131・広場についてみた
どうも調査隊が既に徘徊しているようなので周囲を警戒して何処にいるか探す。
「そんなに強いの? その調査隊って」
「うん。今のままだとほぼ勝てないと思う」
「でもそいつら探さないと辿り着けないんだろ?」
「僕はそうだった」
録画は全員見たが、あの録画ではマーキング情報は出ない。一応マーキングしたリーダーの情報は言ってあるが、山エリアではおかしなレベルなのであまり信じて貰えないんだよなぁ。
彼らの強さは前と同じだろうから普通なら離れるんだろうけど、最深部へ行くには彼らをつけたほうが早い。
魔力の濃いほうを感じ取れるのなら、探さなくてもいいんだけど・・・、ウチのパーティにそれが出来る人は居ない。
「なまけは出来そうな気がするけど無理なの?」
「無理」
「本当にその調査隊をつけないと分からないの?」
「そんなことないと思うけど、闇雲に歩くよりは早いかな」
「そうなのか、目印でもあれば良いんだがなぁ」
まぁ今闇雲に調査隊探してるんだけどさ。
「ねぇねぇ、こっち行こー? ほら魔晶石があんなに明るいよ」
「うん? おお、そうだな。ありゃ絶対甘いぞ」
まるで光に寄せられる虫のようにココアは光る魔晶石へと向かっていく、そして魔晶石に齧り付きちゅーちゅーと中身を吸い出す。そして次の魔晶石へと移動しまた吸い出す。
ああ、もう虫だわあれ。
「甘ーい!」
「おい俺の分残せ!!」
「ちょっと! 遠くに行っちゃダメよ!」
2人が魔晶石争奪戦を始めてしまったので僕らは慌てて追いかける。結構ドタバタしてるので調査隊にはバレてしまっているかもしれない。
「シャァ! これは俺が採ったぜぇ!」
「あ~!! あ! ・・・ポンタ、ユウちゃんこっちこっち!」
走るのをやめ、声のする方へと進んでいるとココアが戻って来て僕らを呼ぶ。慌てた様子なので何かあったかと思い急いで行くと例の崩落した広場に出た。
場所は違うけど、ちゃんとドラゴン(死体)も健在だ。
それを見せつけるようなポーズをしてココアがドヤ顔をする。
「じゃじゃーん! 見つけました~!」
僕は周囲を見渡すが調査隊は居ない。
まだ来てないのかもう帰ったのか・・・、どちらでも良いけど今のうちだ。
「ポンタ! この血を飲んだらレベルアップするんだよな?」
「ああ、そうだけど。言っとくけど血だぞ」
「んなことわかってるよ」
「見りゃ分かるよね」
「そうよね」
みんなで死体の周りの血をそれぞれの飲み方で飲み始める。相変わらず鉄臭い血の味だ。何度も思うがやっぱりトマトジュースの味にして欲しい。今度アンケートで送っておこう。
一気飲みは舌に宜しくないので徐々に鳴らしてから一度に飲む量を増やす。ふと横を見ると、他全員の動きが止まっていた。
「どうかした?」
「「「血!」」」
ペッペッと皆が嫌な顔で吐き出しながら叫ぶ。
「だからそう言ったじゃん」
「見た目の話だろ? 味までそのまんまとは思わないだろうが!」
「うー、折角甘いもの食べて口の中甘かったのにぃ・・・」
「レベルアップはするけどこれはちょっと・・・。ポンタ、よく飲めるわね・・・」
「まぁ何とか。こういう味のジュースと思えば・・・」
「ちょっと無理あるぞ。だがレベルアップ考えると仕方ねぇ・・・飲むか」
「そ、そうね・・・」
なまけものが再度飲み始めたのを見てユウさんも飲み始める。ココアは全然ダメなのか飲む気はなく血溜まりに浸かって休みだした。
「何してんの?」
「こうして全身から吸収する」
「いや・・・無理だろ」
「そんなことないよ、ちゃんとレベルアップしてるし!」
「何だと!? ・・・うわマジだ。レベル上がっとる」
どうも皮膚?から吸収しているのか飲まずともココアのレベルが上がっていく。試しになまけものも浸かってみたら同じようにレベルが上がった。
ただ飲むよりは増えるのが遅いようで、だいたい半分くらいのスピードだ。
時間はまだ余裕であるので全員飲むのをやめて浸かる。と言っても僕らは足を浸す程度だが。
足湯ならぬ足血だ。
しばらくの間雑談しながらのんびりする。
「こりゃ飲めない人への救済処置かな?」
「かもしれないわね。というか血を好む人っているのかしら?」
「ほぼいないと思うけど・・・」
吸血鬼でもあるまいし。大半の人は怪我した時に血を舐めるくらいだと思う。
「で、ポンタはそれ何齧ってんだ?」
「これ? ドラゴンの鱗。かなり硬いし食べたら防御力上がるかなぁって」
バリバリと鱗を噛み砕いてから飲み込む。進化して顎の力が強くなったのか鱗を砕けるようになっていた。相変わらず喉に刺さるけど、前よりは食べやすい。
気になったのか、ユウさんが周辺の鱗を手にとり裏と表を交互に見つつ、
「ふーん・・・1つ食べてみようかしら」
「言っとくけど硬いよ」
「そうね、噛めるかしら」
泥を払ってから端っこの方を齧る。が硬かったのかガチッ、と音がするだけでユウさんには砕け無かった。
「あ、ダメね」
特に残念そうな感じもせず、ユウさんはそれを後ろへと放り投げる。見ずに投げた鱗は放物線を描きながら飛んでいき、
『痛っ!』
何かに当たった。
全員が声に反応してそちらをみると、白い服を着た4人組が広場の入口付近に立っていた。顔はこっちを向いており、完全にバレている。
「マジか!」
「来るぞ!!」
僕らは慌てて立ち上げる、同時に調査隊は引き抜いていた剣を構えて突撃して来た。
次回更新は明後日の予定です