133・調査隊と戦闘してみた②
オドリスが消える寸前、攻撃を直感しその場で跳び上がる。直後ドラゴンの死体にオドリスの細剣が突き刺さる。
ブスッという音じゃなく、ドスゥ!!という音でその威力が強いことが分かる。
「『毒双斬』」
『躱した!? ぐっ!』
空中で尻尾を振り回しオドリスの横顔に『毒双斬』を当てる。オドリスはその衝撃で吹き飛び転ぶ。まさか当たるとは思ってなかったが、チャンスだ。ここぞとばかりに追撃する。
「『スケイルショット』」
『ふうり・・・、!? くそっ』
オドリスは技を使おうとして手に剣がないことに気付き、慌てて避ける。残念だが剣はまだドラゴンに刺さったままだ。このまま武器のない状態で・・あ、予備の剣あるのね。
使われる前に一撃くらい・・・
『『風流壁』』
ああ~使われた。オドリスの前で飛ばした鱗が弾かれる。
結局『毒双斬』一発当てただけか・・・
『ハァハァ・・・クソッ、俺としたことが。毒持ちだったとは焦ったぜ・・・』
毒が入っていたようで、オドリスは毒消しをその場で飲み干す。僕はその間にドラゴンに刺さった細剣の柄を折っておく。単に使えなくしたかっただけなのだが、お気に入りの剣だったのかオドリスの顔が豹変した。
『あの野郎!! 新調したばっかだったのに!!』
「あ、ごめん」
新品だったのか。
その割には簡単に折れたな。不良品じゃないのかな?
『許さん! 『フラッシュ・スピア』』
「おわっ!」
またオドリスが消えた。初期動作なのか少し屈むのが見えたので慌てて避ける。直後、一瞬で詰め寄ったオドリスの細剣が空を貫く。
「『猛毒ーー」
『『ラピッド・スピア』』
「いっ!?」
さっきの要領で攻撃しようと思ったのが間違いだった。オドリスは追撃で高速で連続突きを繰り出す。突きは振り回して当てようとした尻尾を正確に射抜き、最後の一撃でブチりと切れた。
「いったぁあ!」
まるで注射針をブスブス刺されたような痛みの後、一瞬強い痛みを感じる。だが我慢して僕はその場からすぐ離れた。
今の一撃でHPはもう無いに等しい。こりゃ負けたかな・・・。
涙目でオドリスを見ると、すぐ横で切れた尻尾がビタンビタンとまだ動いている。まるで蜥蜴の尻尾のようだ。
ついでにどうでもいい事だけど、切れた尻尾は自分の意思で動かせることを今知った。面白いけどいちいち切られるのもなぁ・・・、あ、トカゲって自分の意思で切れるんだっけ? 今度調べとこ。
ウネウネと尻尾を動かしてると、鬱陶しかったのかオドリスは横目で見た後に剣を突き刺して動きを止める。
『ふん。大きくても所詮トカゲか。気味悪い尻尾だな』
「ああ、尻尾がぁ!」
細剣で地面に縫い付けられた尻尾は大きな動きが出来なくなる。刺された後も小刻みに動いていたが、すぐに動かなくなった尻尾を見てオドリスはニヤリと笑う。
『次はお前がこうなる番だ。・・・ん?』
今だ!
オドリスが一瞬剣先をの方を向いた瞬間僕は突撃する。恐らくオドリスは剣を抜こうとしたのだろうが、抜き難くなるようによそ見をしている間に剣に絡みついておいてやった。
尻尾とはいえ重さもそれなりにあるので、その細剣でそのまま持ち上げるのは無理な筈だ。
『くそっ・・・、!? クソォ!!』
オドリスは突撃する僕と抜けない剣を交互に見る。
慌てて抜こうとしたせいか、細剣が真ん中付近で折れた。これで奴の武器は無い。
勝ったな!
「『猛毒牙』!」
オドリスは折れた剣を苛立った様子で遠くへ投げる。その間に跳び上がり上から喉元目掛けて『猛毒牙』を仕掛ける。相手の残りHPがどれくらいか知らないがこれで終わる。
『『ラピッド・スピア』ァア!!』
『猛毒牙』が当たる直前、オドリスが腰から短剣を引き抜いたのが見えた。直後連撃の前に僕の視界が暗くなった。
次回更新は明後日の予定です