戦争の臭いがします
第4話です!
時は流れるのが早いもので日も早く沈んでしまいますね…
では4話どうぞ!
その夜、セーラさんとブレイさんを家に招き、食事をして二人とも家に泊まることになりました。
「とはいいましたが…四人も寝られますかね…」
寝室に来た私達はどうやって寝るかを話し合うことにしました。
「小生は木の上で寝るから心配するな、おぬしの寝室は二人で寝られるだろう」
「それではお泊まり会の意味がありません!全員同じ部屋で寝るからこそお泊まり会というものです!」
「私も…そう思います…」
ギルドにいた時とは違い、ヘッドバンギングかのように激しく頷くセーラさん。
一方リオルは黙々とクローゼットの中で寝る準備を始めています。
「あの…リオルさんはそこで寝るのですか?」
「ええ、いつもここで寝てるわ。よく分からないけど落ち着くのよね」
「クローゼットで寝るのか、面白いやつだな」
「木の上で寝るあんたには言われたくないわ!…てかそれならミラとセーラ二人で寝ればいいんじゃない?私だって今日寝れなくて明日に支障が出るのは嫌だもの」
「それには同感だ。というわけで小生はこれにて失礼」
ブレイさんはそう言って窓から外に出てしまいました。
平然と飛び降りましたがここ二階ですからね?
私でしたら骨折していますからね?
「さて、私たちも寝るわよ。明日は少し遠くまで行くんだし、私も朝早く起きてお弁当作らなきゃいけないのよ。ミラとセーラも夜更かししないで早く寝なさいよ」
「リオルさん…お母さんみたいです…」
「あっ、セーラさんそれは…」
少しだけ寂しそうな顔をするリオル。
リオルのお母さんは私達が小さな頃に…えっと…確か…
「リオルさんのお母さんが…どうかしたのですか?なにかまずいことを言ったのであれば言ったのなら謝ります…」
「大丈夫よ、大丈夫なんだけど…あれ?おかしいわね…自分の母親なのに…ミラ、あんたが覚えていて私が覚えていないのはおかしいのは分かってるけど一応聞いておくわ、私のお母さんのこと覚えてる?」
ものすごく不安そうな顔をして聞いてくるリオル。
ここは「もちろん覚えていますよ」と言いたいですが「どんな格好?どんな顔?」と聞かれたら答えることはできません。
「多分…覚えていますよ」
「嘘ね。でもなんで忘れたのかしら…普通だったら絶対忘れないのに…」
「もしかしてですが…記憶を…お二人共無くされているんですか…?」
「そのようですね、もしかしたらですけど誰かに記憶をなくされたとかありそうですよね」
そうでなければ親の事を忘れるなんてできませんし…
といっても私もこの町に来る前の記憶は一切ないのですが。
「馬鹿なこと言わないの。さっ、寝ましょ」
結局その日の夜はセーラさんと色々お話していたので寝るのは遅くなり、翌朝は…
「ほら起きなさい二人共!ブレイはもう支度終わってご飯食べてるわよ!」
「「もうちょっと…寝かせてください…」」
「起きろ!!」
リオルの容赦ないチョップが私とセーラさんの脳天を直撃し目が覚めました。ちなみにですが初めてリオルのチョップをくらったセーラさんは頭が二つに裂けそうと言って目に涙を浮かべていました。
朝食を食べ、武器などの準備を済ませると再確認のためのミーティングが始まりました。
「改めて。今回は隣国への道を私たちがそのルート通りに行って、魔物が出たら片っ端から倒す。そして隣国関係者がいても極力会わない、話しかけられても話す時間はとにかく短くして探られないようにする…質問はある?」
「ないですよー」
「ないです…」
「ないな」
基本的に私たちはギルドにあるクエストは受けません。理由としては大体のクエストは戦争が起きている国の近くがほとんどで、一度戦争に関与すると私たちのいる町が狙われる可能性が極めて高いのです。今回のちょっと遠出も割と危険なもので隣国は別の国と戦争中。ガレットさんの話では道の途中で兵士がいる可能性があり、最悪先頭になる可能性があるとのことです。
私たちは街を出て隣国付近を目指し、まだ数分しかしていない時に、なんとリザードマンが四匹も現れました。
「いきなりお出ましね、やるわよ」
