you dont cry Ⅷ
「えぇ‥‥さようなら。」
私にそう言い背中を向けた女性の後ろへと忍び寄り、ピアノ線で一気に首を締めあげた。
「ぐぁっ‥‥ハァッ!?」
背中を向け尻を使って女性の背中を持ち上げる。
「下手な芝居を打ち過ぎたな‥‥フリアイア」
私は最初からこの依頼を胡散臭いと思って居た、戦士長アレン・ギースが何者かに殺害される事が分かっていたかのような計算されたセレル・リーペイの降格と受理されたはずの捜索願い、そしてセレル・リーペイの任務放棄。
「アレン・ギースは本人だが、私が見た死体のセレル・リーペイは恐らく君の得意な死体遊びの物だろう。本来降格ではなくそのままの階級で留まるはずの仕事熱心で国民からの信望も厚いセレル・リーペイはどこだ。」
「フフッ、そこまで気づいてるのなら放して下さらない?いい加減苦しいですわウル様ぁ?」
そうはいかない、私が調べた騎士長セレル・リーペイは間違いなく善人だ、我々血の一族はその者達を殺める事をしてはならない、それは例え追放されたものであっても‥‥従わなくてはならない呪いのはずだ。
「どうやって呪いに逆らった、アレはお前が歯向かえるほどの代物じゃない。私だって出来ない程強いのだぞ‥‥それなのにどうやって」
「でーすーかーらー・・・・離せって言ってんだろうが。」
今ここでフリアイアを殺して置けば本物のセレル・リーペイの行方がわかる、だが‥‥血の呪いに逆らう方法があるのなら聞き出しておきたい。どちらを取っても損はしないが‥‥実を取るべきか。
「呪いのほうもセレル・リーペイの事も喋りますからぁ‥‥離せよ。」
「‥‥良かろう。余計な事を一言でも喋れば貴様をヴィルヘルムに捕まえに行かせる。全て洗いざらい喋ってもヴィルヘルムに捕まえさせる。」
締め上げていた力を緩め、放り投げた。貴様は生かして置く価値はない、ヴィルヘルムに捕まえさせる前に私が殺してやる。
「ご当主に似てきましたねぇウル様ぁ?あぁあああ素敵ぃぃ‥‥その冷酷な目ぇ‥‥」
気色の悪い女だ‥‥。
「セレル・リーペイはぁ‥‥私のぉ‥‥お腹の中でぇす‥‥アハハ‥‥アハハアッ!」
「ほう‥‥で、呪いの方は?」
セレル・リーペイは間に合わなかった‥‥すまない、だが呪いの方はどうだ?
「呪いハァ・・・・新鮮なぁ‥‥血でぇ‥‥聖杯をぉ‥‥」
「聖杯‥‥?」
「聖杯をぉ‥‥満たすとぉ‥呪いがぁ‥‥アハヤヒャハヤヤ!!」
「‥‥貴様は誰だ?フリアイアではないな?」
異常なまでの興奮とその雰囲気、以前のフリアイアは確かに気色の悪い女だったがここまでじゃなかった。
「‥‥」
目を細めてフリアイアを見る、彼女の至る所に魔力で作られた細い糸が何本も繋がって居るのが見える。
「アハヤハヤハヤヤヤヤハハハッ」
そうか‥‥フリアイア、お前も人形にされたのか‥‥呪いの負荷が限界を超えて‥‥眷属になったのか。