表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/17

魔王ソフィ視点です。

前話で世界観の説明は済んだのでここから先は一人称形式で話を進めていきます。

セリフ多めの軽めな感じにしてあります。


 ──魔王城。厨房。


「やあやあベル君。今晩は鳥の唐揚げが食べたい気分だ。お願いできるかな?」


「ははっ。このベルゼブブ、魔王様に至高の夕食をご用意いたします。鳥の唐揚げ。油分控えめでヘルシーかつ美味しく揚げてまいりましょう」


「うむ。よろしく頼んだ!」


 さて、魔王室に戻るとするか!


 ◇

 「唐揚げ唐揚げベルゼブブ〜♪

  美味しい美味しいベルゼブブ〜♪

  ベルゼブブぅぅの唐揚げ〜♪」


 トントンッ


「はーい。唐揚げか?」

「ルシファーです。よろしいでしょうか」

「あー、ルー君ね。お好きにどーぞー」


 ガチャン。


「失礼いたします。魔王様。廊下まで響いておりましたよ。お行儀が悪いではありませんか」


「そんな風に思うのはルー君だけだ。この魔王城でわたしは断固たる地位があるのだから。魔王と言う名のな!」


「はいはいわかりましたよ。それで勇者のやつとの進捗状況は?」


「うむ。今日も引き分けってことにしといてやった!ちょちょいのちょいっとな!」


「そうではありません。勇者との進捗状況(・・・・)です。二度も言わせないでくださいよ」


 う。これは怒られる予感……。

 もう既にルー君怒ってるし……。


「そ、それは、あいも変わらず。な、なんというか」


「あぁ。もう。なにをやっておられるのですか。時間はないのですよ? 冗談抜きでやばいですよ? その旨、今朝お話しましたよね?」


「わ、わかってはおるのだが。な?」


「な? じゃありません。魔界の今後の命運にも関わることです」


「で、でもなぁ……」


「魔王様! なにを弱気になっておられるのですか。間接キッスを平然としてくる男。だったらそれ以上のことをするしかないでしょう?」


「う、うぅ。わかってはおるのだ。わかってはおるのだぞ……。でもなぁ、いざ勇者を目の前にすると、胸が痛くて、辛くて……。キュンキュンしちゃって」


「あー、もうそうやって何ヶ月いってるんですか!私の見立てでは、残された時間は後一ヶ月もありません。あの計画実行のためには、明日、明後日にはほっぺにチュウしないと到底間に合いません」


「だ、だって、勇者のほっぺはな、雪解け水のように綺麗なほっぺなんだ。そ、そこにチュウだなんて……わたし恥ずかしくてできない!」


「馬鹿なこと言うんじゃありませんッ‼︎」


 〝ドンッ〟


「ひぃ! ルー君怖いよ。これでもわたしは、ま、魔王だぞ? か、か、壁ドンなど、なんたる無礼!」


「だったら勇者とチュウしてきてくださいよ。魔王だと言うならしてきてくださいよ」


「あ、明後日には」


 ルー君はどうせ明日も同じこと言うからな。

 毎回明後日って言えばいい。


 気付いてしまったのだ! わはは!


「そうやって言って半年経ったんですよ。もう待てません。一刻の猶予もありません!」


「だ、だって胸が苦しくて! でも明後日には」


「なるほど。聞き間違いかと思いましたが、魔王様は明後日と言ってらしたのですね。どうせ私が明日も同じこと言うからと、大方そんなところでしょうか。ガッカリしましたよ」


 ぐ、ぐぬぬ。


「どうしたのさルー君。今日はいつにも増して口うるさいじゃないか」


「そりゃそうでしょう? 今日は二人がキンキンし始めて一年の記念日。お祝いもしないで。あれだけ今朝念押ししたのに」


「で、でもな。フルーツサンド食べたぞ」


「あーもうダメだ。向こうは一年記念日ってわかってるじゃないですか。こんな偶然に魔王様の大好物のフルーツサンドを持参する勇者がどこにいますか。どうせ手作りだったんでしょ?」


「うむ。それは……もちろん」


「ほらやっぱり。一年記念日だからって早起きして腕によりをかけて、作ったんですよ! それをあんたはほっぺにチュウすら出来ずに帰ってくるなんて。ああ情けない。私はね、情けないですよ」


「あ、あんたって。それは言い過ぎでしょ、わたしは、ま、魔王だぞ?」


「この臆病者! 魔王様はね、恋に臆病過ぎるんですよ!」


 が、ガーーン。


「わ、わたしが、臆病者……。魔界最強の魔王なのに……臆病者……。こ、こんなにも強いのに……」


「と・に・か・く! 明日はほっぺにチュウしてくること。もし出来なかったら、プランBに移行しますから。覚悟しておいてください」


 ぷ、プランB……だめだ、それだけは……それだけは……。そんな卑猥なのは絶対ダメだ!


 明日こそチュウしよう。……な、なるべく。


「……がんばる」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