145・もう一度イベントに参加してみた
~日曜日 昼~
「なんか久しぶりだな」
「そうね」
今日は4人で隠しエリアに行こうかと思っていたが、揃ったと同時になまけものが「久しぶりにイベント行かね?」と聞いてきた。
元々難易度ノーマルを楽にする為にレベル上げを始めていた。あれからレベルを10以上上げ、推奨レベル30以上になった今ならちょうどいいかもしれない。
元々は山エリアへレベル上げをしに行っていたのに、時限エリアやら隠しエリアやらあって最近イベントを忘れてたわ。
とりあえず前と現状の強さ比べができるので僕はOKした。元々特に予定を決めてないのでユウさん達もOK。すぐにイベントエリアへと移動した。
「あれ? こんなに人少なかったっけ?」
いつもの草原エリアに転移し気付く。
最初は沢山居たプレイヤー達が、現在はまばらだ。日曜日だし人多いと思ってたんだけど・・・、思ったよりも人が少ない。
疑問に思ってると、なまけものがため息交じり教えてくれた。
「大半のプレイヤーがもう飽きてるからな。今は余程イベントポイント欲しい奴しかいないぞ」
「ああ、そういう」
なまけものによると、今回の総力戦イベントはネット上を中心に不評らしい。参加したプレイヤーの質で戦況が著しく変わる上、やることも単調な為、繰り返すのが苦行というが一般的な意見だそうだ。あとハードがクソ難易度らしく、「調整ミスだろ」という声が多いそうだ。
「そんなにヤバいの?」
「聞いた話だと、推奨レベル50でも強敵は即死レベルの攻撃してくるらしい。レベル60でようやくまともにやれるとかなんとか・・・」
「60・・・、遠いなぁ」
そのレベルになるまでこのゲームやっているだろうか・・・
まぁハードは一部のガチゲーマー用難易度なんだろう。僕は参加しなくていいや。
カンカンカンカン・・・
「おっ、始まったな。準備良いか?」
「いいよ」
「どうぞ」
「はーい」
僕らの返事を聞いて、なまけものが門から飛び出してきた冒険者目掛け魔法を放った。
そして15分ほど過ぎて・・・・
「・・・あっさり終わったな」
「今回は楽だったわね」
前回苦戦したのが嘘みたいにすぐ終わった。
僕らのレベルが上がったことにより、強敵を除く冒険者との戦闘はすぐ終わり、強敵との戦闘でも苦戦することもない。
周囲も流石イベントポイントをずっと集めているプレイヤー達だ。動きに一切無駄のなく強敵含めた冒険者を一掃していた。下手に手を出すと邪魔になりそうだったので、彼らの攻撃タイミングに合わせて邪魔にならない程度にちょこちょこ戦闘させて貰ったが、それでも前回よりも早く終わった。これなら周回してもそれ程疲れはしない。
貰えるポイントも悪くなってなく、前回とほぼ同等で900程ある。
なまけもの達も結果に満足しているようで、
「この調子でもう一回行こうぜ!」
そして何度も繰り返した。結果・・・
「飽きた・・・」
5回目くらいでココアが早々にリタイア。
元々ココアは回復専門になりつつある為、戦闘時は回復優先の行動をする。が、レベルの上がった僕らがダメージを負う事がほぼなくなりすることが無くなった。最初はそれでも楽しんでいたようだが、繰り返す度にテンションが下がって動きが単調になっていき、リタイア直前には動くことすら止めた。
「どうする? まだやる?」
残りの2人に聞いてみる。
2人ともイベントの周回が苦痛だったのか若干疲れた顔に変わっている。恐らく僕も同じような顔をしているのだろう。
正直、同じことの繰り返しがしんどい。特に大量に湧く冒険者がしんどい。延々無双ゲームしてる感じがし、作業をしてるみたいで楽しくない。
こりゃプレイヤーが減るのも納得できる。
「俺ももういいわ。なんか飽きた」
「私もいいかな。緊張感無いとこのイベント面白くないわね」
「ほう? じゃあハードにでも行ってみるか? 超やべぇぞ」
つまらないと言うユウさんに、なまけものが悪そうな顔で提案する。
ガチ勢の戦闘がどんなのかに興味があった僕は了承。ユウさんもOKしたので3人で行くことにした。ココアは「その間散歩してくる!」と言ってエリアへと出かけた。
「よし、行くか! マジでヤバいらしいから最初から本気で行くぞ」
「はいはい、了解」
気合を入れるなまけものと一緒に僕らはハードのイベントエリアへ移動し・・・、開始5分足らずで負けた。
「あれ無理だろぉ!!」
一撃で倒されたなまけものはそう叫んだ。
次回更新は明後日の予定です。