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時の糸  作者: 茅凪幸葉
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勇士の祭り

それからゲンは時の頃合いを見てよく山へと出かけるようになる。目的はもちろんイトに会いに行くことで、野草薬草などを調達するフリや狩りをするフリをして毎回向かったのだ。

実際イトに教えてもらいながら野草薬草を摘んだり、魚取りや共に罠を仕掛けてキジやシカなどを狩ることもあった。

そして、二人はそれらを終えた後、知っている限りの遊びを一緒にした。

春には山桜の花見をしたり、その花びらの山に埋もれたり、手の平でいっぱいに掬っては上へと投げて、花びらの雨を二人で楽しむ。花びらだらけになって笑いあった。

夏には沢で水を掛け合い、笹舟を作って流してみたり、どちらが魚を取れるか勝負をした。夜近くの沢には蛍も現れ、二人でそれを眺めたりもした。

秋にはイトが綺麗な落ち葉を拾って押し葉にしたり、ゲンが栗を拾ってきて芋と共に焼き、秋の味覚と自然を楽しんだ。

冬には、雪が降り積もった中で雪合戦をし、雪だるまを作ってイトの家の前に並べた。雪が多い日にはかまくらを作り、そこに入って暖かいものを食べたり、話をしたりした。


そのうち、二人は互いの存在が当たり前になっていた。

ゲンと居る時、イトはとても嬉しく幸せだと思い、ゲンもまた、イトと居る時には自分が勇士であることを忘れ、普通の子のように過ごすことができたことで、満ち足りていた。村での鍛錬をする時には勇士となるためではなく、イトを守るためにするものと思えば自然と身が入ったのだった。

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