第6章:下界神域への門(完結編)
干からびた数百の神々の残骸の中で、ロイドは両腕を広げ、深く息を吸い込んだ。屠った神々の歪んだ神気が、まるで宇宙を飲み込むブラックホールのように、一点へと収束していく。
「貴様らが俺を閉じ込めるために創ったこの汚らわしい器……。今や、最高神ですら直視できぬほどの至高の器へと変えてやる!」 ロイドの咆哮が地界を揺るがした。
その瞬間、胸の紋章が冷徹かつ圧倒的な紫黒の光を放った。ロイドの肉体は激しく震え、周囲の空間には目に見えるほどの「亀裂」が走り始める。前世の魔神の力と、奪い取った神々の力が融合し、全生命の限界を超越した『進化』が始まった。
――キィィィィィィィィン!
一瞬の静寂の後、世界そのものが激しく震動した。再び目を開けたロイドの瞳は、黄金の輝きの中に「刻の輪」が渦巻く異様なものへと変貌していた。もはや彼はただの破壊者ではない。周囲に織りなされる「空間」と「時間」の糸を、自らの指先で感知できる域に達したのだ。
ロイドが指を微かに動かすと、眼前の空間が歪み、過去と未来の情景が重なり合って映し出される。彼は虚空へと手を伸ばし、時間の一片を強引に『引きずり出した』。
「空間も、時間も……俺の手のひらの上にある玩具に過ぎない」 ロイドは狂気的な笑みを浮かべた。
彼が一歩踏み出すごとに、数千マイルの距離を瞬時に飛び越え、自在に時空を渡り歩く。受けた傷を過去に遡って無効化し、あるいは敵の終焉を今この瞬間に確定させる。理を超越したその存在感に耐えきれず、下界神域は音を立てて崩壊し始めた。
「天界の神々よ……見ているか? お前たちの創った籠が、今や神々の存在そのものを消し去る『凶器』へと成った瞬間を!」
ロイドが手をゆっくりと握りしめると、目の前に巨大な次元の裂け目が現れた。それは世界の理を歪め、彼自らが創り出した「高天神界」への直通門だ。
「この戦いの結末は……俺が今、この瞬間に書き換えてやる!」




