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賭けますか?賭けまs

たいっへん遅くなりました。

今回はカジノのお話になります。

パチンコや競馬など楽しいですが程々に。

土下座をしているオーナーさん。そのオーナーさん見下すリオル。


「もう勘弁してください!これ以上はこの店が潰れてしまいます!」


「まだやるわよ、ミラがここに注ぎ込んだ十倍はもぎ取るんだから。もう一戦やるわよ!」


一体どうしてこんなことになってしまったのでしょうか…

時を遡ること数時間前…私達はお昼ご飯を食べたあと昨日のお礼を言うために教会に行ってドアを開けるとソファに寄りかかって寝ているノヴァさんがいました。

ドアを開けた音で起きてしまい、伸びをしています。


「こんにちは〜あれ?エリーさんは?」


「エリーなら客用のソファで昼寝中だ。ほれ見ろ、このアホみたいな寝顔」


ソファを覗いてみるとエリーさんがタオルケットを咥えてスヤスヤと寝ていました。


「癒されますね…」


「こいつのファンクラブ的なやつは天使みたいだと言ってたけどな。で、今日は何の用事だったんだ?」


「ええ、昨日のお礼を改めてお二人に言いに来ました。昨日は本当にありがとうございました」


「いいってことよ、だがもうあんなことになるような事に首突っ込むんじゃねーぞ」


「はい先輩!」


「大声出すんじゃねぇ!エリーが起きるだろうが!」


「あんたのほうが大きいわよ…エリーには起きてる時に言うわ」


「そうしてやってくれ、無理に起こすと機嫌悪くなるからな」


私達はエリーさんを起こさないように協会を後にして私がいつも博打をする場所に向かいました。

大きな町ではないので広さはそこまで大きくはありませんがルーレットやポーカー、ビンゴ、丁半など様々なゲームがあります。

まずは受付で二万円を遊ぶための小さなチップに交換し、ゲームを選ぶのですが、リオルは真っ先にポーカーの席に座りました。


「ディーラー、イカサマ防ぎにトランプ見せてちょうだい」


リオルは真っ先にポーカーの席に座り、ディーラーさんにトランプを借りて一枚一枚丁寧にチェックしました。


「ウチはイカサマなんてしませんよ。お嬢さんこそ細工などしないでくださいよ」


「はっ、そんなことする意味無いわ。とりあえず一万賭けるわね」


「とりあえずで一万ですか!?初めてなのですからもうちょっと安めから…」


リザードマンの皮で二十匹分、ドラゴンの皮で二体分です。実際これで一週間は狩りをしなくていいレベルです。

リオルの所持金とはいえいつから貯めていたのでしょうか…


「え?私初めてじゃないわよ、まぁ見てなさいって」


「随分と自信があるんですね、では始めましょう」


聞き捨てならないことをさらりと言いませんでしたか今?

