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穢れた血の貴公子  作者: アイリス卿
12/19

baby don't cry Ⅱ

「ウルと言うのですか?」

「あぁ、ウルという名で呼ばれていたから、ウルだ。」

 

 私は幼い頃、血の一族の長‥‥父上に拾われ育てられた。ウルと呼ばれた私は血の一族に向かい入れられ人間が人間を殺す術を教え込まれた。


「私はフレイ・アーグベルト。今日から貴方の一族になるの。よろしくね。」


 フレイ・アーグベルトは父上が残した血の手帳に記された者の1人。私は父上の役割を引き継ぎ、血の手帳に記された者をこの世から抹殺しなければならなかった。

 

「あぁ、よろしく頼む。」


 フレイが私達の屋敷に来る前に、血の一族に伝わる儀式が私に施された。儀式は私の人としての全てを捨てさせ人並みに生きる事すらも捨てさせた。夢も、心も、全て。


「それにしても、聞いていたよりも豪華な屋敷ね? 正直驚いたわ。」

「どこもこんなものだろう、今日はもう遅いから休むと良い。明日から働いてもらうからゆっくり休んでくれ。フレイ。」


 君に私が望んだ全てをこの一族の儀式が捨てさせた。一族を憎むことも出来ない。何故なら私以外の一族はもういないのだから。


 フレイ‥‥君と言葉を交わさなければ‥‥私は私で居られたんだ。人を捨てた人が人に戻ろうとしても戻れやしないのに。それに気付けなかった愚かな自分に気付くこともなかった。


「あら、ウル? まだ寝ないの?」

「‥‥私は少し飲んでから眠る。」

「そう‥‥私も一緒に飲んでもいい?」


 君が‥‥私に近付かなければ無くしたはずの感情が蘇ることも無かった。花の美しさを知ることも‥‥切なさを知ることも‥‥なかった。


「あら、あの花‥‥ほんのりとピンク色の‥‥こんな豪邸に似合わない可愛らしい花ね。ふふっ‥‥なんだかウルみたい。」


 君があの花に気付かなければ、眠る君の命を絶って終わるはずだった夜を‥‥超えてしまった。


花のモデルは「エリカ」という花です。


花言葉は「孤独」

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