第八話 嫌悪
翌朝、勇治が大奥から帰って来た。
小姓は言った。
「お帰りなさいませ 殿 これから朝食ですので小座敷に来てください」
「そうか」
~~~小座敷にて~~~
小姓が言った。
「殿 明後日は南州中の藩主が殿の就任記念の対面に来る日ですね!」
勇治が上機嫌に言った。
「そうだな! 治男(表藩支城の海守城城主)に会うのが楽しみだ!」
「ただ勝男様と光内様が欠席されるのが少し残念ですね…」
勇治はため息をつきながら言った。
「光内はいいけど、勝男みたいなやつは来ない方が良いよ はぁぁ」
「どうしてそんなに嫌っているのでしょうか?」
勇治はイライラした声色で言った。
「えっとな…」
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あいつは子供の頃は人質として表城に居たので、良く会っていた。
あいつは頭のおかしい奴だった。
軍の大将としての才能は有ったが、それ以外は駄目だった。
家臣は自分のために仕事をしてくれるただのからくり、民は米を生産するだけの物。
そんな風に考えていた奴だった。
自分の利益のためなら何もかも、家臣も、民も、幕府さえも捨てるような奴だった。
これは私がまだ小さい頃、藩校で他の生徒との話し合いを行っていた。
たまにあいつも来ていた。
あいつは治世の討論にて何の迷いもなく言った。
「民は私に年貢を払うだけの存在。採れた米を全部藩の物にすればいい。」
そこに居た全員が唖然とし、微妙な空気が流れた。
そして数年たった今でも時々送られてくる手紙で考えが変わっていないことが伝わって来た。
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「そんな事が…」
「ああ」
~~そして二日後~~
南洲の藩主全員が集まった。
全員が勇治の血縁者だった。
表藩支城海守城城主、勇治のいとこに当たる 松平 治男
伊後国北部水入郡北部 徳入藩藩主、勇治のいとこにあたる 松平 門勝
伊前国多川郡北部、多川藩藩主、勇治の伯従父にあたる 松平 良勝
伊前国多川郡南部、崖海郡 崖海藩藩主、勇治の叔父にあたる 松平 元守
薪山国小水郡 納端藩藩主、勇治のはとこにあたる 松平 成治
が表城三の丸屋敷群に集結した。
次回予告
第九話 集結




