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今日も締めはゲームで  作者: 朝昼 夕夜
第4章 占拠戦
163/612

161・プライベートビーチを奪ってみた①

プライベートビーチの中心に黒い靄が発生する。靄は一か所に集まって形を変え、全身が少し黒ずんだ3体の魔物へと変貌した。当たり前だが、この3体が今このプライベートビーチを占拠しているパーティだ。

黒ずんでいるのはプレイヤーがオフラインだからだろう。


「あー・・・出てきたじゃんか」

「仕方ないわ。()るわよ」


なまけものがココアを掴んで下がらせ、僕とユウさんが前に出る。いつもの戦闘フォーメーションだ。

4人での戦闘は久しぶりだがいつもやってたことなので皆忘れていない。


名前:ナマコ

種族:ダーク・ウィルオウィスプ(5)

レベル:42


名前:ポッポちゃん

種族:デュラハンリーダー(5)

レベル:40


名前:龍馬

種族:カース・マーダーゾンビ(5)

レベル:40


マーキング結果から、強さは僕らとほぼ同等。4人いる分こっちの方が有利だが、レベルシンクが適応されているようなので、少しこちらのレベルが下がる。

相手は、顔のついた黒い火の玉、ユウさんと同じ位の大きさの首なし騎士、体中に真っ黒な斑点模様のある半分腐ったゾンビ。3体ともオカルト、ホラー系だ。


「よし、龍馬はなまけものに任せた」

「私もそれでいいわ。私は火に強いからナマコを担当するわね」

「じゃあ僕はポッポか。あ、ナマコは炎だからココアが攻撃したほうが早いかも」

「そうだね、分かった!」


各自の担当を決めてすぐさま動き出す。


「待てぇ!!」

「何?」

「なんで俺がゾンビなんだよ!」


押し付けられたなまけものが叫ぶ。僕らは一度互いを見て・・・


「気持ち悪い」

「触りたくない」

「臭そう」


それぞれ感想を述べた。

正直このゲームのゾンビってあそこまで気持ち悪いものだとは思わなかった。歩くたびに体液か何かが地面に落ちて蒸発し、腐って垂れた皮膚がぶらんぶらんと揺れる。肉が落ちた所からは骨が見えてるし、目玉もも片側が無い。

[リアル描写]オフにしててこれだと、オンにしたらどうなるのだろう・・・


「だからって俺に振るなよ! 俺だって嫌だよ。近寄りたくねぇよ」

「魔法で倒せばいいでしょ。動きなまけ並みに遅いんだし『エクスキューション』でも使えばすぐ終わるでしょ」

「・・・それもそうだな」


なまけものが納得したので戦闘再開。僕らは龍馬を避けるように移動を開始し、なまけものは言われた通り龍馬に『エクスキューション』の赤いレーザーを当てる。相手のAIはそれがどんな攻撃か分からないのか避ける気配は無いが、攻撃されている認識はあるのだろう。スピードを上げまっすぐなまけものへと向かう。


「こっち来たぁ!!」

「なまけ後何秒?」

「40秒! 頼む足止めしてくれ」


なまけものが逃げ回りながら頼んでくる。

ポッポちゃんへと向かいながら僕は龍馬の足へと『火球』を撃ちこんだ。反対側へユウさんが『風切』を当ててくれたので、龍馬はその場でこけた。

ゾンビだけあって起き上がるのにも時間がかかっており、このペースだと『エクスキューション』が間に合うだろう。後は放っておいても良さそうだ。


「・・・『身呪怨』」


ん? 今スキル使った?

何か声が聞こえたけど聞き取れなかった。何か起こりそうな感じもなさそうだし空耳だろう。

それに


「『呪剣斬』」

「おっと」


ぽっぽちゃんから飛んでくる黒い斬撃でそれどころでは無い。黒い『風切』のようだが・・・何か効果があるのだろうか。まぁ当たらなければ良いだけだし、気にすることもないな。


さて、そろそろ反撃だ。


「『縮地』」

「!?」


ドォン!

衝撃で体を曲げながらぽっぽちゃんが吹き飛ぶ。理由は僕が『縮地』でぽっぽちゃんに体当たりしたからだ。

最初は『縮地』を使って至近距離まで近付き『毒双斬』を使っていたけど、人によっては驚かずに反撃してくる。


どうしようかと悩んでいて時に、ユウさんが『雷斬』と同じようにしてみればと提案してくれた。聞くと『雷斬』は自分と移動先の間に相手を挟むように移動先を決めるそうで、間に複数の敵を挟むとその挟んだ分だけ攻撃できるらしい。ただそんなに固まって行動している相手が殆ど居ないので滅多に出来ないそうだが。


で、同じようにしてみたところ、この体当たりになった。

初見だとほぼ回避不可能で相手は転倒などの隙を作ることが多く、場合によってはカウンターにも使える為重宝している。

相手が自分より硬い場合に反動ダメージがあるけど。


「『毒双斬』」

「ぎゃあああ」


体当たりで空中に放り投げられた頭に『毒双斬』を当てると、機械の音声で棒読みの悲鳴を発する。

頭は弱点なのか『毒双斬』を受けて地面に激突した瞬間そのまま光となって消えた。


「よし! 終わり!」


さてユウさん達の手伝い・・・は要らなさそう。

ナマコは『アクアウォール』に閉じ込められ本来であろう頭蓋骨が、浮かんでいる水の立方体の中に沈んでいる。

アレ・・・恐らくリコさんが前に僕を助けてくれた時のことを見て思いついたのだろう。


相性もあるけどアレ泳げない魔物を取り込んだらもう勝ち確じゃん・・・、使い続けたら絶対文句出るやり方だしココアには控えるよう言っておかないと。


暫くしてナマコは水の中で光となった。


「ふぃー。終わったー」

「2人ともお疲れ」

「私何もしてない・・・」


龍馬はもう時間的に『エクスキューション』が発動しているだろう。これで終わりーー


「『ダークランス』」

「へ?」


急に足下が黒くなる。

直後明らかに僕を狙った『ダークランス』が地面から突き上がる。一瞬よく分からなかったが反射的に躱して正解だった。多少のダメージは受けたが致命傷は避けられた。


というか今の誰だ?

声的にはなまけもののようだったが・・・ダメージ受けたし違う筈。

まさか龍馬まだ生きてるのか?


龍馬は確か・・・あっちにいた筈。あれ? 居ない。

やっぱり倒したんだよな・・・

しかしそれだと戦闘終わってここを占拠できてる筈。それがまだということはやはり龍馬が生きてるとしか・・・。残り2人は消える所を見てるしなぁ。


「『サンダー』」

「!?」


足下の地面が光る。

さっきもだが明らかに僕を狙っている。すぐさま回避して声が聞こえた方を向いた。


しかしそこにいるのはなまけものだけだった。

次回更新は明後日の予定です

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