目玉 第1話
短編と言いながら、早速分けていくんですよ。嘘つきなもので、すみませんねぇ。
目って、頑張れば取れそうと思いませんか?
隣にいた僕の幼馴染が呟く。割と物騒な言葉を。彼女は見た目はとてもよく、クラスでも可愛いと評判だが、時折こういった、おかしな冗談を言うのだ。あくまでも冗談だし、実行に移しはしないが、毎回毎回僕は怖がってしまう。まぁ、それも小さいときの話。今は怖がることはなくなった。怖いのは変わらないが、強がるのだけはうまくなったと思っている。
「…冗談ですよ。取ったら見えなくなりますし。」
黙ったままでいれば、すぐネタバラシをしてくれる。最近やっと気づくことができた。騒ぐと余計に怖がらせる癖があるようだ。
「最近、怖がってくれないですよね。」
「もう、僕は子供じゃないんだよ。」
そっか。そう言いながら彼女は笑っている。笑うなよって言えば余計に笑うから、軽く怒ってしまった。でも、彼女は気にせずに笑い続けている。
「もう怒った!君なんてもう知らない!」
「あはは!ごめんごめん!私のたからものあげるからさ。」
そういって、彼女は…目玉を差し出した
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!
絶叫と共に僕は目を覚ます。体にまとわりつく汗が気持ち悪い。僕の机には、幼馴染の目玉がある。自殺をする前、彼女が僕にくれたのだ。なぜくれたのかは知らない。でも、この目を見るたびに、彼女を、思い出してしまうのだ。
彼女が、最後の最後に、言ったたちの悪い冗談。いや、嘘だと言って欲しい。あの時みたいに、『冗談ですよ(笑)』って、何処からともなく現れて笑ってほしい。…無理なのは知っている。片目のない彼女を最後に見たのは棺桶の中で、燃やして、骨だけにして、お墓に入れたんだ。9年前に。あと少しで10年だ。みんなは日常に戻っている。とっくに戻っている。なのに、僕は前に進めない。毎日このような夢を見る。そんな僕を彼女は笑ってみているのだろうか?目がころりと転がる。それを僕は、ずっと見つめていた。
私には、幼馴染がいた。仲は、おそらくいいほうだと思ってる。幼稚園のときからずっと、彼は私の後ろについてきてくれた。でも、いつの間にか彼は大きくなっていった。ふと彼を見てみたら、私より大きくなっていた。昔は私に隠れて、よく泣いていた泣き虫ちゃんが、泣かなくなったのはいつからだったか?私は彼の泣きそうな顔が、少し好きだった。だから、わざと怖い話などをしたものだ。そのたびに泣いて、ついエスカレートして、最後、親に叱られるまでがお約束だった。
幼馴染は、変わった。泣き虫じゃなくなってしまった。これは成長なのだろう。じゃあ、私は?私は昔から、少しでも変われたのだろうか?あの子は変わったのに、私はいつまでたっても、子供のままなの…?
次回をお楽しみに!




