101・難易度ノーマルに挑戦してみた②
「『毒斬』」
「『紋切』」
『ぬぅ!?』
僕とユウさんは他のプレイヤーと対峙してガラ空きだったドースの背中に攻撃を入れる。クリーンヒットしたにもかかわらずHPが少し削れ程度で毒は入らない。
「効いてない!?」
「違う。HPが多いからそう見えるだけ」
現に僕ら含めて十数体で攻撃しているのに減るスピードが遅い。イージーの時はバカみたいな速さで減ってた上、魔物の攻撃でのぞけてたのに、今回はスパアマ状態なのかのぞけることもせず盾を使って攻撃し続けている。なので何も気にせず攻撃していた他のプレイヤーがちょくちょくシールドから出る謎波動で吹き飛ばされる。
「げっ! こっち向いた!」
「避けるわよ」
『『ショックウェーブ』』
ドースがこっちを向いたので僕とユウさんは斜め後ろに下がってシールドから直線状に放たれる衝撃破を躱す。ドースは大盾を持っているため、衝撃波の範囲が大きいが直線攻撃のようなのでまだ躱しやすい。
『!? おおっ!!』
僕らが躱している間も他のプレイヤーが後ろに回って攻撃し続け、なまけもののような魔法が使える魔物は遠くから魔法撃ち続けている。なのでドースは僕らが躱したことを気にも留めず、すぐさま後ろを向いてもう一度『ショックウェーブ』を放つ。
僕らはその隙に後ろに回って、再度ドースを攻撃する。で、こっちを向いてきたらまた躱す。それの繰り返し続けている内にドースのHPは底をついた。
『おの・・れ・・・』
ドースは持っていた盾を落とし、地面に倒れて消えていく。同時にドースを中心に展開していた『シールドエリア』が消えた。
結局何だったんだろう・・・
「結局袋叩きになるのね」
「まぁ多勢に無勢だから・・・。ドースは全方位攻撃が無いみたいだし囲んだら簡単だね」
「そうね。で、次は・・・」
なまけもの :レナスはもう終わりそうだから次ジャンの方に行ってくれ
「・・・だって」
「了解。ジャンは何処かしら?」
「あそこ」
僕がジャンの方に向けて走り出し、ユウさんが続く。ジャンは囲まれないように移動しながら戦っているため思ったよりも遠くに居た。ヒットアンドウェイの戦法を取っているらしく他のプレイヤーは中々攻撃が出来ないらしい。
それに刀身や体からオーラがまだ見えているのでまだバフスキルの効果は続いているようだ。
「HPは半分切ってる。このまま一気に行くわよ」
「いいけど攻撃力高いようだし気を付けて」
「分かってるわ!」
ユウさんが走るスピードを上げて一気に距離を詰めると『雷斬』を使用して斬りかかる。
『!?』
ユウさんが消えた瞬間、他の魔物へと攻撃しようとしていたジャンは、足を止め剣を交差して防御姿勢に入る。入ったと同時にギイィン! と甲高い音を立ててジャンの剣が弾かれた。
「ガードされた!?」
バランスを崩すジャンの後ろに現れたユウさんが驚いた表情でジャンを見る。ジャンも弾かれて宙を舞った剣が落ちる前にキャッチしてユウさんを見る。
『ふぅ。危ない危ない』
剣は弾かれたがユウさんの言う通りガードしたのだろう。ダメージが入った様子は無い。まさかあのスピードに反応してくるとは思ってなかったが、思えばロイゼンも剣を弾かれたとはいえ瞬時に対応していたので、ガードできる冒険者はそれなりに居るのかもしれない。
ジャンは狙いをユウさんに替えて斬りかかる。
「くっ、速い・・」
ユウさんは攻撃を防いでいるが、スピードアップしたジャンに押され気味だ。僕は急いでジャンに飛びかかる。
『!? チッ!』
が、ジャンは気配を察知したのか直ぐ様攻撃をやめてユウさんから距離を取る。僕はそのままユウさんのそばに移動してジャンを見る。
「何か攻撃読まれてる気がする」
「私もそう思う。『雷斬』を見ずに防がれたのはおかしいし」
もしかしたら感知系のスキルでもあるのかもしれない。他のプレイヤーは良くHPを半分まで減らせたと思う。そう思いながらジャンの動きを見つつ構えていると、ジャンの胴体に魔法が突き刺さる。
『ぐはぁ!』
かなりの威力の雷の槍なのだろう。ジャンは1度膝をつき、バリバリと帯電したままの体を動かそうとする。が、そんな彼に『ファイアボール』やら『サンダー』やら水の雨やらさっきの雷の槍などが次々と降り注ぐ。
『あだだだだっ!』
そして魔法に押しつぶされるような感じで立ち上がれなくなり魔法の攻撃を受け続ける。その光景に一気に拍子抜けする。
「あれ~・・・」
「すっごいやられてるわね・・・。攻撃読むのはやっぱり違うのかしら?」
まぁそれは置いといて。
せっかくのチャンスなので、地面に倒れ込んだジャンを僕らは袋叩きにして光に変えた。
次回更新は明後日になります