142・隠しエリアについて聞いてみた
「なんやて!? マジかそれ?」
「僕の仲間によるとそうらしいです」
「・・・あ、マジや。公式に書いてる」
「マジか!」
それなりに時間を費やし、目当てのパーティを見つけた。
彼らが関西弁で助かった。大声で関西弁を喋ってくれていたおかげでまだ見つけやすかった。なまけものの情報を伝えると、1人が公式サイトで確認してその情報を見つける。それを見た他のメンバーは「何やねん」と言いつつ食べていた葉っぱをペッと吐き出す。
「すまん、助かったわ。情報おおきに」
「さっき教えてもらったので」
ふぅ・・・これで良し。さて次はどうしよう。ここは他に何かないのかな?
「どしたん?」
「これからどうしようかなって、このエリア今日初めてなので・・・」
「そうなん?」
「でもここってオモロいのないよな? 隠しエリアあるけど」
「隠しエリア?」
「せやで。底無し沼から行けんのやけど、中のトラップが酷すぎて先進めんのや」
「何度もやり直せば行けるんやけど場所も遠いしめんどくさいねんな」
トラップかぁ・・・。そういえば前にココアが湖畔エリアの洞窟に行った時に、よく分からない何かで死んだとか言ってたけど同じものかな。
「何処にあるんですか?」
「エリア入口からこっちとは反対側に行けばええで。大きな沼に出るから入って中央まで行けばええねん。そしたら出れんようになって隠しエリアに行けるわ」
「注意やけど、入る場所ミスったら落ちて死ぬしな。気ぃつけや」
いやいや気いつけろと言われても・・・。
「入る時底見えるんですか?」
「沼やで? 見える訳ないやん」
「まぁ初見殺しやし。上手く入る場所はウチらもよう分からんし自分で探してな」
彼らも絶対大丈夫な場所は知らないようで、何度も繰り返してたまに行けるらしい。運良く行けてもその後も初見殺しトラップで阻まれるそうで全然先に進めないとのこと。挑戦するプレイヤーはたくさん居るらしいがトラップが多すぎるのかクリアできた人は見たことないそうだ。
クリア出来ている人はいると思うが思ったよりも根気が入りそうだ。
「ありがとうございます。ちょっと行ってみます」
「クリア出来たら教えてな!」
「・・・はぁ」
彼らは手を振ってそう言うが、連絡先も知らない彼らにどうやって教えたらいいんだろうか・・・。サーバー同じだし、またどこかで偶然会うかもしれないけど、その頃には忘れてそう。
・・・クリアしてから考えるか。
とりあえず一旦オアシスに戻って反対側に行ってみよう。
転移でオアシスに戻ると、数秒のズレでなまけものが戻ってきた。大分疲れたのか顔色が悪い。
「あれ? 帰ってきたのか?」
「・・・死んだ」
「ああ、そう」
元々墓地エリアの推奨レベルは40となまけもののレベルより高いから恐らく冒険者にやられたのだろう。
「そっちは?」
「隠しエリア教えて貰ったからこれから行くんだけど、さっきまで居た場所がエリア入口挟んで逆だったから一旦オアシスに転移してきた」
「隠しエリアかぁ・・・」
「行くか?」
「どうすっかなぁ・・・」
なまけものは「うーん・・・」と悩んでいる。
「まぁこっちも行ってどんなところか確認するだけだけどさ。今から攻略は時間的にキツイ」
恐らく行って、入って、死んで終わると思う。
そう言うとなまけものは顔の前で手を振った。どうやら止めとくようだ。
「今度にするわ。今日はもう寝る」
「分かった。お疲れ」
「お疲れ。会社へは寝坊すんなよ」
「わ、分かってるよ・・・」
ははは、と笑いながらなまけものはログアウトしていく。
まだ日曜日の事をつつくのかよ。こりゃ当分揶揄われそうだな。
ため息を吐きつつ僕はまた沼地エリアへと足を進めた。
次回更新は明後日の予定です