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第31話 何でこーなるの?

“パン!”


 え?あれ?うそ?パンって何?アン?食?カレー?ジャム、バタ、チーズ、フフン、フーン?違うね?音だもんね?ていうか撃ったね?マジで撃ちやがったね?俺が前回のあらすじ語る前にぶっ放したね?

 これどういうことだよ!?たぶん、9割ぐらいの読者が今「あれ?」って思って前回のラストを確認しに行ったはずだよ!?だって、俺もそうしたいもん!!何であの流れからこれ!?


 ていうか、ど真ん中に命中してるけど……いいのか?いや、俺は別にいいんだけど……


「ずるいよ、良平君……あんな事言われたら、僕何にもできないじゃないか……」


 いや、思いっきり撃っちゃったと思うんだけど……だって懐にしまったはずのトカレフ君が口から煙を吐いてるもの……ていうか、いいのか?大丈夫なのか?


「分かったよ……僕の全部を君に教えるよ……でも、その前に君の気持ちを教えて……」

「いや……あの……玉希ちゃん。あのね。いったんその話は置いとこう」

「保留なんてやだよ……今すぐに聞きたいんだ。君の本当の気持ちが」

「うん、だったら言うけど、今のところ嫌いじゃないし、むしろちょっと好きぐらいだけど、現在はそんなの関係ねえ!てぐらいそれどころじゃないと思うんだ」

「どういうこと……?」


 だめだ!!やっぱりこいつ自分が何しでかしてどんなことが起きてしまったのか、まるで分かってねえ!!そして、玉希ちゃん以上に分かんなきゃいけない奴がそれ以上に分かってねえ!!ここは、やっぱり教えとくしかないよな!?いいか?落ちついて聞いてくれ

よ……


「なあ……クロちゃん?お腹とか痛くない?」

「よく、分かったね!実はささっきからズキズキしてたんだよ。たぶんアレだな。昼間に食ったきつねそば。アレに当たったんだよ、きっと」

「いや……俺が思うにもっと別な当たってはいけない弾的なものに当たったと思うよ。ちょっとお腹の辺りさわってごらん?」

「うん……あれ?何だこの赤くてべっとりしたもの……」

「えっと……赤血球とか白血球とかそういうのが集まった血液的なものじゃないかな?」

「……………………………………なんじゃこりゃああぁぁ!!」


 気づくのが遅いし、ネタも古い!!今さらのたうちまわりやがったよこの子!!


「ぐああぁぁ!!超いてええぇぇ!!マジいってええ!!ていうか何でおいら!?今の流れはどう考えてもおいらを撃つとこじゃなかったよね!?どういこと、玉希ちゃん!?」

「だって大好きな良平君は撃てないから……」

「だったら、誰も撃たなきゃいいじゃん!!そしたら誰も傷つかずに世界は平和でいられたじゃん!!なんで撃つんだよ!!」

「だってイライラを溜め込んで後で良平君に迷惑とかかけちゃ悪いし……」

「何それ!?優しさアピールのつもり!?だからって他の奴で済ますって発想はかえって逆効果だよ!!好印象どころか恐怖しか植え付けねえよ!!おいらが死んだらどうすんだ!!」

「大丈夫、君は不死身なんでしょ?」

「そんなの平安時代後期の話だよ!!約1000年も前の話だよ!!あん時はまだ鉄砲なんて無かったんだよ!!こんなどてっぱらにクリティカルヒット食らって9999のダメージ貰うことも無かったんだよ!!こんなの瀕死だよ!!あと一発素手で殴っただけで死んじゃうよ!!痛いなんてレベルじゃねえよ!!そんなことも分かんないの!?バカですか君は!?」

「バカ……?君は誰に口を利いてるの?」


 あ……やばい……すこぶるやばいよ。クロちゃん気持ちは分かるけど君は今とんでもないNGワードを口にしちゃったよ。玉希ちゃん完全にキレてるよ!こめかみの血管がぴくついてるよ!今のうちに謝っときなよ!

