9・もう一度、フィールドに出てみた
~始まりのオアシス~
十数秒の復活待ちを経て、最初のオアシスに戻ってきた。
死んだ、速攻で。目が合った瞬間、剣で一撃だった。
何アレ?初期エリアの強さじゃないだろ!
気付いた瞬間、動揺することもなく瞬時に切りかかってきた。
正直あのおっさんに勝てる気がしない。
もしかして人間って皆あの強さ?だったら絶対無理。
と、半ば放心状態の僕のそばになまけもの、ユウさん、ココアがワープしてきた。このゲームでワープできるのは死んだ時だけだろうし、みんなやられたようだ。
「何だよあのおっさん!」
「何も出来なかった・・・」
「何か投げられたら死んじゃった」
どうやらみんな負けたらしい。
そうだよな。アレ無理だよな。
「ねぇ? ゲームってみんなこういうものなの?」
「いや、アレはミスった。死ぬ前相手見て分かったけど、あのおっさん高レベルだった」
「あの人強かったの?」
「ああ、人間の強さはレベルと冒険者ランク、あとは人数で推測出来るんだが、あのおっさんレベル8だった。冒険者ランクは見れなかったけど、レベルだけで勝てないのは分かる」
ということは、狙う相手を間違えたのか。近寄ることに集中して相手の情報を見るの忘れてた。
レベルは他のゲーム同様高ければ高いほど身体能力が高く、冒険者ランクは高いほど技量や対応力が高い。
冒険者ランクはS~Gまであり、このランクが高い冒険者は場数を踏んでいる、特殊技能がある、剣術などの技量が高いなどから、レベルが低くても安易に相手するべきではない。
「じゃあ次は相手を選んで戦えばいいのね」
「そうだな。今度はちゃんと見るよ」
「僕も攻撃前に確認するよ」
僕たちはもう一度フィールドへ旅立った。
~始まりの草原~
「ねぇあれどうかな? 右前に1人いるけど」
「マーキング出来るか?」
「さっき教えてもらったやつだね。やってみる!」
高さ上限まで上昇しているココアが誰か見つけたようだ。さっきはみんなまとめて歩いていたけど、それだと敵を見つけるまでに時間がかかる。手始めに各自の分担を決めてみた。
と言ってもどうすれば1番いいかなんて分からないし、各自で出来そうなことから始めてみる。
結果、高く飛べるココアが索敵し、発見したら僕が斥候。ユウさんとなまけものは待機。戦闘になったら、ユウさんとなまけものが戦い、僕がサポートでココアは援護射撃を担当する事になった。
各自のスキルを考えるとこれがベストだと思う。
「マーキング出来た。見える?」
「ああ、見えるぞ。ありがとな」
ココアからマーキング情報が共有された。
名前:マックス
職種:冒険者
レベル:2
ランク:G
「行ける? レベル2だよ?」
「多分大丈夫だ。ランクが低いから対応力はないだろうしな」
「その冒険者は今何してるの?」
「キョロキョロしてる。迷子?」
「迷子て・・・」
「はは、丁度いい。倒して教会に送迎してやろう」
送迎て。
「とりあえず近付いて攻撃したら良いんだよな?」
「ああ、俺たちはここに隠れている。毒が入らなかったらこっちに逃げてくれ」
「了解。死んだらすまんな」
「そしたら骨を拾ってやるよ」
骨に拾われてもなぁ・・・