パーティ編成はバランスよく
さらに長くなりました第3話!パーティメンバー揃うお話なので仕方ないですよね!……短いお時間で読んで頂くことが前提ではありますが、ちょっとだけ長くなったしまったことをお許しください!
日が暮れ始めてきた頃に街に帰ってきた私達。いつも通り素材屋さんに行ってゴブリンの牙などを売り、私は博打にー
「おい待て…どこに行こうとしてるのかしら?」
博打に行こうとする私の肩を掴んで止めるリオル。力が強いです、肩が割れてしまいます。
「どこって…家に決まっているじゃないですかー」
「へぇ〜、お金を握りしめてね、じゃあもう一つ聞くわね…ミラが行こうとしてる方向は家じゃなくて、ミラが大好きな博打場がある方向よね?」
肩を掴む手の力が強まるのを感じます…ですが私は引くわけにはいきません。今日こそは勝てる気がするのです。いや勝てるのです。
「ええ!私は博打に向かいますよ!今日は勝てるのですから!」
「寝言は寝て言え!」
私の頭に入るチョップ。ここで私の意識は飛び、気がついたら家に引きずられ布団の中に放り込まれていました。
「…はっ!ロイヤルストレートフラッシュ!」
「何を言ってんのよ…ご飯できたからさっさと食べてお風呂入って寝なさい」
リビングからは既にご飯のいい匂いが…今回のチョップはいつもより少し軽かったようです。
いつも起きるのは朝方ですから…
それにしても起きる時間を調整できるチョップって凄いですよね。こういう所尊敬します。
夕食を食べ終えた私はお風呂に入り、少し考え事をしていました。
私がヒーラーとして活躍できるのは仲間が増えてパーティができ、強い魔物と戦い、仲間が傷ついた時ヒーラーである私が必要になるのではないかと。
「つまり!私に今必要なのは仲間です!仲間は不可欠なのです!」
「うるさい!長湯してないで早く出なさい!」
こうして私は本日ニ度目の布団に飛び込みました。
翌日、早起きをした私は仲間を増やしてリオルをびっくりさせようと忍び足でギルドに行こうとしましたが、玄関にリオルが立っていました。
「おはようミラ、こんなに早く起きるなんて珍しいわね。一緒に朝市に行く?」
「ええ、そうします…」
何故か朝から元気なリオルと共に目をこすって朝市に出かけました…
ご近所さんに混じって楽しそうに買い物をするリオル。何もすることがない私は近くにあった木にもたれかかると、隣にはシスター服ではないノヴァさんがいました。
「よぉ、お前も買い物に付き合ってるのか?」
「おはようございます。好きで付き合っているのではないんですけどねー…ノヴァさんってエリーさんとコンビ組んでいますよね?」
「なんだ今更、まさかお前達と組めって言うんじゃねーだろうな?」
「そのまさかです。私とリオルの二人では心もとないですし…それに二人共弓使いなのでバランスが悪いのです。ですが私は弓が使い慣れているので今更変えるというのも嫌なのです」
「確かに弓使い二人、しかも片方は元々ない筋力が更に落ちたヒーラーじゃこの先無理だわな、だがその誘いは断る。俺とエリーは滅多なことがなけりゃ町からは出ない。俺らこう見えて忙しいからな…毎日教会の掃除をしたり、死んだ奴がいたなら葬式もしなきゃいけねえ。誘いは嬉しいが他を当たってくれ。ガレットに言えば掲示板にパーティ募集張り出してくれんだろ」
「ノヴァさんやたらと饒舌ですね…良いことでもあったのですか?」
「うるせぇ、んじゃエリーが呼んでるから行くぜ、またな」
行ってしまいました…さて、私もリオルにギルドに行く旨を伝えてギルドに行くとしましょう。
私は買い物をしているリオルにギルドに行くことを言ったのですが…
「ギルドに?じゃあ買い物終わって一度家に戻ってから一緒に行きましょ、私も用事があるし」
ううむ…それではサプライズになりません。
どうにかして一人で行きたいですね。
ならすることは一つ。
「リオル、賭けをしましょう」
「え?何、突然…」
「賭けをするのです。私が今からギルドに何かをしに行くのでそれを今リオルに当ててもらい、リオルがギルドに来たとき当たっていればリオルの勝ちです。私はすることが決まっているのでリオルが答えを出してからやることは変えません」
「何それ…ちなみに私が勝ったら?」
「私は今後一切博打をしません」
「へぇ…じゃあ負けたら?」
「今度一緒に博打をしてもらいます」
「それなら乗るわ、じゃあ…『仲間募集の掲示板を見て仲間になる人を探している』」
「ではスタートです!」
私は駆け足でギルドに向かい、扉を開けると布で顔を隠している人が隅の席に座っていました。
誰かを待っているのでしょうか?
