166・状況を確認してみた
オアシスに戻り、ため息を吐いてぼーっとしていると、目の前にユウさんがやってきた。
どうやら今ログインしたようだ。
「なにしてるの、こんな所で?」
「いや何も・・・」
「ちょっと疲れたしなぁ。休憩中だ」
そして2人同時にため息を吐く。
あの後、ちょこちょこプライベートビーチに誰かが来るから逃げて来た。
誰かが奪おうとするとこちらの意志関係なしに戦いへと駆り出されるのでのんびり休むこともできない。2~3回戦った所で転移してきた。
どうせ僕らが居なくてもAIが相手するし、そもそもユウさん(AI)が居ればほぼ勝てる。あれ、水の弱点つかないと正直勝てる気がしない。
まぁそれは置いといて、さっきの事をユウさんに伝える。
最初は疑ったユウさんも自身のレベルを見て納得した。
「何で急にそんな状況なの? 昨日は誰も来なかったんでしょ?」
「よく分かんねぇ」
なまけものがお手上げポーズをする。
場所が入り組んだ洞窟の先なので、基本昨日のようにほぼ誰も来ない。仮に来ても戦闘するか否かで対戦する人は減る筈だが・・・
「狙われている?」
「そりゃそうだろうな」
なまけものが何を当たり前のことを言ってんだコイツは・・・と僕を見る。
いやいや、そういう意味ではなくてだな。
「こんな辺鄙な場所なのに来る奴多すぎると思わない?」
「そりゃ・・・確かにな」
「何かある・・・のかしら?」
「何か・・・ねぇ。プライベートビーチによってボーナスに差が出るとか?」
「いやそんな話は聞いたことねーけど・・・」
「じゃあたまたま?」
「にしては多すぎるぞ」
「あ、これだわ」
アレじゃないか、これじゃないかと言い合ってるうちになまけものがネットで何かを見つけた。
見つけた情報を僕らに見せてくれる。
見せてくれたのはSNSでの誰かの投稿。僕らが占拠したところをスクショで投稿している。
「なになに・・・強敵出現プライベートビーチ?」
そこには占拠後を記念して撮ったであろう写真、モザイクがかかってよく分からないが、何かが出現したと思わせるような写真、そしてこのプライベートビーチへの行き方の地図が載せられている。
ああ、この地図のせいでみんな楽々あそこへ来れるのか。
あの洞窟入ってみて分かったが入り組み具合が酷い。最初は大した事無いが徐々に分岐が増え、戻ろうにもどっちから来たか分からなくなるようにYの字の分岐で作られている。
Yの字の下から来れば分岐があると分かるのだが、上のどちらかから来た場合は分岐があるのか分かりにくくなっているのだ。
「え、何? もしかしてみんなこれ見てあそこ来るわけ?」
「そうっぽいな。というか強敵出現って何だよ。そんな話聞いた事無いぞ」
「デマじゃ無いの?」
「可能性はあるな」
常にネットを見て情報を集めているなまけものが知らないとなると、デマの可能性は高い。しかしデマにしては信じてる人多くないか。
「それな」と言ったなまけものは更にネットで色々調べている。今見てるのは、たまに柳先輩が仕事中見ているまとめサイトだ。どうやらなまけものも普段複数のまとめサイトをみて情報を集めているらしい。
「ん〜・・・けどどうもデマって訳ではなさそう。他の人も会ったって言ってる人いるし・・・」
「そうなのか?」
「ああ、しかもまた別の場所でな」
「となると出てくる場所は決まってないのね。今から行って奪ってくる人たちに言ってこようかしら、立て続けに攻められるとのんびりできないじゃない」
「そうだが言いに行くだけ無駄だぞ。出現情報がある場所には人が集まるからな、出現条件が確定しない限り言っても聞かないだろ」
「そうよね~」
この情報で経験値が入るのはありがたいが、せっかくのプライベートビーチなのに戦闘ばっかりだと落ち着けない。まぁ僕はあまりあそこでのんびりする気は無いけどココアは怒るだろうな。
となると場所を変えるしか・・・
「それもココア怒るぞ」
「だよなぁ・・・」
「もう放っといて奪われましたって言った方がいいかもね。そのあと理由を説明したらどう?」
「それが1番無難だろうな。まぁそれでもあそこ取り返そうとか言い出しそうだが・・・」
なまけものがため息を吐く。その様子が僕にも容易に想像できた。
放棄してもいいんだが、その場合バレるとココアが煩そうなので、とりあえず放置する事で合意。
後はさっさと誰かが奪ってくれるのを待つ事にした。出来ればココアがログインするまーー
ココア :ログインしました
来ちゃった・・・・
次回更新は明後日の予定です。