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準備しましょう

言えない。執筆が遅れて一日空けたことを投稿忘れとして処理しようなんて。

(昨日は投稿予約するの忘れてました。ごめんなさい)

「知らないの!? 公式メッセージ届いてたよね!?」


「え……そんなのなんて……あ、あった」

アオハがジトーっとナギサを見つめる。


「メッセージ画面。多分、初めて開いたよね?」


「うっ!……」


「どうせ後で見よう後で見ようって後回しにして、結局見ないパターンでしょ」


「うぅ……」


「私のメールも大体三日空けないと返信来ないしなー」


「んにゃぁー! 次! 次からちゃんとするから許して!」

長年ナギサの友達をやって来ただけあって、アオハの言葉はナギサの性格を正確に捉えていた。


「ナギさんの即返信はそれはそれで不気味かも」


「ひどいぃ……」


「ま、この話は後にして、今はイベントだよ。私がいるから分からない事があったら言ってね?」


「……はーい」


「返事はしっかり!」


「はい! 青葉先生!!」


「はいナギサ君。それと私の名前はアオハ先生だ。次は魔法が飛んで来ると思いたまえ。さて、何か質問かな?」


「バトルロワイヤルってなんですか!」


「んーーーー……そっからかぁ」

予定を変更しアオハは最初から自分の口で説明することにした。


CSO開始一ヶ月記念を祝ったイベントは二日間に分けられ、一日目は装備武器が同じプレイヤーが最後の一人になるまで戦い続ける同種武器バトルロワイヤル。

二日目は一日目に勝ち残ったプレイヤーで、参加プレイヤーの武器が全て違う異種武器バトルロワイヤルをするのだ。

一日目を勝ち抜くだけでも賞品が貰えて、二日目は他のプレイヤーを倒す度に賞品が豪華になる。

上位陣には特典があり、他にも二日目のマッブにはシークレットアイテムや、シークレットボスが隠されているらしい。


「面白いのはプレイヤー人気投票とか、賭けが出来ることかな? 他にも公式が注目プレイヤーをピックアップするって言ってたし」


「あれ? このルールだと人気武器の人達は不利になるんじゃ……」

一週間毎に送られる統計情報によると、最人気武器と最不人気武器の使用者数には数千に届きそうな開きがあった。

数千人と数十人のトップの賞品が一緒では苦情は必至だろう。


「大丈夫。そこら辺は上位何人まで賞品がー、とか調整されてる筈だから。私達不人気武器プレイヤーは、本戦に出られる可能性が高くてラッキー! くらいに考えとけばいいよ」


「なるほど」

これなら私も本戦に出場出来るかな? とナギサは考えていた。

【忌み物】で強化されたナギサなら武器やスキルを使わずに素のステータスで予選など軽々通過出来るのだが……


「今回は敵同士になるけど、一応対人戦の心得とかお約束を伝授しちゃおっかな?」


「いいの!?」


「もし戦うことになったらハンデになるからね。まぁ……勝てる気がしないけど」

イベントへの参加を決めたナギサはこの日、アオハから対人戦の心得と動きを教わった。













「やっちゃったよ…これ……」

翌日、ログインしてからメニュー画面を前にナギサはウンウン唸ってた。

正確には二桁しかない自分の所持金を見ながら頭を抱えてた。

イベントに持って行ける十個のアイテム。その内三つを【忌み物】、四つを【ルーレットオレンジ】に決めて、残りを店で買った普通のHPポーションで埋めたところまでは良かったのだが、周りのプレイヤーを見て重要なことに気づいたのだ。


「防具どうしよ……」

そう、ナギサの装備は頭部を除けば未だに初期装備のまんま。

武器はともかく、上下の防具はステータス的に何のプラスも無いのでコピー用紙一枚程の防御力すらない。

普通のプレイヤーがログインして最初の目的にするのが防具を買うことなので、ナギサはその点大きく劣っていた。

更に、初期装備をずっと着けているプレイヤーは一部を除いて皆無であり、悪目立ちするのだ。特にナギサはマスクと飾り羽根という出で立ちなので、それに拍車を掛けていた。


「明日がイベントなのに……間に合わない…よね」

【忌み物】を作るのに時間を取られ、ナギサがログイン出来るのは後二時間くらいしかない。

何かいい方法がないかとナギサが掲示板を覗くと、気になる一文を見つけた。


「ドロップアイテムの装備、性能がピーキー過ぎて……え!?」

ゴブリンなどの人型の魔物やレアモンスター等からは装備がドロップする場合があるという。

レベル上げも兼ねてドロップ装備を狙えば一石二鳥だ。


「急がなきゃ!」

掲示板で装備をドロップするモンスターを調べた後、ナギサは西の門から街を出て、森へ向かった。










「到着! ゴブリンさん出ておいでー!!」

ファンタジーの定番にして王道の当て馬。西の森はそんなゴブリンの集落が点在し、数多く生息しているという。

そんなところで大声を挙げたナギサに向かって五体のゴブリンが現れた。

ナギサと同じくらいの身長に緑の肌。醜悪な顔は獲物を見つけた事によってか口端が持ち上がり更に醜さを増してる。


生理的嫌悪を催す相手に対し、ナギサは容赦なく【忌み物】を投げつけた。

ちょっと口に出来ないようなのたうち回り方をしたゴブリン達はボロ布を落としていった。


「んー……ドロップしないか。…経験値も貰えなかったし……この方法はダメなのかな?」

更に森の奥へ進む。

何体目かのゴブリンを倒したとき、その瞬間が訪れた。


「うわぁ……」

ゴブリンが着ていたボロボロの布の服をクリーニングしたような装備。ステータス的には嬉しいのだが、ナギサだって年頃の女の子である。性能より見た目を重視するのだ。

この服がナギサのお眼鏡に適うかと言えば否だった。

しかし、何度ゴブリンを倒しても出てくるのはボロ装備ばかり。


「まだまだ!」

時間も無くなってきたので、ナギサはどんどん奥へ進んで行った。

もうゴブリンの装備は諦めたのかゴブリンを見付けても無視する。

勿論、ゴブリンの方は無視する筈無く、喜々として襲いかかってくるが、ナギサが【忌み物】を見せると凄い勢いで逃げていった。


『スキル【威圧・弱】を取得しました』


「んー……ん? 何で?」

心当たりの無いスキルにナギサが困惑する。


【威圧・弱】

自分のレベルより半分以下のモンスターが逃走する。

取得条件

一度敵対行動をとったモンスター五体を恐怖によって撃退する。


「お、ラッキー!」

ナギサのレベルは10。まだ低レベルだが、レベルが上がるに連れこのスキルは本来の効果を発揮するであろう。


新スキルを手に入れ上機嫌のナギサだが、掲示板で情報をもっと集めるべきだった。

そうすれば西の森、その奥が異様な高さのレベルを持つモンスターだらけなのを知っていて、ここで引き返すこともできた。

それに、目的のモンスターがプレイヤー単体で相手するには絶望的なボスモンスターの名前であり、ドロップするであろうアイテムについて触れていただけで、まだ誰も討伐出来ていないことを知ってた筈だ。


しかし、名前、出現場所だけしか調べていないナギサが、現地に行ってまた調べる気になる訳がなく、また一段と森の深い場所に入っていった。

フラグを作るの難しい

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