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彼女の小説はどこかずれている 2  作者: 白夜いくと
■1年生■ 夏休み
5/6

『共存するのです!』

 炎天下の午後、照りつけるアスファルトの道をコンビニに向かって歩く俺。どうしてこんな時間にシフトが入ったのか。出来ることなら美咲(みさき)のように働かずに家でゴロゴロしていたい。とはいっても過ごし方は異なるだろうが。汗だくの衣服のままバイト先のコンビニに入る。ひんやりとした冷気で今度は体中が氷のように冷たくなった。


 「何涼んでんだ。とっとと着替えろよ」


 出た。嫌味魔人の近藤(こんどう)。この男とは極力関わりたくない。が、このコンビニのバイトの先輩ということもあって無視することは出来ない。外は地獄の暑さ。店内は嫌味地獄。あぁ早く快適な実家に帰りたい……


 「そういえば。雑誌コーナーにずっといるんだ。アレ、綺麗な人だと思わねぇか?」


 「え?」


 陳列作業をしていたら近藤(こんどう)が突然声をかけてきた。雑誌コーナーに目をやる。そこに居たのは紛れもない、美咲(みさき)だった。もしかして冷房器具が壊れたから俺のバイト先に涼みに来たのか。あろうことか近藤(こんどう)美咲(みさき)に声をかけようとしている。その目は若干、いやらしい。おいタヌキ。彼女はお前のことを見てそのように表現していたんだぞ。というか美咲(みさき)に近づくな……とは言えず、結局話しかけられる彼女。あーあかわいそうに。


 レジが混んできた。これ見よがしに近藤(こんどう)を呼ぶ俺。コイツもそうだが、今日の客も酷かった。値段の違うおにぎりを89個も買って行ったのだ。その上急いでいるから早くしてくれと。その間に2万円以上の公共料金手続き。先払い荷物の手続き。大忙しだ。さすがに先輩というだけあって近藤(こんどう)の手は早い。俺が印紙を貼り忘れそうになっているのも見逃さなかった。そういうところは尊敬している。


 やっとの休憩時間。へとへとだ。気になって監視カメラのモニターを観る。まだ美咲は雑誌コーナーで立ち読みしながら涼んでいるようだ。そのことに誰一人文句を言わなかった……ん、スマホを取り出して何か文字を打っている。これはもしかして……


 美咲専用のメール受信音が鳴った。俺は慌ててメールを開く。


********************






件名:『共存するのです!』


 意地悪タヌキは一度死にましたが、不死鳥の羽を食べて復活しました。なぜ意地悪タヌキは生き返されたのでしょう? それは神からある使命を託されたからです。


 神「ある青年の面倒を見よ」


 相変わらず口が悪い意地悪タヌキでしたが、ちゃんと青年の面倒も見ます。


 ☆目撃者の証言☆

 

 「いやぁ、よく話すタヌキさんですねぇ」


 でも、悪い人じゃないと思います。青年よ。共存するのです!


 ――完――







********************


 「誰からだ?」


 近藤(こんどう)が俺のスマホを覗き見ようとする。必死で阻止する俺。不振そうに腕を組む近藤(こんどう)。危なかった。コイツのあだ名がタヌキだと知られたらバイトがしづらくなる。友人からだと適当に返事をして感想メールを送る。


 「確かに先輩は悪い人ではないです。馬が合わないだけで」


 すぐに返信が来た。


 「ヒヒーン」


 (え?)


 どういう意味だろう。おそらく馬の鳴き声だろう……考えているうちに休憩時間が終わる。そのあとは特に目立ったミスも無く、気がつけば美咲(みさき)も雑誌コーナーから居なくなっていた。バイトから帰ってエアコンの効いた部屋にこもる。疲れた……何気なくリビングのテレビをつけてみた。明日は大型台風が日本に上陸するらしい。良かった。バイトが入ってなくて。安堵したものの、俺の両親は仕事なんだよなぁ。御飯も用意してくれているし、申し訳ない。絶対に親孝行するからな。父さん母さん。

毎日投稿が不可能となりました。

今後の更新については、

活動報告に記してあります。

ごめんなさい!


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