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番外編・甘美なる猫たちの宴

「なあ、良平……ここか?」

「あ、ああ……たぶん……」


 俺と天童は先輩に「今度ミイナが働いてるお店に、遊びに来て欲しいにゃ〜」と言われ、教えてもらった住所にきた。はずなんだけど……その……お店の名前が……


――メイド喫茶・甘美なる猫たちの宴――


 えぇ〜……何このヴィジュアル系バンドの新曲みたいな名前……ここ、本当にメイド喫茶なんだろうな?妖しいお店だったら、ミイナちゃんには別のバイトをしてもらいますよ……


「心配すんなって、良平。見た目は普通の喫茶店っぽいし、たぶん大丈夫だろう」

「そう……かな?」

「大丈夫だって」


 相も変わらず変に自信満々な天童とは反対に、俺は不安と嫌な予感を胸に抱きながら、甘美なる猫たちの宴の扉を開けた。しかし、店内は割りとどこにでもあるような喫茶店だ。猫たちの宴、というだけあってか、働いているメイドさんたちは皆、一様にネコ耳とネコ尻尾を装着している。ん?てことは……?


「あ、管理人さ〜ん♪天童く〜ん♪」


 やはり先輩も……くぅ〜!!これは反則的なまでにかわいい!!ただでさえかわいい先輩が、ネコ耳とネコ尻尾を装備して、なおかつメイドさんの格好で登場だなんて……たとえ、気持ち悪いと女性読者に思われても構わない!!声を大にして言いたい!!萌え〜♪


「おいこら、バカ猫。そうじゃねえだろ。今は仕事中なんだから、ちゃんとそれなりの接客をしろよ。てめえにはプロ意識ってのがないの?」


 て……天童さん?クールにもほどがあるよ?そんぐらい大目に見てやろうぜ?な?


「あ、そっか。いっけな〜い」


 言いながら、コツンと頭を叩く先輩の仕草は、かわいいとかいうレベルではすまされない。まさに生きた世界遺産である。その、ワールドクラスの美少女が俺たちに言うのだ。あの、メイドさんの言葉を!!


「お帰り下さいませ、ご主人様」


 まさかの入店拒否!?


「おい、ミイナ……てめえ、俺たちにケンカ売ってんのか?」

「冗談にゃ〜。今度はちゃんとやるよ」


 なんだ……今のは先輩なりのジョークだったのか……ビックリしたぜ。


「お帰りなさいませ、ご主人様――」


 そう、これだよこれ。もう、この一言だけで言葉に出来ない幸せが体中を駆けめぐ……


「――と、お兄ちゃま!!」


 ん!?おにいちゃま!?


「「「「おにいちゃま!!」」」」


 しかも、店内のメイドさん全員で!?えっと……間違いなく俺のことではないから、天童君の事なんだろうけど……ご主人様からおにいちゃまにクラスチェンジするには相当通いつめなきゃいかんだろう。て、ことは何?こいつ、常連さん!?


「おい、どうなんだよ、天童」

「…………」

「おい、こら。こっち向けよ、鮫島組の若頭おにいちゃま

「いや……これは、あれだよ?最近禁煙の喫茶店増えたじゃん?」

「バレバレのウソついてんじゃねえよ、酒呑童子じょうれんの夜叉王丸おにいちゃま。禁煙の喫茶店なんて聞いた事ねえよ、天竜八部衆おにいちゃま?ていうか、おにいちゃまはねえだろ?お前そんなキャラじゃないだろ、最強の妖怪おにいちゃま

「おにいちゃま、おにいちゃま、うるさい!!」


 何この子!?逆切れ!?


「仕方ねえだろ!!ここしかないんだよ、俺が現実の女の子と会話できる場所は!!三次元でそんな事が可能なのはここだけなんだ!!」

「悲しい事叫んでんじゃねえよ!!こっちまで泣きたくなるわ!!俺が悪かった!!追い詰めて悪かった!!」

「メイド喫茶・甘美なる猫たちの宴……それは現実世界に見放された俺が、唯一リアルの女の子と会話できる場所である」


 やめてくれ、天童!!そんな言い方しても珍百景には登録されないから!!

「天童キモ……とか思わないであげてね?あいつだって本当はいい奴なんだから……たぶんだけど……で、次回なんですけど……玉希ちゃんメインのお話です。実は彼女悩んじゃってます。さて、玉希ちゃんのお悩みとは?」


「番外編・萌え萌え……キュン!!」


「主人公やっててほん……っとうによかった!!」

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