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番外編・犬と狐とポジションと

 徒然荘の管理人になってから、たった三日で色んな事があったな……かわいい猫又の美少女にボッコボコにされたり、鬼の殺し屋に変なアルバイト付きあわされたり、妖艶な狐の女の子に半殺しにされたり、殺されそうになったり、殺されたり、生き返ったり、etc、etc……

 まあ、色々あったが全部丸く収まって、お菊さんや友姫という新しい仲間も増えて、めでたしめでたし…………といきたかったんだが……何かえらい現象が起きてしまった……


「良平君!!オイラの新しい仲間を紹介するよ!!」


 桜の花びら舞い散るアパートの庭に、設置されたピカピカの犬小屋の前で元気よくわめくのは、我が徒然荘のマスコットキャラ・クロちゃんだ。そして、その犬の横にもう一匹、別の犬がいる。


「初めまして!!って訳じゃねえが、まあいいか!!俺様は送り犬のポチ!!よろしくな!!」


 え?何これ?どういうこと?犬が犬を拾ってきたの?いや待て、落ち着け、クロちゃんは狐の妖怪であるからにして……いやいや、待て待て、論点そこじゃねえ。問題はそんなの家で飼えません!!捨ててらっしゃい!!と言わなければならない事だ。

 だって、ただでさえうちにはブラックホールでできた胃袋を持つちびっ子エンゲルの怪物がいらっしゃるんだぞ?その上、友姫やらミイナちゃんやら玉希ちゃんやら美樹ちゃんやら、養わなければいけない扶養家族が4人もいんだぞ!?俺まだ15なのに!!

 でもな……


「ハッハッハッ!」


 言えねえ……こんなハッハッハって言ってるワンちゃんを捨ててきなさい、なんて言えるわけねえ……

 こんな時、俺の母さんなら……「黙れ、小僧!!お前にサンが救えるのか!?」……ダメだ、あのクソババアは何の参考にもならない……まあ、いいか。


「よし、分かったよ。じゃあ、お前も今日からここに住め。エサはちゃんとやるからな」

「恩にきるぜ、マスター!!」

「マスターって……まあいい。ところで、送り犬ってどんな妖怪なんだ!?」

「おお、そういや本編じゃろくに解説もしてもらえなかったもんな……よし、来た!!それじゃ説明するぜ!!送り犬ってのはだな……」


 ポチ曰く、送り犬という妖怪は、簡単に言うと夜道を歩く人間を付けまわすストーカー犬だ。そして、人間が転ぶと襲いかかって食べてしまうのだ。だが、実は送り犬も千差万別さまざまなタイプのものが存在するらしい。

 人間にタックルをかまして、無理やり転ばして仲間と一緒にディナータイムとしゃれ込む強硬派から、人間が無事に家までたどり着けるまで見送り、その道中に野犬などから守る穏健派まで、実にさまざまだ。ちなみにポチは穏健派らしい。

 てか、ただの喋る犬だと思うだけど……まあ、彼のアイデンティティを壊したくないので、その件についてはもはや言及しないでおこう。


「ちなみに、送り犬は、別名・送り狼とも呼ばれて、その正体は絶滅したニホンオオカミだって説もあるんだぜ!!」

「へぇ……」

「あとよ!!送り犬の他にも、送り狐とか、送り雀とか、送りシリーズの妖怪は結構たくさんいるんだぜ!!」


 物知りな犬だ。しかし、俺はそんな事よりもお前が持参してきたであろう犬小屋に書かれた、「歩地」という文字の方が気になるのだが……何それ?名前?当て字?まあ、ある意味かっこういいわ。だって地を歩くって書いてポチだもん。でもな……


「なあ、ポチ。せっかくだからこの機会に名前を変えてみないか?」

「おう!!そりゃ、いいアイデアだ!!そうだな……それじゃ……」


 なぜかクロちゃんを見つめて不適な笑みを浮かべるポチ。


「何だよ、ポチ。何でオイラを見んだよ」

「決めた!!俺様のニューネームはコンだ!!」

「てめえ!!何だよその狐ティックな名前は!!明らかに俺を意識してんだろ!!」

「ぐはは!!ばれたか!!さすがは兄弟!!」


 う〜む、この2匹いいコンビになりそうだ。

 

 まあ、ポチの名前はクロちゃんが反対運動を起こしかねないので、変わらずポチのままでいいだろう。犬小屋のネームプレートは今夜にでもこっそり変えればいいし。


 それはさておき、あっちで訳分かんない反対運動起こしている二人を何とかしよう。


「動物キャラ増加反対!!」

「これ以上の犬猫はいらな〜い!!」


 そんなプラカードを持っているのは先輩と友姫だ。まあ、確かに先輩は猫又であり、畜生系の妖怪であり、広い意味では動物系なのかもしれないし、友姫の育ての親は虎だから、彼女も動物系にカテゴライズされるかもしれない……とでも言うと思ったか!!


「あんたらは動物じゃないから!!どう見てもビジュアル的には美少女キャラだから!!この2匹とポジションがかぶる事はありません!!」

「え、そうにゃの?」「何だ。じゃあ心配いらないね」

「そうですよ……」

「にゃ〜」「良かったね、ミイ姉」

「…………」


 ただ、先輩の場合はちょっとだけネコ語が多いというか、最近だんだんネコ化してきたような……マジでネコに戻るなんてことはないよな?まあ……それはそれで見て見たい気がするけど。


「こんにちわ、天童修司です。色々と厄介な事件があったが、ひとまずは一件落着してめでたしめでたし……と言いたいところだが、俺には気になる事がある。それは、良平のあの力だ……俺が良平の謎に迫る次回は……」


「番外編・良平の力」


「良平……俺はお前を殺しちまうかもしれねえ……」

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