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今日も締めはゲームで  作者: 朝昼 夕夜
第2章 初イベント
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106・カディスと戦ってみた②

『やるな・・・ならば仕方ない。こちらも本気でいかしてもらう!!』


HPが半分を切ったところで、カディスは大きく後退し距離を取る。そして言葉を発した直後、纏っていたオーラが赤黒くなり一段と大きくなった。


どうやらHPが半分切ったことによる行動の変化だろうが、このタイミングで変わるにはキツいかも知れない。

コイツとの戦いが始まってからプレイヤーの数も半分になってる上、魔法組も魔力が無くなっている者も増えてきている。なまけものもチャットで「魔力無くなった」と言っていたし・・・。


なまけものには戦力外通告を返し、こりゃ負けたかなぁと思う僕の視線の先で、カディスが次の行動に出る。


『『闇の引力』』


今度は『アビス』と違い黒いドーム上の空間が広がる。ここに来て新しいスキルかよ・・・と更にやる気が削がれそうになる。


「範囲が広いけど何の技かしら?」

「さぁ? ダメージは無いみたいだけど・・・」


見る限り黒いドーム内に居るプレイヤーにダメージは無さそう。しかし入ってしまったプレイヤーは皆慌てて外に出ている。ダメージは無いが恐らく何かあるのだろう。


僕はドームから出てきたプレイヤーに聞いてみる。


「あれ何?」

「わかんねぇけど、あの中入ると体が重くなって動き辛い。多分こっちのステダウン系かなんかかも。あんたも入らない方が良いぞ」

「了解。ありがとう」


お礼を言うとそのプレイヤーは「気にするな」言いたげに二っと笑ってカディスの方へ攻撃を仕掛けに行く。代わりにユウさんが僕に寄ってきた。


「分かった?」

「何か動き難くなるみたい」

「じゃあ入らない方が良いわね」


ということで、僕らは今まで通り、遠距離からの攻撃を続ける。とはいえ『溶解液』がドームの外からでは届かないので結局ドーム中に入るしかないのだが・・・。


ドーム内では膝まで水に浸かってるような動き辛さを感じる。体を動かそうにも空気抵抗?が強く、思うほどスムーズに動かせない。


「ごめん、いざってときは引っ張り出して」

「任せて!」


さっきよりも動き回り、かつ闇のドームが展開されてはいるがカディスの攻撃パターンは変わらない。狙われたら回避し、狙われてなかったら攻撃するだけだ。

しかし狙われた時、このドーム内だと咄嗟には動けないのでユウさんの判断でドームから引き抜いて貰うお願いをしている。


「調子どうだ?」

「回復要るー?」


戦力外通告を受けたなまけものが何故か寄ってきた。ココアはまだ魔力が残っているのか回復が出来るそうなのでお願いする。

ユウさんは未だにノーダメージなので断っていた。


「どうしたの? 何かあった?」

「いや、あそこに居ても出来ることないから」


どうやら魔法が使えないので直接攻撃するためにこっちに来たらしい。だが、魔法以外に遠距離攻撃が無いなまけものが直接攻撃するにはこのドーム内で至近距離まで近づかないといけない訳で・・・、ただでさえ足の遅いなまけものがこのドーム内を歩けるのか?


ユウさんも同じことを思ったのか、ドームとなまけものを交互に見て、


「此処に居ても出来ることないわよ」

「おいおい、そりゃ言いすぎだぜ。確かに魔法と比べると威力は微々たるものかもしれないけど物理攻撃も出来るぞ」

「いや多分カディスまでたどり着けないから」

「おいおい、いくら俺の足が遅いからって・・・」


意図を理解していないなまけものに僕はドームの中に入ってみろとジェスチャーする。笑いながらなまけものがドームの内へと足を踏み入れ、


「ぬお!? 何だこりゃ!? う、動けねぇ・・・」

「あはははは! なまけ何してるの!?」


動けなくなった。

いや実際には動けてるのだが、元々が遅すぎるためスローモーションみたいになっている。全てのモーションがスローになっていて見ている側としては面白い。

ココアが笑い転げる横で、ユウさんがため息をつく。


「やっぱりね・・・。ポンタですらかなりスピードダウンさせられているのに、動きが遅いなまけがカディスの所まで行けるわけが無いのよね」

「そういうことは先に言ってくれ!!」

「喋るスピードは遅くならないんだ・・・」

「残念そうな顔すんな!」


と、そんな時カディスがこっちを向いた。何度も繰り返しているのですぐさま『鎌鼬』が来るのが分かる。動こうとする前に同じく気付いたユウさんに尻尾を掴まれてドームから引き抜かれた。


「大丈夫?」

「うん。ありがとう」

「おい! 俺も引き抜いてくれ!!」


未だにドーム内でスローモーションを堪能しているなまけものが慌てた声で助けを求めてくる。しかし、既にカディスは『鎌鼬』のモーション中だ。ユウさんと2人で引き抜けば何とかなるだろうが・・・


「「ごめん」」

「あはははは!」


今からじゃもう遅い。僕らはなまけものを見捨てることにした。離れて行く僕らになまけものが「マジか!?」と言いたげな表情をする。


「おいぃ!?」

「なまけは防御力も高いから一撃位なら耐えられるだろ!」

「いやそんなの分かーー」


そう言った僕らが動いた直後、『鎌鼬』がなまけものに直撃した。



次回更新は明後日の予定です

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