 だが、俺の心配をよそにクロちゃんは謝るどころかぶちギレちゃったのだ。


「てめえに言ってんだよ!!このクソガキが!!いくらお頭のご息女だからってやっていいことと悪いことがあんだろうが!!もう、頭にきた!!今日という今日は言わせて貰うぜ!!」

「いいだろう。聞いてやるよ」

「毎日、毎日、人のことこき使いやがってよ!!一体おいらを何だと思ってんだ!!眷属ってのは手下であって便利な家政婦じゃねえんだぞ!!」

「……」

「炊事、洗濯、掃除、その他もろもろ、ぜーんぶおいらがやってやってるじゃん!!ていうか年頃の女ならその他のことはともかく、てめえの下着ぐらいてめえで洗えや!!何で男に洗わせてんだよ!!いくらおいらが2058歳だからって恥ずかしくねえの!?恥じらいってもんは無いの!?」

「…………」

「お前はおいらが死んだらどうすんの!?1人じゃなーんもできないじゃん!!それでも狐の妖怪ですか!?狐ってのは本来1人で生きていく種族だよ!!この甘ったれのはなたれ女!!もしかして、そんな事も知らなかったのかな!?いや、知らなかったんだよな!?だって、お前はバカだもん!!空気読めないもん!!」

「………………」

「だいたい良平君との仲だっておいらがとりもたなきゃ、友達にもなれ無かったよ!!まさか、さっきのでうまくいくと本気で思ったの!?どんだけバカなんだよ、お前は!!ボコボコにされて喜ぶ奴がいると思ってんの!?んなもんいるわきゃねえだろ!!」

「……………………」

「ていうか!!はっきりいってお前に可能性なんてないんですう!!いくら頑張ったってフラグなんてたたないんだよ!!だってこの子は徒然荘の二階に住んでる猫又の藤崎ミイナって子に惚れてるからお前なんてアウトオブ眼中なんだよ!!」


 おーい、ちょっと待て……クロちゃん、お前頭に血が上りすぎたせいでとんでもない情報を漏洩しているよ。気づいて。ていうか気づけ!!このままじゃ……あれ?玉希ちゃん?どうして銃をクロちゃんに……あれ?玉希ちゃん?どうして引き金に手を……あれ!?玉希ちゃん!?


“パン!パン!チーン!”


 眉間に心臓、アンド、コカーン!!お前いくらなんでもやりすぎだろ!!最初の二発もやばいが最後の一発は特にひどい!!同じ男として見るのもつらい!!ていうか、こんなのいくら妖怪とはいえ死ぬぞ!!何かもうのたうちまわるどころか、ピクピクしてるだけなんだけど、大丈夫なのか!?


「しっかりしろ、クロちゃん!!傷は浅いぞ!!」

「浅いかな……?何か眉間に変な違和感があるんだけど……」

「気にしちゃだめだ!!」

「これ……死なないよね?おいら……不死身とか言われてたし……これ、ユーモアだし……死なないよね?」


 すまんが分からん!!


「なに……大丈夫……例え死んでも……緑色のキノコを食べれば……生き返る……よね?」


 ごめんクロちゃん!!それはありえない!!そんな魔利雄さんご兄弟が食べるようなキノコがあの世に生息しているとは考えにくい!!ていうかそれは死ぬ前に食べなきゃ無意味だ!!


「なあ……最後にお願いを聞いてくれる……?」

「最後なんて言うな!!希望を持て!!」

「おいら、きつねそば食べて……あんまりお金持ってないから……50円にしてくんない……?」

「何のことだ……?」

「その……200ドルのボート……」


 ジェファーソンンン!!だからそれは召喚しちゃだめだってば!!ていうか、なに値切り交渉してんだよ!!


「そうですか……やっぱりだめですか……」


 交渉決裂しちゃった!!当たり前だよ!!200ドルから50円は無理があるよ!!


