もしもライトノベルが五輪種目だったら
…さあ、前回から正式に五輪種目になりました『ライトノベル』もいよいよ決勝!各国代表が次々とゴールに向けて筆を走らせています!今大会最高のライトノベルを読ませてくれるのは果たしてどのチームなのか!?解説の斉木さん!
−非常に楽しみですね。是非日本代表にも優勝を狙ってほしいところです。
…ええ。『ライトノベル』発祥の国、我らが日本チームももちろん決勝に残っております。おおっと、最初に小説を持ってきたのは…!?
−中国チームですね。
…中国チーム!制限時間を悠々と1時間以上残しての、余裕の完成です!さあ、審判が拝読体制に入りました。果たして点数はどれほどになるのでしょうか!?
−前回大会で中国チームは非常にハイレベルな作品を見せてくれました。ただ、一読が難しい漢字や当て字を使いすぎて、減点対象になりましたからね。今回はきっちり修正してくるでしょう。
…なるほど。流石優勝候補と言ったところでしょうか!
−ですが、日本も悲観することはありませんよ!執筆速度が速いことは彼らの武器ではありますが、その分肝心の内容はまだまだ世界レベルには物足りません。後先考えずに投稿に走って、『起承転結』が破綻していることもしばしばです。
…さあ、中国チームが審査されている間に…今度はアメリカチーム!おおっと、何やら異変があった模様です。作者が机にも座らず、床に突っ伏して頭を抱えている!斉木さん、一体何があったのでしょうか!?
−あー、これは『スランプ』でしょうね。
…スランプですか!?
−ええ。恐らく『面白い小説』『上手い小説』を書こうとしすぎて、逆に1行も書けなくなったのでしょう。彼らは非常に自分に対する理想が高いタイプでもあります。
…なんということだ!今大会、決勝の舞台で前回覇者のアメリカがまさかのスランプ!試合の行方は俄然分からなくなってきました!そうこうしているうちに、日本だ、日本が会場に入ってきた!
−頑張れ、日本!
…その背中に汗が輝く!指のペンだこが、世界の舞台で堂々と踊っています!さあ、これで全てのチームの『ライトノベル』が出揃いました!決勝は中国と日本の一騎打ちだァ!会場の電光掲示板にも、世界各国30言語に翻訳されて代表作品が表示されました!
−非常に読みにくいですね。
…さあ…日本の作品は…。出たァ!チート能力に、ハーレム!異世界!斉木さん!!
−素晴らしいです!きっと今の『ライトノベル』では、高得点を狙えるでしょう!!