105・カディスと戦ってみた①
名前:闇纏のカディス
職種:暗殺者
レベル:40
ランク:B
「「「「・・・・・」」」」
最後の強敵カディス。マーキングした僕らは一瞬言葉を失った。
カディスはイージーの時の最後にも出ていた強敵で、ドス黒いオーラを纏っている。褐色の肌や光赤い目も合わさってもはや人間の感じがしない。
「魔人と言われても納得出来そう」
「そりゃ魔人だからな」
あ、そうなんだ。
というかこのゲームで魔人って言ったら魔物側じゃないの?
「敵として出てくるのなら人間側なんだろ。強化人間的なポジションなんだろな・・・知らんけど」
「となると亜人系は人間側になるのかな?」
「そうだろうな。どうせこの亜人は筋力が強いとか、この亜人は特殊能力あるとか付けて出す予定なんだろな。さすがに普通の人間だけでは限界あるだろうしな」
「なるほど。じゃああの魔人もなんか特殊能力とかあるのか? 攻略法とかあるんだろ」
「すまん。その情報は持ってないわ」
「無いの!?」
僕が聞き返す前になまけものに乗ったままのココアが聞き返した。てっきりカディスの攻略方法も聞いていたのだと思ってたが・・・。
なまけものは、うーん・・・と唸ってから
「いや聞いたのは聞いたんだが、攻略法っていうほどのもんじゃなくてさ・・・」
「どんなの?」
「ひたすら殴れ、だそうだ」
「は?」
聞こえたけどボソッと言ったなまけものに聞き返してしまった。
「相手の攻撃を躱してひたすら攻撃する! それだけ!!」
という訳でとにかく攻撃することになった。相手がどういう攻撃をするのか分からないので、様子を見つつ数発殴る。隣にいるユウさんも様子を見ているのか『風切』を使って遠距離からの攻撃に専念して・・・あ、僕もそうしよう。
しかしラスボスとはいえ、プレイヤー全員で数分以上攻撃してるのにまだ4分の1しかダメージ入ってないとかキツいなぁ・・・
「! ポンタ下がって!!」
「え? あ、はい!」
『溶解液』を考えなしに撃ち込んでると、急にユウさんが言ってくる。反射的に下がった瞬間カディスが動いた。
『『アビス』』
カディスは闇のオーラを纏う身の丈近くある大剣を逆手に持つと、そのまま地面に突き刺す。するとカディスを中心に真っ黒な闇が円形に広がっていく。さっき僕がいた付近まで一瞬で広がった。
そしてその闇の上に立っていたプレイヤー達のHPを一気に消し飛ばした。
「いい!?」
「すごい威力ね・・・」
HPが満タンな人や、レベルが高いであろう人は生き残っているがある程度のダメージを負っている人は今の一撃で消えてしまう。我先にとカディスに群がっていた為、今の一撃でかなりのプレイヤーが消えていった。
飛んでいるプレイヤーはノーダメージなので攻撃判定は地面に足をつけている者限定らしいが、範囲攻撃であの威力はかなり危険だ。
「ユウさんありがとう!」
「気にしないで! 次行くわよ」
ユウさんに言われなければ僕もダメージを受けてたかもしれないのでお礼を言う。何でユウさんは来るのが分かったのか知らないけど助かった。
『アビス』の範囲を意識しながら僕は再度『溶解液』での攻撃を開始する。何度も『溶解液』がカディスにかかるがオーラで威力が下げられているのか効いてる気がしない。
溶けもしないし。
『・・・邪魔だな・・・』
「あっ、ヤバッ!」
『『鎌鼬』』
バシャバシャぶっかけてると目が合った。直感で真横に移動し始める。数秒遅れで僕の居た場所を闇のオーラを纏った複数の斬撃が地面を削りながら通過する。僕は回避できたが射線上のプレイヤーが何人か巻き込まれ消えていく。
オーラを纏っているし威力も段違いだがあれは『風切』の複数版だろう。ユウさんが欲しそうに見ている。
「やっぱり遠距離攻撃も持っていたかぁ・・・危なかった」
カディスはその後、『アビス』と『鎌鼬』を使い分け攻撃を繰り返す。僕らは狙われたときは回避に専念し、
逆の場合は僕らが攻撃に専念する。
「躱してひたすら攻撃する・・・、結局これが1番簡単なのね」
必死に躱す僕の横でつまらなさそうにユウさんがぼやいていた。
次回更新は明後日の予定です