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第67話 霊界偏・ファイナル

 ご先祖さまに色々と教えてもらった俺だったが、少しばかり長居しすぎたのか、死神おむかえが来ちまった。ご先祖様はこいつに任せるとか言って消えちまった。こんな人に任されて俺、大丈夫なのか?生き返りたいんだけど、逆にあの世に拉致されない?


 なんて、心配をしていると死神が重い口を開いた……


「君、新しく死んじゃった子?」

「え?あ……はい。まあ、そうですね……」

「ふ〜ん……残念だったね。若いのに。ま、ドンマイ」


 軽!!死神めっちゃ口調軽いよ!?センター街とかに出没しそうだよ?しかも、人が死んでんのにドンマイで済ましたよ!?


「じゃあ、名前聞こっか?」

「え、加茂良平です……」

「はい、来ました。か、か、か、か……」


 死神は懐から何やらファイルを取り出すと、そのページを一枚ずつめくっていった。たぶん、今日、死ぬ人リストかなんかだろう。だって、デスファイルって書いてるし……


「あれ?カ行終わっちゃった……おっかしいな?ちょっと、待ってね」

「あ、はい……」


 すると、今度はノートPCを取り出して、何やらデータベースらしきものにアクセスしだした。何をしているのか非常に気になるが、覗こうとすると「これは人間が見ちゃダメ。これを見ていいのは死神とイチゴ君だけだから」と、小粋な死神ジョークをかまされたので大人しく待つ事にした。


「あー!!やっぱ、そういうことか!!そっち系かよ、くっそ!!」


 なにやら急に死神が不機嫌になり始めた……


「え、なんすか……?どうしたんすか?」

「加茂君ねぇ……君、Fだわ」

「は?F?いや、そんな業界用語使われても困るんすけど……」

「Fってのはフライング!!つまり、本当は今日、死ぬはずじゃないってこと!!何で死んじゃったの!?」

「いや、妖怪に殺されて……」

「殺されちゃダメでしょ!!ちゃんと生きなきゃ!!」


 無茶言うなよ……


「本当さ、最近の若い奴ってすぐ命を粗末にするけどさぁ!!命、結構重いよ!?君が思ってるより……あの、あれ、百億兆トンは重いよ!?」


 なんだよ百億兆って……馬鹿丸出しじゃねえか……


「あのね、こんな事、本当は死んだ人に言う事じゃないけどー、君みたいにFの子あっちに連れてくと、あの……ぶっちゃけオジサンの給料に影響しちゃうんだわ」


 うん、死んだ奴に聞かせるべき話ではないね?


「うちもさ、大変なのよ。娘を私立のいい小学校に入れてあげたいし、家と車のローンだって払わなきゃいけないし、それなのに現世で発生したサムなんとかの問題がこっちにまで飛び火してきて、ただでさえ公務員は給料減らされてんだよ!!その上、減給とかされたら、も、もうダメ。一家路頭に迷っちゃう」


 はいはい、すいません。全部、死んだ僕が悪いんですね。


「はい、というわけで、君にはこれ使ってとっとと生き返ってもらいます」


 そう言って死神が渡してきたのは……げええぇぇ……ある程度ここら辺で来るだろうなとは予想していたけども!!形が何か違う!!これ、1UPキノコじゃないよ!?緑色の不気味なマツタケだよ!?もしくはピッコロ大魔王の触手だよ!?それも、下半身の!!


「これは1UPキノコと言って……」

「いや、名称と使用方法は説明してもらわなくてもいい。現世じゃ猫型ロボットの次ぐらいに有名だから」

「あ、そう。じゃあ、食べて」

「食えるか、ボケ!!何か想像してたのと違うんダヨ!!俺の知ってる1UPキノコってのはもっとこうファンシーな形でかわいい顔が……顔が……」


 な、なんかオッサンみたいな顔がついてるううぅぅ……


「私ヲ食ベテエエェェ……」


 しかも不気味な声で何か言ってるううぅぅ……


「炊き込みご飯をキボンヌ!!」

「うるせえ、バケモノ!!黙ってろ!!」

「おいおい、ひどいな。オジサンは死神であってバケモノじゃねえぞ」

「おめえの事じゃねえよ!!つーか、てめえも十分バケモンだろうが!!」


 ていうか、マジでこんなグロテスクな罰ゲームしなきゃ生き返れないの!?何とかならない?他に蘇りグッズねえのかよ!!


「いや、もう面倒くさいから食えよ」

「え、ちょ、嫌だって……むごご!!」


 ギャー!!ピッコロのチ○コを口に突っ込まれた!!


「……!!」


 その瞬間、あまりの不快感からか、それとも何らかの成分が働いたのか、俺は気を失った。


……


…………


………………?


 頬を撫でる風がやけに冷たい。甘い香りは消え、どこか鉄臭い匂いが鼻をくすぐった。まぶたを上げると白い太陽が俺の目を焦がした。そうか……俺は生き返ったのか……あんなもので……


「さっさと、あんたもやられちゃいなよ!!」


 これは都羽姫の声?


「誰がお前なんかに!!」


 玉希ちゃん……?二人が戦ってる!?こうしちゃいられねえ!!今すぐ戦いをやめさせなけれ……くそ!!体が思うように動かねえ!!傷が深すぎるのか?だが……


「大人しくしてればあんたも今すぐあいつの所へ送ってやるよ!!」

「お〜い、都羽姫ちゃん」

「!!!!」

「そのあんたってのは……まさか、俺の事じゃないよな?」

「あんた……生きてたの?」


 おいおい、都羽姫ちゃん。俺たちは敵同士なんだろ?だったら、そんなホッとしたような顔をするのはおかしいんじゃないのか?


「良平君……」


 玉希ちゃんがうっすらと涙を浮かべながら俺を見つめてきた。ごめんね、しんぱいかけて。


「管理人さん!!」


 先輩にいたっては今にも飛びついてきそうな笑顔だ。


「…………」


 天童……はまだ気を失ったままか……

 まあいい。ここは主人公らしくびしっと反撃開始といきますか!!


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