私は掲示板に仲間募集の紙を貼るためにガレットさんに話しかけました。
「おはようございますガレットさん、仲間募集の紙を貼りたいのですが」
「おはようミラちゃん!ノヴァくんから話は聞いてもう紙は貼っておいたよ!」
ノヴァさん…自分で言えと言っておきながらノヴァさんが言っているじゃないですか…
「ありがとうございます、ではあとは待つだけですね」
私が席に座り、自分の髪をいじっていると座っていた人が目の前に来ました。
近くで見ると私より少し大きいですね、顔はよく見えないのですが。
「あ、あの...仲間募集の紙を見たんですけど…ミラ・アルセさんですか?」
「はい、そうですよ。もしかしてパーティに入ってくれるのですか!?」
「はい…えっと自己紹介をしなくちゃ…セーラはセーラ・エピカリスです、よろしくお願いします」
「セーラさんですね、これからよろしくお願いします!」
セーラさんと握手を交わし、リオルのことを話していると、リオルがやってきました。
「待たせたわね、っとその人は?」
「パーティメンバーに入って下さったセーラさんです!」
「セーラ・エピカリスです…よろしくお願いします」
「よろしくね…というかミラ、あんた募集してたのね」
「はい!ほらリオルも自己紹介をしてください」
「はいはい…私はリオル・フィン、アーチャーをやってるわ。セーラはその様子だとアサシンかハンターってところかしら」
「はい…!よく分かりましたね」
「そりゃあ見ればわかるわよ。腰にナイフをつけて、隠密行動の際に邪魔にならないよう髪は短いし。確か他のパーティに入ってた気がするんだけど…」
私が気付かなかったことを次々と…よく見ているのですね。
「良くご存知で…前のパーティからは一週間ほど前に抜けました…前のパーティの方達はなんというか…テンションの上がり具合が凄いというかなんというか…」
「なるほどね…質問続きで申し訳ないけど武器、戦闘の基本パターンとか教えてもらっていいかしら?」
そういえば武器の種類を聞いていませんでしたね。
おおよそ腰につけているナイフだと思いますけど。
「セーラの職業はハンターです…武器は短弓を扱っています…ナイフは使えますが素材を剥ぎ取ることくらいにしか使いません…」
…はい?私の聞き間違いでしょうか?聞き間違いですよね。きっとメイン武器がナイフで、短弓はきっと…サブ武器なはず……現実逃避はやめましょう。今は目の前のことと向き合いましょう。
「弓が三人ねぇ、ミラのヒーラーとしての役目は更に無くなったけど火力はミラの分を埋められるからいいんじゃない?いや、良くはないか」
「ソウデスネー…あっ、ガレットさん、掲示板に張り出した内容を変更してもらえますか?」
「もちろんさ!近距離攻撃可能な人を求むと書いておくよ!」
あ、お話聞いていたのですね。
「あとリオルの飯は世界一!とでも書いておいてください」
「書かなくていい!そんなことないから!」
しばらくセーラさんと私達の詳しい自己紹介や隣の家に住んでいることで話が弾んでいると腹筋バキバキなことがはっきりと分かる格闘士っぽい女の人がやってきて無言でセーラさんの後ろに立っていました。
「あのー…うるさかったでしょうか?」
「違う、話に割り込んではいけないと思って話しかけなかっただけだ。小生の名はブレイ・ドーファン。あの張り紙を見てガレットに訪ねてみたらおぬしらが頼んだものだと聞いた。このブレイ・ドーファン、おぬしらのパーティに入れてはくれまいだろうか?」
このムキムキなお姉さん…超頼りになりそうです!文句無しです!
「ちなみに聞くけど職業と武器は?」
聞くまでもなく舞踏家、そして篭手を使った拳での攻撃に決まっているじゃ―
「職業は魔法戦士!弓を扱う!」
…は?とブレイさん以外が同じ反応、そして数秒の間の沈黙が流れました。
「どうした?小生が魔法戦士だということにそんなに驚いたのか?」
「違うわぁ!あんた掲示板の紙見た!?近距離戦闘が可能な人を求むって書いてあったよね!?あんたは文字も読めないのか!?」
やたらとキレるリオル。
まぁ確かに弓使い四人はバランスが悪いにも程がありますよね。
「馬鹿にするな、字くらい読める。それに小生は弓使いではあってもほとんど近距離戦闘だ」
「近距離戦闘の弓矢って…どんな戦闘スタイルですか?」
「危ないのでここには持ち込めないが極限にまで鍛え上げた鉄製の弓を使い敵を切り裂き、重さ三キロほどある矢を使い敵の頭を貫く。遠距離攻撃としても使うことはあるが体に針を纏っていたり毒を纏ったりしている敵のみだ」
なるほど…というか三キロもある矢と鉄の弓なんてどこで売っているのですかね…少なくともこの町には無かったはずですが…
「それと一つ、頼み事がある」
「なんでしょう?私達に出来ることならなんでも言ってください」
「ここの町に来たばかりで住むところがないから提供してほしい。だが家の中は落ち着かん、大きな木があればそこに住まわせてほしい」
まるでお猿さんかなにかですね…
「あんたは猿か…でもうちの庭に木は生えてないし…セーラはどう?」
「ありますよ…戦争時代から生えている大樹があります…でも枝までがだいぶ高いので危険かと…」
「構わん、慣れている」
あからさまに「えぇ…」という顔をセーラさん。
その後、素材の山分けの取り分、戦闘時の各自立ち回り、行動範囲の拡大などを話し合い気づけば日が暮れそうになっていました。
「もう夕時か、リオル、頼んだぞ」
「え?何を?」
「飯に決まっているだろう、小生はおぬしの飯が世界一だというのを見てこのパーティに入ったのだぞ」
冗談で言ったつもりなのに本当に書いたのですかガレットさん…
メンバー揃いました!次話からはバトルシーンもりもりでいこうと思っています!
読んでくれた方に最大級の感謝を。