第70話 不安定な確実
しずめは、アドバンスウォーをプレイしていた。
ただ、そのほかのクラスメイトと違うのは、純粋な娯楽の為ではなく、自らの疑問を解消するためだった。
「よし、できた。」
重要NPCはストーリーが極度に逸脱しないためのアンカーとしての役目を持っている。
アドバンスウォーはファンタジーRPGであるが、意図しない世界観の変化によってジャンルが変化することもあり得る。
だからこそ、不変のNPCを用いて方向性を制御していた。
そのNPCの前にしずめはアイテムを並べていた。
「みんな。このNPCは多分、ゲームの方向性が変わらないように、決まった回答をすると思う。」
「そうだね。僕も何回かやったけど、いっつも”君は何のために戦うんだ”って質問されて、主人公は何も答えないんだよ。」
「そうなんだよ。多分、これって回答しないことで次のストーリーに誘導しているんだけど...こうすれば」
しずめは、NPCの会話に映る位置にアイテムを配置、それは
二進数だった。
1000 0001 1100 0011 1101 0011 1101 1111 0011
アイテムがあるとないで定義して、画面上に回答を用意した。
そして、NPCに話しかけると
”回答はcode0023に違反します”
とNPCが突如とエラーコードを述べた。
そこからゲームは目的を生成できず、実質的な進行不可能となった。
「しずめさん、何をしたんだ?」
「簡単なことだよ。ゲームが間違ってSFとかに路線変更しないようにしているNPCがあれなんだけど、その中でも育成ルートをとらせるためにあのNPCは配置されているんだ。」
「あー、そっかじゃないとすぐに魔王戦に行ってもおかしくないもんね。」
「そう。だからそのNPCにたたかいたくないってアイテムの置き方で文字を作ったんだ。」
「どういうこと?」
「1000 0001 1100 0011 1101 0011 1101 1111 0011は二進数で、それを十進数にして語呂合わせで、わたしはたたかいたくないって回答したんだ。」
「でも、それだけじゃバグるわけじゃないよね」
「うーん。他のNPCならそうだけど。このNPCは回答無し以外を受け付けないように指定されているから回答されたら何も答えられなくなるかなって」
「なるほど。すっげぇ」
しずめが雪乃に質問した際に、アンカーとなるNPCの存在は聞いていた。
だからそれが望まないことや望むことをするのではなく、できないことを強制したらいいだけだった。
「でも安心した。これでAIはまだ完璧ではないって」
「???」
しずめは、このゲームのAIが完ぺきな回答をできるならば、AIが人類を置き換える日々が来てもおかしくないと考えていた。
でもまだそこまでじゃないとしれたことが安心につながっていた。
その後、数名がプレイしてその日はお開きとなった。
「今日は楽しかったね。」
「にしてもしずめさんすごいな」
「ねー」
密かにクラスメイト達のしずめに対する好感度が上がった。
「じゃあ、また学校で。」
「じゃあね~」
しずめたちが帰路に就く中、社会では危惧すべき案件が始まろうとしていた。
前回の投稿について、一つお知らせがございます。
私の不覚なのですが、気づいたら日を跨いでいたようで昨日投稿する予定の物を本日に投稿している形になっています。
そのため、今回が本日投稿する予定の物になっています。
さて、現代ファンタジーとして様々な問題を取り扱っている本作品ですが、今回第5章で取り扱うのが「とてつもなく高度なAI」となっています。今はまだ、詳しくミヤビAIについて分かっていませんが、読者の皆様に簡単に理解していただくために少し解説をします。
世の中のAIは基本的に演算を主な動作としていますが、GTPを含め、我々が言葉で答えをもらえるようになっている部分は末端のシステムの部分になります。いわゆるソフトウェアという物ですが、基本的に意図しない操作や問題を防ぐということも含めて、基本的にGPTならGPT内で完結するものになっています。ただし、APIなどを使用して外部でもGPTの演算能力を利用できるようにはなっていますが、基本的にAI自らが行動することはありません。これは現在のAIではどのような形であっても先回りすることができないからです。なぜならば、人間のように意思がないからなのです。
それは、あまり重要ではないように見えるかもしれませんが、意思というのは今後のAIにおいてブレイクスルーを起こすためには必須の条件なのです。
皆さんは、自動販売機を使用する際にボタンを押して商品を選んでいますよね。
それが今のAIです。あくまで、命令に沿って演算を実行し、必要であれば干渉を行うといった感じです。
でもネットショッピングでは、あなたにおすすめという欄に欲しかった商品が並ぶことがありませんか?
それはAIに運営側がユーザーの傾向を情報に予測演算するように命令した結果です。
さながら、現在皆さんが手にしているAIとは手足のないロボットとたとえることができるでしょう。
では、そのAIによる予測演算が個人の癖や人格までも情報として使用して、自らが注文代行を行える土台が整ったらどうなるのか...
自ら考え、人間の先回りをして手助けをする存在。それはもうAIの領域を凌駕した別のなにかですよね。
つたない説明で申し訳ないのですが、なんとなくAIについて分かって頂けたのであれば、今後の展開がより面白く見えるはずです。
次回は明日更新。つづきを追いやすくするため、**ブックマーク(しおり)**で目印していただけると助かります。
また、作品のご感想やご意見もお待ちしております。厳しいご意見でも構いません。