「一句できました……


ごめんなさい  お金が無くて  ごめんなさい  交渉するも  やっぱりだめぽ……


喜平……辞世の句……字……余り……ぐふっ……」


 やめてくれええぇぇ!!そんな悲しすぎる辞世の句は笑えないし突っ込めないよ!!ていうか、これ完全に逝ってるよね!?やばいよね!?どうすんだよ、これ!?これじゃぜってえ浮かばれねえよ!!俺なら化けて出るもん!!こんな時は本人、いや犯人に責任を取ってもらいましょう!!


「ちょ、玉希ちゃん!!どうすんだよ!!クロちゃん逝っちゃったよ!!」

「なんまんだ。はい、これでいいでしょ?」

「全然良くねえよ!!なんだその適当な経は!?成仏するどころかかえってたたられるよ!!」

「じゃあ、どうして欲しいの?」

「おめえ、妖怪なんだろ!?それもすんげえ妖怪なんだろ!?だったらこいつ生き返らせろよ!!ただし、The・悪利苦以外の方法で!!」

「分かったよ。良平君がそこまで言うんじゃ仕方ないね……」


 玉希ちゃんは軽くため息をつくとクロちゃんの体を抱きかかえ不思議な呪文を唱え始めた。


「ナウマク、サマンダ、ボダナン、キリカ、ソワカ……」


 すると玉希ちゃんの体から眩い金色の光が放たれ、それはクロちゃんの体を覆っていたばかりか、ふわりと宙に持ち上げた。


 うーん、実にそれっぽい。ここへきて初めて妖怪らしい不思議な能力を見ることが出来るかもしれない……


「ナウマク、サマンダ、ボダナン、キリカ、ソワカ……ナウマク、サマンダ、ボダナン、キリカ、ソワカ……ナウマク、サマンダ、ボダナン、キリカ、ソワカ……でえい!!」


 玉希ちゃんが一喝するとクロちゃんの体は物凄い勢いでどこかへ飛んでいった……ってお前これ単に死体を捨てただけじゃねえか!!根本的な問題は解決してないよ!!


「これでよし!」

「どこがいいんだよ!!誰が不思議な力使ってまで死体を遺棄しろつったよ!?俺はクロちゃんを生き返らせろと言ったんだよ!!」

「クロちゃん?誰それ?そんなキャラ出てきてないよ」

「へ……」

「良平君ったら変な幻でも見たんじゃない?」


 おいいぃぃ!!亡き者にするどころか無かったことにしやがった!!こいつ、どんだけ恐ろしいんだよ!!ていうか、待て……このままじゃ俺も……


“ガチャ”


 遅かったか……いや、俺にはまだ希望がある!そうだ、さっきと同じ台詞で乗り切れば……


「ちょっと待て、玉希ちゃん。君が何を言いたいのかは分からんが、その引き金を引けば俺は確実に死ぬよ?大好きな良君が死んじゃうよ?それでもいいの?」

「大丈夫、僕の心の中で永久に逝き続けるから」


 あ、やべ……こいつ、マジだわ。だって字がおかしいもん。何だよ、永久に逝き続けるって?どう考えてもおかしいだろ!?意味が分かんねえよ!!死んでんの!?生きてんの!?どっちなの!?いってる場合じゃねえ。いかんな、まずいな、すこぶるやばいな。俺が現実世界で生きていくにはこいつに逆らっちゃダメだ!!


「玉希様。何なりとご命令を」

「それじゃ、まずは徒然荘に連れていってよ。これから僕が住むそのアパートに」

「マジでございますか……?」

「挨拶もしとかなきゃいけないしね。その藤崎ミイナとかいうメス猫に」

「は、ははは……」


 やべえ……やべえよ……お前こんなもんアレだよ?ジェイソンさんにフレディさんを紹介してって言われてるようなもんだよ?もしくはエイリアン君にプレデターちゃんの住所はどこですかと聞かれてるようなもんだよ?絶対あわせちゃいけねえよ!!でも逆らうわけにもいかない……こうなったら……徒然荘に住む妖怪警察の二人組に何とかしてもらおう!!…………あんまり頼りないけど…………


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