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第56話 烏丸さんの末路

 神社への道中、天童君が衝撃の告白をした。敵は百鬼衆と呼ばれる妖怪テロ組織の一員で、そいつらはてんどうのように強いとのこと。しかもそれが3人も……俺達は無事に帰れるのだろうか……


「良平君、その心配は後でした方がいいと思いますよ……」

「え、玉希ちゃん?それはどうして……」

「えっと……」


 どうしたというのだろう。玉希ちゃんの顔が引きつっている。


「あの〜……非常に言いにくいんだが、俺達は今大ピンチだ」

「天童……?まさか、もう百鬼衆の奴らが現れたってのか!?」

「いや、事と次第によってはそれ以上に厄介な人……」

「ええ!?鬼よりも厄介な奴ってなんだよ!?……悪魔か?」

「うんとね……少し前を向いてみて……」

「いやでも、鬼とかそれ以上に強い奴が出てくるのに前向きになんか考えられないよ」

「いや、そういう意味じゃなくて、前方約50m先に目をやって」


 前方約50m先ってやけに具体的だな。そこに何が……げええぇぇ……マジでええぇぇ……

 そこにいたのは青い征服と黒い革靴がトレードマーク。何も悪い事していなくても無駄に緊張させるその存在感。そう……


「君たちこんな所でなにしてんの?この辺は危ないから子供が来ちゃダメだよ」


 OMAWARIポリスメンだ。何でこんな時にこんな所でおまわりに出くわすかな……ゴルフバッグの中見られたら一発でアウトだよ。どうするかな……


(管理人さん、俺にいい考えがある)

(おお、いきなり設定を無視してテレパシーで語りかけてきた天童君。君の意見を聞こう)

(まず、管理人さんがこいつの注意を引いてくれ。その隙に俺がメタルキングの6番アイアンで……)

(よし、黙ってろ)


 何がメタルキングの6番アイアンだ、ふざけやがって。そんなことしたら公務執行妨害でパクられちゃうでしょ?どうしてそんな事が分かんないの!?ていうか、それもうメタルキングいらないから!!


(良平君、私に妙案が……)

(おお、玉希ちゃん。君は賢い妖怪の代表格、妖狐族の次期頭首様だからね。期待してるよ)

(このメタルキングのトカレフで……)

(はい、却下します)


 だから、何でお前らは始末すること前提なんだよ!!つーか、メタルキングでもなんでもないからね、それ!!メタルキングつけたら何やっても許されると思ったら大間違いだから!!


(管理人さん、ミイナちょうどお腹空いた……)

(それ、一番ダメー!!)


 あんたのが一番笑えない!!シャレにならない!!後でキャットフードたらふく食わせてやっから!!シーチキンもあげるから!!今は我慢して!!


「どうしたんだい、君たち?顔色が悪いよ?」

「ああ、いえ……別に……」


 うっせーよ、ポリ公が。全部お前のせいだよ。大体なんでこんなタイミングで現れんだよ。空気読めよ、バカ。なんて言えるわけねえしな……マジでどうするよ?


(管理人さん、ここは僕に任せたまえ!!)

(この声は烏丸さん!!)

(僕が警察の気をひきつける。その隙に君たちは走れ)

(でも、それじゃ……)

(時間がないんだ!!迷ってる暇はないぞ!!)


 く、烏丸さん……あんたって人は……分かったよ。警官のお相手はあんたに任せるよ。


(そうだ……それでいい……行くぞ)


 頭の中で烏丸さんのおとこらしい声が響いたと思った次の瞬間。辺りは閃光に包まれた。そして光の中から烏丸さん……


「フォーフォッフォッフォ!!私の名は怪人カラスーマ!!」


 に良く似た頭のかわいそうな人が現れた。しかも頭に女物のパンツ被ってブリーフ一枚で……いや、どこのどなたか全く存じませんが……何してんの、あんた?

 だが、警官の注意を引くという点ではこれ以上にない効果を発揮した。

 お巡りさんは怪人を見るなり、すぐさま警察無線のスイッチを入れ……


「こちら警ら407。徒然町北通りにて指名手配中の烏丸明彦を発見しました。発砲の許可をお願いします」


 て、身元ばれてるううぅぅ……それどころか指名手配されてるううぅぅ……しかも、発砲の許可を申請されてるううぅぅ……あんた今までに何やってたの?いや、聞かなくて大体想像つくけどさ……カラス天狗は隠密行動が得意とかほざいてたし……


「さあ、少年たちよ!!今だ!!走れ!!」


 うぜ!!この変態バカなに話しかけてんだよ!!ほらみろ!!お巡りさんがこっち睨んでんじゃんか!!


「君達はあの男の知り合いかね?」

「いいえ」「知りません」「全く持って」「赤の他人です」

「そうか、それならいいんだが……」


 以心伝心とはまさにこのことだ。天童、俺、玉希ちゃん、先輩の順に作文ゲームのようにお巡りさんの質問に正直・・に答えた。それも息ぴったりに。


「ここは危ないから君達は家に帰りなさい」

「はい」「分かりました」「それでは」「さようなら」

「ああ、じゃあね」


 頑張ってお巡りさん。あの変態をとっ捕まえて公開処刑にしちゃってよ。


「ふぉ、ふぉ……フォーフォッフォッフォ!!」


 何か泣き声だか、笑い声だかよく分かんねえ声が聞こえるけど、気にしない、気にしない。な、天ど……


“カキカキ”


 あれ?天童?お前なに書いて……


――夜行物の怪目録・陰――


妖怪:カラス天狗

氏名:烏丸 明彦

罪状:変態


―――――――――――――


 え?あの、これ……


「大丈夫だよ、管理人さん。烏丸さんは俺が後で説得まっさつしとくから」


 えっと……読みがなが……死んだな、あの人……


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