第78話 あえて言おう。カスであると!!
後頭部に柔らかいものが当たっている。木の葉の匂いに混じっていい匂いがした。顔に水滴が落ちてきて、ああ……雨なのかな?なんて思った。薄目を開けて、この世に帰って来たと分かり、それと同時に胸が痛んだ。
「良平くぅん……」
俺に膝枕をしてくれている玉希ちゃんが泣いていたのだ。玉希ちゃんだけじゃない。
「管理人さん……死んじゃやだ……」
先輩も……
「良兄……」
友姫も……そして、あのクールな天童さえも胸を痛めて……
「だから、お通夜は明日で葬式はあさってにしよう」
俺の葬式の段取りを………………ん?葬式の段取り?
「それで、葬式のスピーチで俺が「諸君らの愛した管理人さんは死んだ!!なぜだ!?」って言うんだよ」
「あの〜修司君?そのギレン流のスピーチに何の意味が?」
「分かんないの、烏丸さん?」
「ああ、全く理解不能だ」
「主人公交代の合図だよ」
「なんでそうなるかは分からないが、管理人さんはまだ死んだと決まったわけじゃ……」
「いや、あれは死んだって。生き返ってもまた殺せばいいじゃん」
YU・RU・SA・N!!
沸点を越えた俺の怒りが、病み上がりのように、生き返りたては動けないという理論を無視し、音速の早さで起き上がり、光速の早さで天童の懐からデザートイーグルを奪い取り、そのお口に銃口を突っ込んだ。
「よお、天童。元気してたか?」
「あれ?良平君、生きてたの?」
「あえて、言ってやる!!てめえはカスだ!!」
「待て待て、落ち着け!!それは反則だって!!」
「うるせえ、ボケカスが!!てめえのせいで俺は一生物のトラウマ抱えて生きていく事が決定したんだぞ!!」
「待てよ、おい!!一体なんの話だよ!?」
「おめえも死んでみれば分かるって」
「いやいや、分かんねえよ!!てか、死んじゃったら……」
「イッペン死ンデミル?」
「なんで地獄少女風!?」
うるせえ、第三期終了記念だ。そしてお前への罰は銃殺刑などと生っちょろい物では済まさん。俺を殺しておいて反省するどころか、開き直って葬式の準備までしようとして、挙句の果てには主人公の座を奪い取ろうとした期様はこうだ!!
「ミイナちゃん餌ですよ〜」
「にゃ〜」
俺の合図と同時にモデル・レオパルドな先輩。さすがにその破壊力と凶暴性を知っている天童君はガッタガタ、ブッルブルです。でもやめません。
「ええええぇぇぇぇ!?良平君!?それはいくらなんでもあんまりじゃないのかな!?俺たち友達だよね!?ソウルブラザーだよね!?魂兄弟だよね!?」
「ああ……前世まではな!!」
ということで、ポイ♪
「ニャアアアァァァ!!」
「キャアアアァァァ!!」
その後、猫耳(とその他の部分も猫型の肉食獣)な少女が、アホな美少年を半殺しにするシーンがあったのだが、我ながらやりすぎたと思ってしまうほど凄惨なものになってしまったので、カットさせて頂く。悪いな、天童。お前の面白シーンは特に無しだ。
さて、そんな事より……
「心配かけてごめんね、玉希ちゃん」
「いいんです……良平君が無事だったら、私は他に何も望みません」
あぁ……嬉しい……こんなかわいい子にこんな事を言ってもらえる日が来るなんて……
「友姫にも心配かけて……」
「ふん!あたしは別に心配なんてしてなかったよ」
と言うわりには涙目なのが、なんともいじらしい。思わず頭をなでなでしたくなっちゃうというものだ。
「よしよし」
「むぅ〜子供扱いするな〜!!」
かあいいよぉ……ん?今、一瞬だけど静電気みたいなものが走ったような……
「…………!!」
「どうしたの、良兄?」
「い、いや……何でも……」
ていうか、目まいが……あれ?何だ、これ?頭の中に何かが流れ込んで……何だこれは!!