143・隠しエリアに入ってみた
ユウ :じゃあお疲れ様
ポンタ :お疲れ
聞いた沼に行く途中ユウさんもログアウトしていく。気付いたら時間は11時を回ってた、マジでそろそろやめないとなまけものの言った通りになってしまうな。
「ここか?」
思ったよりも遠かった。
十数分程ダッシュで移動して大きな沼の前まで移動する。といっても周辺が既に冠水しているので実際は大きな沼の中一部に辿り着いただけかもしれないが。
その場所はここですよと言わんばかりにあからさまな草のサークルがあり、中央部に小さな渦が発生している。もうあそこの下に穴空いてますとまるわかりだ。
濁ってて底見えないけど、あそこが隠しエリアの入口なのだろう。
「・・・入った瞬間泥だらけか・・・」
普通に考えたら分かることだが、沼の底に行くってことはこの泥の中に潜る必要があるわけで・・・。足程度なら何とも思わないようになったけど、流石に頭を突っ込むのは・・・ゲームだとしても躊躇う。
とはいえここまで来ておいて入らないのもなぁ・・・。
「っし、行くか!」
自身を奮い立たせ、沼に飛び込む。そのまま渦の場所まで泳いでいくと急に体が引き込まれ始める。
「いいぃ!?」
慌てて戻ろうとするが、引き込む力が強い。恐らく一定範囲まで近付くと吸い込まれるようになっているようだ。尻尾から順にホースで吸われるように沼へと引きずり込まれる。顔が浸かる直前に息を止めて目を閉じた。
直後、僕は全身沼の中へと引きずり込まれた。
数秒水の中で流されるような感覚に陥った後、浮遊感を感じ目を開ける。
空中に放り出されてた。
上も下も暗くて見えない、大きな縦穴の中央に僕は居た。
「は?」
まさかの状況に呆然としている間も物凄いスピードで落ちていく。慌てて羽をばたつかせるが意味は無く、急いで着地場所を探す。
「あれか!」
少し離れた場所に出っ張りを発見。4本の足をばたつかせ何とか出っ張りへと届いた。そして着地と同時に物凄い落下ダメージが入る。
「痛ったぁ・・・」
これでもう死にかけだ。恐らく何かのダメージで直ぐ死ぬだろう。ここが隠しエリアかどうかは知らないが、来るだけでこのダメージはキツい。こりゃ攻略する気なくなるわ。
「ココアが必須だな・・・」
来てくれるか分からないが、今度お願いしてみよう。
折角隠しエリアに来れたのだから少しでも探索していこう。出っ張りの部分には縦穴の壁に大きな亀裂が入っており奥へと行ける。暗いので良く見えないが恐らくこの先に進めということだろう。帰り道なんてないし。
初見殺しのトラップが満載だって話らしいので、注意しなーー。
カチッ・・・
「あっ」
2歩目で何かを踏んだ。目の前からワンテンポ遅れて頭上ギリギリを何かが飛んでいく。
どうやら床と連動したトラップのようだ。
「ぶなぁ!」
振り向いて何が飛んできたかは分からなかったが、棒状のようなものだったので矢か何かだろう。
しかし、この出っ張りにすらトラップ仕掛けてくるとかクソ過ぎる。場合によったら着地と同時にトラップが作動して死ぬこともありそうだ。
「これか?」
踏まないようにするため、どれが床のトラップかを確認する。暗くてよく見えないが、少し大きめの石がトラップのようだ。少し地面からはみ出しており、軽く触るとカチッと音がして凹んだ。
「あっ・・・」
また僕の頭の上を矢が飛んでいく。思った以上にスイッチが軽いな。というか触れるだけで勝手に作動するじゃん。これじゃあ踏まないようにどころか触れずに進まないといけない。
いけないのだが・・・
「よく見えないし。多すぎだろ・・・」
見える範囲でも、同じような石がそこら中にある。全部じゃないと思いたいが、どれがトラップか分からない。
全部避けていくしかないか・・・
次回更新は明後日の予定です