ディーラーさんは軽快にトランプをシャッフルし、素早く配り始めました。

隣にいるリオルの目は狩りの時の目をしており、トランプを配っている時にも一切瞬きをしていませんでした。

リオルは配られたトランプを手に取り、ため息を一つ。


「ちなみに聞くわ、トランプはどこから交換してもいいのよね?」


「もちろんですよ」


ディーラーさんは上から二枚交換し、リオルさんはそれぞれ別のところから三枚交換しました。


「さて、降りますか?」


「降りないわよ、はいストレート」


5から10まで、マークこそ違いましたが揃っていました。


「これは凄いですね…私はダブルペアです」


「三倍だから3万頂くわ。さて次やりましょ。次はこの3万賭けるわ」


そしてリオルは四枚交換して…


「あら、私運がいいのね。ストレートフラッシュだったわ」


「くっ…私はフルハウスです…ですが偶然はそう続きませんよ…」


「フルハウス出すあんたも相当だと思うけどね。その前に七倍で二十一万貰っとくわよ。で、この二十一万賭けるわ」


リオルがニヤリと笑ってそう言うと周りのギャンブラーの皆さんがどよめき始めました。


「おい…あの賭け方…伝説の店潰しじゃねぇか…?」


「でもやつはもうとっくに姿を消して引退したと聞いたが…」


「しかもやつはツレなんていなかったはずだぞ…」


ざわざわとする店内。ディーラーさんも思わず困惑します。

私も困惑しており、一言も話せていません。

伝説の店つぶしなんて聞いたことありませんし。

ディーラーさんは最初の時よりも素早くシャッフルして配ると、リオルの表情は更に緩みました。


「さて…私は1枚だけ交換するとしましょう」


「私は全捨て。ブタ(役なし)だったわ」


リオルは新たに五枚引き直し、リオルの表情はもはや悪魔のような笑みです。ですが表情を見ていないディーラーさんは自信満々にトランプを勢いよく出しました。


「フォーカードです!さぁどうでしょう!」


「私って幸せよねぇ?ロイヤルストレートフラッシュよ」


扇状に綺麗に並べられたハートのロイヤルストレートフラッシュ。ディーラーさんはポカーンとしています。


「こ、こんなのイカサマです!何を細工したんです!?」


「そりゃこっちのセリフでしょ?あんたもフルハウスとかフォーカードをホイホイと出してたんだから。しかもあんたがずっとトランプ持ってたんだからイカサマなんて出来るわけないでしょ。ほら早くよこしなさい、二十倍で…四百二十万ね」


