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第52話 やっぱ、赤の他人(後編)

 俺と天童、玉希ちゃんと先輩の4人で楽しいショッピングをしていた帰り道、俺たちは正体不明の妖怪(俺の親父)に遭遇してしまい、俺たち(特に俺)は非常に不愉快極まりない気分になっていた。


 ていうか……


「おめえ平日の真昼間からこんな所で何してんだよ!!会社はどうしたんだよ!!いい年こいて登校拒否ですかコノヤロー!!」

「父さんをいつまでも窓際族だと思っていたら大間違いだぞ」

「何!?まさか出世したのか!?」

「ううん、リストラされちゃった。てへ♪」


 おいいいいいぃぃぃぃぃ!!それはいくらなんでも想定の範囲外過ぎるよ!?何がテヘ!?お前がやっても全然かわいくないし笑えない!!それは切実にシャレにならない!!


「窓際どころか窓の外に放り出されてるじゃねえか!!」

「ちなみに家も追い出されました♪仕事が見つかるまで帰れまセーン♪」

「何でそんな明るいんだよ!!もっと深刻な顔しろよ!!」

「まあ、そんな細かいこと気にしても仕方ないし別にいいじゃん」

「良くねえだろ!!その歳で再就職は厳しいってニュースでやってたよ?どーすんの?」

「ああ、大丈夫。コンビニでバイトすっから」


 なにそれ!?20代のフリーターじゃないんだよ!?48のおっさんなんだよ!?自分のことだよ!?もっと真剣に考えろよ!!つーか親と子の台詞が逆じゃねえか!!


「そんなことより、良平。そのかわいい子を……」

「何だよ?今さら親父面して大事にしてやれって言いたいの?」

「いや、興味が湧いた。キバよ。そのネコ娘、俺に喰わせろ」


 突然何言いだすのこのバカ!?なにそれ?ひょっとして地上最強のモノマネ?言っとくけど史上最低の変態にしか見えないからね!!お前がやっても!!ていうか息子の名前を間違えるなって!!いろんな意味で!!


 あれ?先輩?どうしたんだろう?先輩が半泣き状態だ。


「管理人さん……この人なんかやだ!!何か恐い!!物凄く怖い!!」


 CP9養成所8期生の先輩をここまで怯えさせるなんて……さすが地上最強の変態親父だ。ていうか、こういう女の子らしい先輩ってちょっとかわいい……親父ちょっとだけGJ!


「大丈夫ですよ先輩。アレは変態というの名の新種のゴキブリですから。放っておいてもすぐに害虫駆除の業者の方に処理されますよ」

「本当?」

「ええ、本当です」


 ほら、見て。こんな天下の往来で真昼間から危ない発言を繰り返すもんだから、誰かが呼んだ紺色の制服を着たがっちりとした体格のお兄さん達がバカを捕まえたでしょ?


「いだだ!!なんだお前達は!?何するんだ!?」

「ああ、もういいから。詳しい話は署で聞かせてもらうから」


 別名ポリスメンと呼ばれる、この国ではYAKUZAな方以上に逆らってはいけない害虫駆除のプロフェッショナルだ。どうだ、天童?人間の警察もちゃんと仕事してるだろ?


「おい、良平!!これだけは言っておくぞ!!」

「何だよ、まだなんかあんのか?」

「浅はかなものたちの駄菓子の如き助言など一切聞く耳を持つな!!強くなりたくば喰らえ!!朝昼晩、食前食後に喰らえ!!喰らって喰らって喰らいつくせ!!」

「バカだ……」


 バカな親父はそれだけの暴言では飽き足らず先輩にも何か言ってきた。


「コズエとやら……」

「ミイナです」

「自己を高めろ!!雌として飽き果てるまで食らわせつつも足りぬ雌であれ!!喰らいつくせぬ雌であれ!!祝福するぜ二人とも」


 そうしてバカは連行された。容疑は色々あるがたぶんわいせつ罪だろう。まあ、俺的には色々と余罪をつけてこの場で死刑執行してやりたい気分だが……


「うぅ……ひっく……」


 それより今は泣きじゃくる先輩をどうにかしないとな。俺は大量の荷物を地面に置くと、先輩を抱きしめてあげた。


「大丈夫ですよ、先輩。悪は滅びましたからね?」

「本当……?」


 俺だけじゃなく玉希ちゃんも、顔を上げた先輩の頭を撫でながら涙をハンカチで拭いてくれた。


「本当よ。だから泣かないで」

「……うん。ミイナ泣かない」


 うむ、素直ないい子じゃ……おい、天童。お前も何か言ってやれ。


「お前ら3人親子みたいだな」

「え……!?」「な……!?」


 天童の思わぬ発言に俺と玉希ちゃんは硬直した。玉希ちゃんに至っては頬まで染めて……いや、たぶん俺も……


「管理人さんがパパで玉希ちゃんがママ?」


 先輩だけは嬉しそうな顔をしている。

 親子か……うーむ、俺たちはそんな風に見えるのかな?しかし、それならこいのトライアングルに巻き込まれ、死体で発見される危険性は……だが、ストーリー的にはどうなんだ?そして読者的にそれはOKなのか?俺は主人公的にどうすれば……


「さてと……」

「天童……?」


 俺がくだらない事で悩んでいると、天童が俺の分の荷物も持ってくれた。


「親子三人水入らずを邪魔しちゃ悪いしな。荷物は俺が持って帰ってやるよ。お前らはのんびりしてきな……」


 そう言った天童の顔は笑っていたけど、どこか悲しそうだった……


「良平君!!せっかく、天童君がああおっしゃってくれてるんですからどこか行きましょう!!ね?」

「ああ……うん」

「あたしはそうだな……ケーキが食べたいです!!」


 俺はこの時まだ何も知らなかった。天童がなぜあんな顔をしていたのか……


「玉希ちゃんばっかりずるい!!ミイナもハムスター食べたい!!ね、管理人さん?いいでしょ?」

「うん、ダメですよ……」


 そして、この後俺が巻き込まれるとんでもない大事件の事も……つーか、先輩?ハムスターってさっきのペットショップの?ダメに決まってんだろ!!




 

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