「「「了解!」」」
最初にブレイさんは敵に向かって走り、弓で一匹目のリザードマンを横に斬ってしまいました。
「グルルァ!!」
「甘いなぁ!」
それに怒ったリザードマンはブレイさんを斬ろうとしますが、股の間を通ってかわして矢を取り出し、リザードマンの頭に刺してそのまま地面に叩きつけました。
「すごい動きですね〜」
「同じ弓使いの動きとは思えないわよね…」
ほかの二匹がブレイさんに注意を向けている時、セーラさんとリオルは二匹との心臓部分を撃ち抜きました。するとセーラさんが射ったリザードマンの体は真っ黒になり、その場に倒れました。
相変わらず私の出番はありませんが皆さんが怪我をするよりはいいですよね。
「うっわ…これは剥ぎ取っても売れなさそうね…」
「それはすみません…私の矢には動物性の猛毒が塗ってあるので…その魔物に触れたら触れたところから腐っていって…魔物の殲滅を目的とした矢です…」
確か町にゴ○ブリを退治するために同じような商品が売っていたような…
あれは仲間同士が死骸を食べるのでまた別ですけど。
「ふむ、だが肉を食えんとは勿体ないな」
「ふえっ…魔物の肉を食べるんですか…」
セーラさん、昨日食べたお肉も、お店に並んでいるお肉も魔物のお肉です。
私達は道をしばらく進んでいましたが、それから魔物は不気味なほどほとんど出てくることはなく、その代わりに背中から何かで貫かれた人間の死体が何体か転がっていました。
「背中からということは国から逃げようとして殺されてしまったのでしょうか…?死体と死体の間が短いということは計画逃亡の可能性もあります…」
「ほう…やたら詳しいのだな、もしやセーラ、おぬしもそうだったのか?」
「そんなこと…ないです…!」
ぶんぶんと必死に顔を横に振るセーラさん。
「それにしたって魔物出ないわね、まるで何かに隠れてるみたいに…」
「そう不気味な事言わないでくださいよ、そういうこと言うとヤバイ魔物が出ると賭博仲間が言っていたのですよ」
私がそう言い終わる直前でしょうか、突如吹き飛ばされそうになるくらいの風が吹き、私達の目の前に5メートル程の二本足で直立しているドラゴンが現れました。
「なるほどね、こいつがその原因ってわけか」
落ち着いて話しているようですけど、足が震えてますよリオル。
「人間ごときが気高きドラゴンにこいつ扱いとはいい度胸だな…」
どこからともなく聞こえるものすごく低い声、もしかしてですが…
「噂には聞いていたが本当にいたとはな…人間の言葉をドラゴンがいたとは…」
「我らドラゴンはお前らみたいな下等生物とは違い知能が高い。故に人間の言葉を話すなど造作もないことだ」
「ほう、では普段こんなところにはおらず火山に引きこもっているドラゴンがなぜここにいる?」
挑発し合う両者…よく見るとドラゴンのお腹には小さな焼印がありました。
「その焼印ってすぐそこにあるベルタルタ国の紋章ですよね?ということは国に忠誠を誓ったドラゴン…ですよね?」
するとブレイさんとリオルは「ぷっ」と吹き出して笑い始めてしまいました…私何か面白いこと言いましたかね?
「あーはっはっは!!人間は下等生物だって言っておいてあんたはその人間の下僕ってわけ!?おつむが良くても体が弱くちゃ意味ないわね!」
「まったくだな!しかも腹に刻印とは降伏の象徴!背に人を乗せていればもっと笑えていたのだがな!」
「ぷっ…クスクス…いえすみません…人の言葉を話していたときには気づいていて我慢してたんですが…ぷひゅっ!」
セーラさんも笑ってたんですか…
「殺す…塵すら残さず葬ってくれるわぁ!」
ドラゴンが咆哮をして、硬そうな爪を振り下ろそうとした瞬間、何かがドラゴンの背中から巨大な火の玉が貫通し、ドラゴンはドシンという音を立ててその場に倒れてしまいました。
そしてそのドラゴンの後ろからひょっこりと現れたのは先ほどのあった死体とは違う軍服…恐らくベルタルタ国が今戦争している国でしょうか、片方の肩は出していて、ぶかぶかでシワだらけの軍服を来ていました。
「こんにちは、あなた達は誰の味方?」
読んでいただきありがとうございました!第5話もよろしくお願いします!