ディーラーさんは膝から崩れ落ち、その様子に場内に歓声が上がりました。

すごい歓声ですね…隅の方でここの店員さんがなにやらこそこそと話していることが聞こえないくらいに。

リオルは立ち上がり、そのまま帰るかと思いきや、カジノウォーの席へ移動しました。

チップは店員さんが台車でまとめて運び、机の上にはとんでもない枚数のチップが…


「さて…トランプを見せてもらおうかしら」


「どうぞ、私はあの人と同じようにはいきませんよ」


リオルはまたトランプを受け取り、先程と同じようにチェックをしてディーラーさんに返しました。


「そうだといいわね」


トランプを受け取ったディーラーさんはトランプのシャッフルを始めました。


「おいくら賭けますか?」


「そうねぇ…久々にやるし百万でいいわ、勝ったら二倍だっけ?」


「ええ、では配りますねー」


「待った。私にやらせなさい。カードはそのままでいいわ」


「私達ディーラーはイカサマなんてしませんよ、ギャンブルは基本運が関わってきますから。このゲームだってたった二枚で勝敗が決するゲームですのでー」


「さっきのディーラーのイカサマをこっちは見逃してあげてんのよ。配らせるのが嫌ならせめて選ばせなさい」


「信用ゼロですね…いいでしょう、特別ですよ」


ディーラーさんはトランプをスラッと並べ、両者とも一枚ずつ引きました。


「勝負よ」


ディーラーさんが出したのは六。リオルは八でした。


「さすが…といったところでしょうか」


「次は引き分けに五百万賭けるわ。あなたがクビになり赤字になる準備はいいかしら?」


引き分けは十倍…勝てば五千万が動くことになります。この店潰れませんかね…この街に博打場ここしかないんですけど…


「五千万ですか…これで引き分けでしたら確かにクビどころではありませんね…いきます!」


おかしいですね?ディーラーさんが主人公っぽく見えてリオルが悪役っぽい感じに…


「チェックメイトね。チェス用語だけど」


ディーラーさんとリオルが出したカードは7と7。つまりリオルさんの勝ちです。


「五千万…いただいてくわね」


「そんな…そんな馬鹿なことが…これはきっと夢なんです…悪い夢…」


泡を吹いて倒れるディーラーさん。

駆けつけた店員さんにより店の奥の方へと運ばれていってしまいました。

こうしてリオルのことを聞いたオーナーさんが駆けつけて来て時は戻ります。


「お願いします!ほかのお客様のためにもどうか…」


「こんなイカサマだらけの店でカモられる客のほうが可哀想よ、ねぇミラ?」


「え、私に振ります?」


「そりゃそうでしょ、あんたここの常連なんだし、あんたがここに数百回と行って勝ってきたことなんて数えるほどしかないでしょ。で、カモられてても楽しいの?」


「言い方きついですね…私もそうですが皆さん楽しまれているのでそれでいいのだと思いますよ、なのでオーナーさんの言うとおりこれくらいにしてあげましょう」


リオルは「そう」と言って大量のチップをお金へと交換しました。チップの数がやたらと多く、全部交換するまで数分かかりましたが…

そしてもう来ないでくださいと言わんばかりに頭を下げるオーナーさん達に私は一応謝って私とリオルは大量のお金が入ったカバンを持って博打場を後にしました。


「リオルは運が凄くいいのですね〜」


「んなわけないでしょ、あんなのトランプの位置覚えただけよ」


「なんですと…?では何故あんなに博打のことを嫌がっていたんですか?」


「簡単に金が入ったら狩りをする必要が無くなるでしょ?そうしたらあんたと狩りができなくなっちゃうじゃない…とにかく!これで約束は守ったからね!」


「は、はいっ!」


家への帰り道、リオルがギルドに寄りたいと言うので一緒に行くとブレイさんが席に座って退屈そうに骨を齧っていました。


「やっと来たかリオル、呼び出しておいて遅いぞ」


「ごめんごめん、ちょっと手間取ってね」


リオルは机の上に大量のお金が入ったカバンを置き、ブレイに向けてカバンを開けました。


「なんだこの大量の金は…?一体どうやって…」


「そんなことはどうでもいいのよ、あんたを呼び出したのは他でもない。あんたの武器が壊れちゃったからこの金使って新調してほしいの」


私の約束を利用してブレイさんの武器を新調することまで考えていたとは…さすがと言いますかなんと言いますか…


「そんなことで呼び出したのか、武器ならストックがあるから金は要らん。そもそも小生の武器は自分で素材を集めて制作をしているから金などかからん」


武器を作れるって何者なのですか…接近専門の弓なんて聞いたことないですし…


「いやそれは嘘でしょ!鉄なんてどうやって手に入れるのよ!」


「この街のすぐ近くに洞窟があるだろう、そこに山ほど鉄があるぞ、製鉄と鍛錬なら過去に教えて貰ったから造作もない」


「じゃあこの大量の金どうするのよ…今更あんな所に返したくはないし…」


「ここにでも使ってやれ。ギルドがでかくなれば人は集まるし人が集まれば助け合いもできるだろう。あの国もまたいつ襲われるか分かったもんじゃない。なぁガレット、さっきから受付の書類を片付けているフリをしてこちらに聞き耳を立てているのは丸わかりだぞ」


ギクッとしたガレットさんはこちらに来てカバンの中を覗き込み始めました。


「これは…本物のお金のようだね!全部とは言わないけどブレイちゃんの言う通りギルドに回してくれると助かるよ!」


「なら私達は四十万あれば十分よ、あとはあげるわ」


「ありがとう!必ずいいギルドにすると約束するよ!」


「そうね、三ヶ月後にはこんな依頼と職業変えるだけのちっぽけな役所と変わらないような所じゃなくて、酒場とかが併設してある賑やかなギルドになっていてちょうだい」


「あとあと!博打ができるのもいいと思います!」


「軽食ができる場所も頼むぞ」


その後も話は盛り上がり、気づけば夕暮れになっていました。


「あ、もうこんな時間でしたか。帰りましょうか」


「そうね、ご飯の支度もまだ出来ていないし。ブレイはどうするの?」


「セーラの家に行く。あいつも小生のことを気にしているからな。今頃料理が出来ているはずだろう。ではまた明日な」


「ええ、ではガレットさん、頼みましたよ」


「うん!何かあったら報告するよ!!」


こうして私達は家に帰り、いつもより少し贅沢なご飯を食べ、お風呂に入ったあと寝室に向かうとなんと窓が割れ、セーラさんがうずくまって泣いていました…


「な、何事です!?」


課金も楽しい(?)ですけど程々に…

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