洞窟とオッサンと
書き方変えました。
これで多少は読みやすくなったと思うのでこれからもよろしくです!
心は燃えていますか?
ブレイさんのバーニングナックルにより今でも骸骨の破片が燃え盛っており、上がり続ける洞窟内の気温。当の本人は既に走って帰ってしまいました。
「どうしましょう…このままでは…」
既に倒れそうなセーラさん。私も蒸し暑くて脳が蕩けてしまいそうです…
とはいってもここまで歩いて十数分程、走ればなんとかなりそうですがセーラさんが心配です。
「とりあえずここの水…っていうかお湯くんで歩くわよ。ここにいたって誰も助けに来ない…来れないし、何も始まらないし」
「そうですね、セーラさん歩けます?」
「はい…」
私たちは来た道を歩き始めましたが…来た時よりも気温が上がっています。
例えるなら来た時がサウナで今が蒸し器です。
「これ…帰れるのかしら…」
「頑張りましょう!とは言いたいですけど…キツイですね…」
感覚的には十数分歩いた気がしましたが、出口が全く見える気がしません。
来た時にいたリザードマンは既にこんがりと焼けていて、普段でしたらすぐにでもかぶりつきたいですが、今はそんな気も起きないです。
体からは汗が止まらず、全身が濡れているはずなのですが冷たくなりません。
いつ倒れてもおかしくない状態でひたすら歩いていると、冒険者のような人が見えました。
「見てくださいお二人共~冒険者の方が来てくれましたよ~」
「来てないから!あんた幻覚見始めたわね!?セーラ、ミラを叩くわよ」
「なんでですか~…ミラさんの言うとおり冒険者の皆さんがいっぱい…」
「あんたもか!…二人共歯ぁ食いしばりなさい!」
「「え?」」
スパァン!!と二回大きい音が響き、目が冴えたというか痛みで歪んでいた意識が元に戻った感覚がします。セーラさんも同じような感覚になっていると思いますが…
半泣きですね。
「痛いです…」
「倒れて石焼肉になるよりマシだと思いなさい、ぶっちゃけ私も視界がぼやけてきてて意識あるかないかの境界線で歩いてるようなもんなんだから…」
「じゃあ今度は私がぶってあげましょうか?」
「断る!それなら壁に寄りかかって目を覚ました方がまだマシ!」
「えぇ…」
その後、歩くスピードをあげ、なんとか洞窟を出ることができました。
お昼に入ったのに外はもう夕方になっていて、服が濡れているので風がとても冷たいです…というかこれ透けて下着が見えているのでは…いや軽い鎧を装備しているので大丈夫でしたね。
「やーっと外に出れたー!さっさと町に帰ってお風呂入りましょ!あいつを探すのはそれからよ!」
「ブレイさん…先に帰っていればいいですけど…」
町に帰る頃には日が暮れてしまい、凍えるような寒さになっていました。私たちはセーラさんと別れ、急いでお風呂に入りました。
元々一人用のお風呂のため少し窮屈でしたが、一秒でも早く入りたかったので仕方ありません。
お風呂から出てリオルが持ち帰っていたリザードマンのお肉をおすそ分けするためセーラさんの家に行くと、玄関前に普段着を着ているブレイさんが座っていました。
「あんた…色々言いたいことあるけどとりあえず…何してんの?」
「見ればわかるだろう、座っている」
「そういうことを聞きたいんじゃないのよ、なんでそこに座ってるかを聞いてんの」
「そういうことか、セーラがここに座っててと珍しく声を荒げたから座っている。あいつが帰ってくるなり風呂に入って飯の準備を始めたから手伝うと言ったらこの様だ」
「また喧嘩したのかあんたら!昨日仲直りしたばかりじゃない!」
完全にブレイさんのせいじゃないですか…恐らくブレイさんは先に帰ってきていて(窓からの侵入)そこにセーラさんが帰ってきたがセーラさんは真っ先にお風呂に入ったのでブレイさんが帰っていないと思い、お風呂から上がってご飯の準備をしていたらブレイさんが現れて…といった感じだったのでしょうか。
「ブレイさん、洞窟を先に出て行ったことを私はもう気にしていませんがセーラさんには謝りましょうよ、あとリオルも気にしていますし」
「なんだと?小生が先に帰ったからあいつは怒っていたのか?」
「それ以外何があるって言うのよ。とりあえず私たちはセーラに渡したいものがあるからそこどいてくれない?」
「ああ、だが今あいつは不機嫌だから気をつけたほうがいいぞ。いきなり毒矢が飛んでくるかもしれん」
「その警戒心があるなら少しはあの子に優しくしなさいよ…」
ドアをノックするとセーラさんが出てきて、私たちには笑顔を見せてくれましたがブレイさんを見ると顔をムスっとさせたので不機嫌といえば不機嫌ですね。
家に上がらせてもらい、リザードマンのお肉をおすそ分けし、明日の話をするついでにブレイさんの話になりました。
「あの~そろそろブレイさんを許してあげてもいいんじゃないかな~って思うのですが…」
「嫌です…!ブレイさんが心の底から謝ってくれるまでは…あそこに座っていてもらいます…!」
話し方はいつもと変わりませんが、表情が本気なのでとても強い意志を感じます。
これ以上何かを言うと矢で撃たれそうな気がしますが、話相手はリオルではありません。
ここはひとつ賭けてみますか…
私は席を立って玄関へと向かいました。
「ちょっとミラ?もう帰るの?まだ話終わってないんだけどー」
「ちょっと待ってください!…ブレイさん、行きますよ」
「わかった。自分で行くから手を離してくれ」
玄関前で座っていたブレイさんの手を引いて連れて行くとセーラさんは思いっきり嫌そうな顔をしています。
「なんで…連れてきたんですか…?」
「ま、まぁお話を聞いてあげてください!ねぇブレイさん?」
「セーラ…その…なんだ…今日は洞窟に置いていって本当にすまなかった。次からは必ずおぬしを置いていかないようにすると約束する」
似たようなやりとりを昨日したような気がしますが…気のせいですよね。
「本当…ですね…?」
「ああ、この心臓に誓おう」
「なら…いいです…」
ホッとした私とリオルはセーラさんに挨拶をして家に帰り、寝室に向かうと見たことのない弓がありました。
手に取ると丈夫にできていますがとても軽く、扱いやすそうです。
「ブレイさんの弓でしょうか?それにしても軽すぎですよね?」
「…ぷふっ!あいつ本当に不器用ねー」
「え?どういうことですか?」
「その弓の下の部分見てみなさいよ」
よく見てみると「親愛なる友へ」の文字が。
ということは…私にくれるということなのでしょうか?
「貰っておきなさいよ、使ってあげなさい。少しはあんたの活躍も増えるでしょ」
「一言余計ですよ!…ですがあのブレイさんが造ったものです、きっと凄いものなのでしょうね」
私は弓を武器置き場にしまったあと布団に入ってぐっすりと寝ました。
そして翌日。貰った弓を早速使おうと家を出るとバッタリブレイさんに会いました。
「ブレイさん!この弓ありがとうございます、大事に使わせていただきますね!」
「その弓はリオルに送った弓だぞ」
ショックで膝から崩れ落ちる私なのでした。
12月3日に初のサークル参加!
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