you dont cry Ⅵ
デルタ―卿が保有する領地から帰還をする私を乗せた馬車の中、持ち込んだワインを一口含み、窓ガラスに打ち付ける激しい雨と風を見ながら思い返していた。
若き当主レーベンニッヒはやはり嘘をついていた。第一の前提として私の館の場所を知って居た事、第二に暗殺を頼んできたこと。第三に私の唯一の好物を誤解していたこと。
「若さゆえか‥‥愚かさ故か‥‥」
なぁ‥‥?レーベンニッヒ。
「~!!~~!!」
「舌を切り取ってしまったから何を言っているか分からんな。」
私は憎しみを変わりに晴らすもの。私欲とはいえそれに属さない仕事はせず、いずれ障害になるであろう存在は植物の実のように摘まんでおくのだ。
「私の名を独自に調べ上げた事は感心に値する、どれほどの金を使ったのかはこの際どうでもよい」
「ふ~!!」
「ふふふ‥‥小さな獣のようだな」
デルタ―卿とは長い付き合いだ、古の契りを交わした我々を欺こうとは中々欲深い。
「だが‥‥それだけだ、獣よ。」
「ふ~~!!」
「ソナタは然るべきやり方で、吸わせてもらおう。」
久しぶりの極上の味わい、楽しませてもらおうか‥‥なぁ?獣よ。私の唯一の好物、それは、俗物の‥‥