12・進化できるようになってみた
仕事が終わり、皆定刻にログイン。
そのまま、レベル上げの続きを開始する。
ここ数日はずっとレベル上げを続けているが、まだ10には届かない。現在ようやくレベル8で、9に必要な経験値の半分ほどが溜まっている。
『助け・・・て・・』
『マリナ・・・・許して・・く・・・れ・・』
『死にたくないでござる・・・』
後味悪いなぁ・・・
毒が回って死んでいく冒険者達は、死際に色々呟いて事切れる。
サラッと消えてくれたら良いものを・・・いちいち泣きながら死んで逝かないで欲しい。
どうせ復活するんだから。
ピコン♪
「ん?」
視界左上のメッセージ欄に新着メッセージが表示される。
ゲームの告知か?
システム:進化先がアンロックされました。進化可能です。
「マジで!?」
「おわっ! 急にどぉした!?」
急に大声を出したため全員がびっくりしてこっちを見る。近くにいたなまけものは距離まで取っている。
「どうかした?」
「ごめんごめん、なんか進化出来るようになったみたい」
「「マジで!?」」
距離を取っていたなまけものがすごい勢いで詰め寄ってきた。頭にはココアが止まっている。
「何したんだ!? レベルか?」
「近いし、知らんて。レベルは上がってないし違うと思うけど」
「じゃあ何したの~?」
「何も。いつも通り『毒牙』で倒しただけ」
変なことした記憶はない。
「じゃあ隠れ経験値のせいか」
「隠れ経験値?」
そんな経験値があるのか?
「隠れ経験値は総称だ。適正(適性)値や行動値、スキル使用値など、どこにいたか、何をしてたか等で溜める数値のな。これら全部ってプレイヤーは確認できないようになっている上、進化に影響してくるからそう呼ばれてる」
「へぇ~」
適正(適性)値:フィールドで行動すれば溜まる。これを溜めると、溜めたフィールドへの耐性値が高い魔物に進化出来る。
行動値:戦闘方法や普段の行動により溜まる値、この数値から今までの行動に合ったステータスの魔物に進化出来る。
スキル使用値:スキルの使用により溜まる値。ただ使用するだけでは溜まらない。使用値によりそのスキルが強化された魔物に進化出来る。
知らないココアとユウさんになまけものが説明する。
実際にはまだ隠れた経験値があるとプレイヤー内で言われているけど、運営から提示されているのはこの3つだけだ。
「で、で? 何に進化出来るの?」
「ちょっと待って。まだ見てない」
ココアは隠れ経験値については興味なさそうだ。進化先を教えろと物理的に突いてくる。
急かされる形で新着メッセージを選択した。すると進化先が表示される。
ポイズンサーペント:毒の威力が強化されたサーペント。毒に対しての耐性も強い。
「えっと、ポイズンサーペント・・だって」
「わ! すご〜い」
「普通だな」
「普通って言うな!」
確かに何の捻りもないけどさ。
戦闘時『毒牙』ばかり使ってたから、スキル使用値が進化可能値まで上がったんだろう。