低めのココアを連れて移動を開始。
明らかに気になるワードが出たんだが今はスルーしておこう。聞いたら「行こう」と言われそうだし。
「で? 何で墓場エリアなんだよ!!」
「良いじゃねーか! 一度くらい行こうぜ?」
「「「えー・・・」」」
「一度くらい行ってくれてもいいだろ・・・」
なまけものがすがって来るのがウザいので折れた。まぁ1度は行こうと思ってたので丁度いいかもしれない。
墓地エリアか・・・確かなまけものの話だと、髑髏が襲って来るんだっけ?
しかしエリアに入ってみると辺りには髑髏どころか何も無かった。目の前にポツンと石で出来た祠が1つあるだけ。あ、そういえば地下墓地とか言ってたっけ。
「え・・・ここ・・入るの?」
「そうだぞ」
明らかにボロボロで何処かカビ臭い感じの祠を指差してユウさんが嫌そうな顔をする。既に回れ右をしそうな感じで帰りたそうだ。
この祠、晴れた日の昼ならただのボロい祠だが、夜でステージ全体に霧が立ち込める演出のせいかすごく不気味に見える。今にも何か出てきそうだ。
ギギィ~・・・
「ヒィ!?」
近付くと祠のボロい木の扉が1人でに開く。それに合わせてユウさんがビクッとして後ろに下がる。
「ユウさん扉開いただけだよ」
「わ、分かってはいるんだけど・・・」
そういう僕も小さくビクッとしたのは内緒だ。しかしユウさんのこの感じ、ホラーは全くダメそうだな。妖怪類の魔物は何ともないのに・・・
アレかな? 雰囲気がダメなのか?
「一応エリアは此処から入った地下なんだが・・・大丈夫そうか?」
「あたしは余裕」
「い、一応・・・」
「僕はまぁこの程度なら」
この手の雰囲気ならよくゲームに出て来るからな。昔嫌々進んだあの腐った谷のステージをクリアした僕ならこの程度は余裕よ。
あ、だからといってビビらないわけじゃないから。ビビってるじゃんとかのツッコミは無しでお願いします。
「まぁ無理になったら遠慮せず帰ってくれ。ポンタフォロー頼む」
「分かった」
いつもは助けてもらってるし今日くらいは僕が頑張ろう。
後衛よりも後ろに下がったユウさんを見てそう思った。
次回更新は明後日の予定です