第3章:血塗られた玉座
影が己の肉体へと消えた後、ロイドは村の廃墟の中に佇んでいた。神々に裏切られた前世の記憶が、彼の心を引き裂くように燃え盛る。この肉体こそが、自分を貶めるために神々が用意した「牢獄」であると知った今、その怒りはもはや誰にも制御できない。
「アヴェンティア……神々の代理人を自称する、あの忌々しい王国か」 ロイドは王都の方角を見据え、静かに呟いた。
彼が一歩踏み出すと、次の瞬間には空間を飛び越え、アヴェンティア王都の上空へと姿を現した。
眼下に広がるのは、いたる所に神像がそびえ立つ、光り輝く都。ロイドはその光景を、極限の嫌悪を込めて見下ろした。
「愚かな天界の連中め! 俺の偉大なる魂を、こんな汚らわしくも脆い人間の肉体に閉じ込め、羽虫どもに踏みにじられるのを期待したか?」 ロイドの咆哮が王都全域に響き渡り、街中のガラスが粉々に砕け散った。
異変に気づいた騎士や魔導師たちが、血相を変えて飛び出してきた。 「何奴だ! この聖なる地で神々を冒涜するとは!」
「黙れ、塵芥どもが」 ロイドが手を一振りしただけで、数千の騎士たちが凄まじい重圧に押し潰され、一瞬にして地面へと埋没した。骨の砕ける音が至る所から響く。
彼はゆっくりと王宮の前に降り立ち、天界の空を睨みつけた。 「見ていろ! 貴様らが蔑んだこの人間の器が……貴様らが創り上げたすべてを灰にしてやる!」
「神罰:紅蓮の黒雷」
宣告と共に、王都の空は血のように赤く染まり、無数の黒い雷光が天から降り注いだ。盤石を誇った城壁も、神を祀る神殿も、一瞬にして瓦礫へと変わる。絶叫が響き渡る中、ロイドはその破滅の光景の中で狂気的な笑みを浮かべていた。
「これは序章に過ぎない……。魔神が復讐に立ち上がったとき、天界ですら逃げ場はないということを、その身に刻んでやる!」




