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象徴詩『火定』

人指し指に吊るした小さな箱

切り取った自分の小指が入っている

誕生日にあげよう

破ることを許さない約束の徴


滲んだ青インクを読む回らない舌は

厚く腫れぼったく

死体置き場の失語


グロテスクな黒穂の漣が眼下に蠢き

柩の螺子がキリキリと締められて行く


ジメジメした暗い沼地より

喪服の霊が現れる

母親の顔に似ているように

感じた


困窮者の末期を告げ

聾する程に泣き叫び

泣き崩れる


熔けて行く

靴底の泥を視ながら


無花果と鱗の腸詰を食べていた

石油ランプの吸殻に微睡んでいた

社会配線の銀鎖を

この身に巻いていた


傷だらけの硝子屋根に

石膏で作った御使いが黙って立っている


顔面に繃帯を巻いた少女が迎えに来た

鉛筆を突き刺した顔面の微笑


雷鳴が近付いて

冷たく煽る空気


雨が来る


こうなるなんて

夢にも思わなかった










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