you dont cry Ⅰ
暗い物語を書いてみよう、という考えを実行致しました。
異世界ヒキニート物語と異世界に送られちまった。の方も書いて行きます故、宜しければご覧くださいませ。
誤字脱字、意味不明な記号、文章、改行のほうを見つけたらご指摘ください。
私は生きる為に誰かを殺めながら毎日を生きて来た。私が食べる物、着るモノ、住むところ、全てが誰かを殺し感謝の証として貰った金で揃えて来た。もう何人殺したか分からない・・・それだけの人を殺してきた。
人を殺す事は禁忌だ。等と・・・私がそんな真っ当な人間の様な事を言うのは間違っている。
「あ、ウルさんだ!どうもこんにちは!」
私に声を掛けて来たのは仕事の為に滞在しているこの街、リリナに暮らす小さい女の子。名前はアイリスと言っていたな。
赤く可愛らしい衣服、耳に赤い髪の毛を掛けて赤い花の髪飾りでまとめた小さな少女だ。
空は雲が一つ二つある程度の海のような青がどこまでも広がる青空で、太陽に照らされた赤毛の少女はより赤く輝いて見える。
「こんにちはアイリス、今日も家族の為に花を摘んでいたのかい?」
アイリスの家族は母親と父親、娘が1人。
「うん!お母さんがお花を摘んできてっていうから綺麗なのいっぱい取って来たんだよ!ウルさんにも一本あげるね!はい、どーぞ!」
手渡されたのは一本の淡い紫色の花。
「そのお花は花言葉があるんだよ!教えてあげよっか?」
「是非教えて欲しいな。なんて花言葉なんだい?」
この淡い紫の花言葉は・・・確か。
「また会いたいって花言葉だよ!」
さようなら。
「素敵な花をありがとう、お礼にお茶とお菓子を君にあげよう、おいで」
「わーい!やったー!」
仕事を終えた私は依頼人の元へと足を運んだ。そこで待っていたのは赤毛の女性だ。
「約束の品を。」
「本当に殺してくれたんでしょうね?」
「ご確認しますか?ご案内します。」
私の仮住まいに赤毛の女性を連れてゆき、証拠を見せた。
「ふん、噂の腕前ね。穢れた血の貴公子さん?本当に・・・醜い子よ。私の子だなんて信じられないわね!これでやっと私をあの人が私を見てくれるわ!」
「・・・約束の品を頂戴します。」
依頼された仕事に対して支払われる対価、それは金銭、さぁ・・・次の仕事を始めよう。
「ヒルデさん」
「何かしら?お金はちゃんと渡したはずよ?」
「えぇお金は頂きました。そしてもう一つ頂きたいと思います。」
「もう一つ・・・?何かしら?」
最初にこの街に来て依頼された私は、その依頼人に会いに行った。
「あの赤毛の女はちゃんと殺したのか?名前を呼ぶのも汚らわしい・・・あの忌々しい赤毛の女」
「もちろん・・・ご確認しますか?」
男は少し悩んだ後、依頼料を私に支払った。
「いやいい、それよりも俺の娘を知らないか?あの赤毛の女によく似ているが可愛い娘だ。帰りが遅くて心配しているんだが・・・」
「いえ、私は知りません・・・では失礼します。」
雨が降り始め、リリナの街を出て歩く私は胸に刺してある淡い紫色の花を撫でながら呟き、投げ捨てた。
今・・・私の頬に伝って落ちてくるのは雨。
「・・・すまない。」