番外編・萌え萌え……キュン!!
どうも、坂本玉希です。最近、私は悩んでいます。それは、私の存在感が希薄になっていると言う事です。ていうか、良平君の恋人は私で、ミイナちゃんは子供で、友姫ちゃんは妹なポジションなんですよね?
なのに、良平君はどうしてあの二人にばかり構って、恋人である私をないがしろにするのでしょう?あの二人にあって、私にないものってなんですか?考えられるとすれば一つしかありません。
露出度!!
結局、男性の方はミニスカートがお好きなんですね……和装の大和撫子よりも、ミニスカートはいたバカ女どもの方が好ましいのですね……ああ、嘆かわしい。日本もあと50年もすれば滅びますよ、きっとね!!
などと、言いつつも私の前には紺色のワンピースがあります。ミニです。白いエプロンドレスもあります。フリフリです。カチューシャも……簡単に言うとメイドさんコス一式が用意されてます。クロちゃんを使わずに自分の足でアキバに行き購入しました。エヘン。
「しかし……」
妖狐族の次期頭首たるこの私が、なにゆえメイドなどの格好をしなければならないのでしょう?私は姫であってメイドではなく、むしろそのメイドさんにいたず……ごほん。あれこれと仕事をお願いする上の者です。
しかししかし、メイド服に身を包んだ私を見た良平君はなんて言うでしょう?あぁ……考えただけで彼の幻聴が……
「お〜い、玉希ちゃ〜ん」
ムフッ♪
考えて見れば、夫に尽くす妻も、主に尽くす使用人も似たようなもの。両者の間には何か通じるものを感じます。なれば、このメイドコスも一種の花嫁修業になるかもしれませんね。と、いうわけで、いざ!!
「変・身!!」
と言ってもただの着替えです。私の変化のレパートリーは、パンツスーツのママか、着物7色だけなんで、それ以外の姿は普通に着替えです。狐の妖怪も万能ではないのです。さて、ここから先、殿方はあまり想像力を働かせずに流し読みしてくださいまし。
「えっと……まず、黒タイツはいて……ワンピに袖とおして……エプロンつけて……カチューシャを……できた!!」
鏡に映った私はまさにメイドさん!完璧なまでのメイドさん!でも……ちょっと、スカートが短すぎるような……でもでも、これはこれでかわいいかも……この姿見たら良平君なんて言うかな……
「お……お帰りなさいませ……ご、ご主人様……」
え?あ、あの……玉希ちゃん?
むふ♪
「ご、ご主人様……なんなりとお申し付けくださいまし……」
えぇ!?ほ、本当にいいの……?
のってきたぞ〜
「い、今なら玉希はなんだってご主人様の命令聞いちゃいます♪」
「そう……じゃあ、いいかげん、この回覧版受け取ってくんない?」
「って……良平君!?いつからそこに!?」
「あ〜……やっと、俺の存在に気づいてくれた?」
え?え?何で?どういうこと!?何これ!?何で良平君が私の部屋の玄関で立ってるの?女の子の部屋に入るときはノックぐらいしようよ!!ていうかしろよ、このカスが!!殺すぞ、ボケ!!
「言っとくけど、俺ノックもしたしチャイムもならしたからな?」
「あ……そうなんだ……で、何の用事……ですか?」
「だから、回覧版……」
「あ、そうでしたね!!ごめんなさい私ったらつい……」
良平君の手から私の手に回覧版がまわる……その瞬間、彼は言った。
「そ、そういう格好も結構……ていうか、凄くかわいいね」
「え……そ、そうですか……」
こんな事言ってもらえるなら……たまにはこういうのも悪くないかも……
「あとさ、もう一つだけ……」
「な、なんですか……?」
「ナイス、生着替え」
「へ……?」
えっ…………と、彼は今なんとおっしゃいましたか?ナイス……え?
「え……ていうか、良平君はいつからそこにいたんですか?」
「うんとね、君がその服をじ〜……っと見つめて悩んでいた時からだよ♪」
「えっと……という事はつまり……」
「あえてもう一度言おう!!ナイス、生着替え!!」
「お黙りください、ご主人様〜?そのつきたてた親指とあなた様の首をへし折りますよ〜?」
ついでに、良平君?あなた、正直者は死神を見ると言うことわざを知らないのですか?知らないなら教えて差し上げますよ〜……ご主人様〜……
「いいもん見れた!!その後、おっそろしい目にあったけど、それでも構わん!!さて次回は、天童と先輩が実は結構仲良しだったり、友姫は案外素直でいい子だったり、俺がメイドの玉希ちゃんにこき使われたり……」
「番外編・メイドさんブーム!?」
「俺たちは変態じゃない!!」