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天上のダイアグラム  作者: R section
第4章 停滞の意

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第65話 大いなる選択

―――2月3日 17時00分 種子島


「もしも、世界を支配するものがあるとするならばそれは人間じゃない。

それに、天上のダイアグラムはあくまで図だけなんだ。」


誰に話すわけでもない。


ただ空に向かって大佐は話す。


轟音とともに打ち上げられたロケットは地球の外へと歩みを進める。


―――同時刻 太平洋上空 日本行航空機


雪乃たちが乗っている飛行機の窓からは一本の筋が見える。


大佐のロケットだ。


「雪乃さん。あれロケットですかね。」


「このタイミングの打ち上げは予定されていないはずですが」


「ではUFOか何かですわ。」


「それこそありえな...」


ロケットの作る軌跡だけが見え、本体が大気圏を抜けた。


その時、雪乃の中にはUPDATE2.0の文字が浮かび上がった。


「これは予想外ですね。」


独りでに呟く雪乃だった。


―――2月3日 20時00分 MoRS本部


大佐と雪乃は本部でASAの検証記録ではなく、ASA発見者の名義で作成された内部告発書を確認していた。


「これで事実ASAはなかったことになります。」


「ああ、あとは進歩の停滞をなんとかするだけだな。」


「そのためにあれを?」


「それもあるな。ただあれはいずれやることだった。」


「そうですか。これでもう私は」


「詳細は後に説明するが、君は君だ。何も変わらない。」


「大佐...」


「さぁ、先に停滞を終了しよう。」


「もちろんです。」


―――2月3日 21時00分 SNS上


膨大なネットの海では、ASAの告発文書の話題で持ちきりだった。


そこに突如として、多数のアカウントがAIについての話題を話している。


「AIが進化した。会話して遊べる」

「これはすごいな。人間みたいだ」


ミヤビテクノロジーは以前、AI開発を行っていた。


敵の策略によってASAの作者に仕立て上げられる前の話だ。


その開発したAIは、現行のAIよりさらに人間に近いものであるとの情報がネットに流れていた。


爆発的に広まったミヤビAIは用意されたプラットフォームだけではなく様々な活用法が見いだされ、未来の技術として賞賛を得た。


そして、ASA事件の経緯の複雑さから物語性を感じ、同情の声も上がっている。


―――2月3日 21時00分 MoRS本部


MoRSでは、ミヤビAIについて総評を行っていた。


「事前の精査では、このレベルのAIであれば、人類の進歩を促すには十分と言えるでしょう。」


雪乃は評価を述べた。


「安全性や、悪用のリスクなどはどうなっている。」


「その点についてですが、ある程度の悪用は考えられます。どれだけセキュリティを施しても、このAIの利点であるオープンソースモデルでは改変を基礎的な運用としていますので。」


「そうか...それよりも、心理学者として気になるのは依存のリスクだ。」


「確かに、実在のモデルを学習させればある意味ディープフェイクのような運用も考えられます。ただ、テキストベースである点や、すでに映像化にかかわるAIは存在することからミヤビAIでなくてもそのリスクはあるでしょう。」


「だが、その結果、出生率や男女の差別に影響を与えることで、進歩の阻害になる可能性も考えられる。」


「おっしゃる通りですが、すでにミヤビAIを除くすべてのAI関連技術がそのリスクを抱えています。であれば、それによって旋律が乱れた時に我々が対処すればいいだけです。」


「そうだな。」


ミヤビAIは、発表されてすぐに爆発的に広まった。


翌朝には様々なネットメディアがミヤビAIを取り扱い、オープンソースであることが大きくAI社会を進めていく。


敵の存在は未だ見えない。


只、Jという文字が敵に付加された。


個人なのか、それとも集団なのか。


どちらでも構わない。


MoRSはそのすべてを調律する。

これにて、第4章完結となります。続いて第5章に入りますが、4章ではついにタイトルの伏線を回収する運びとなりました。


今後も、隠された伏線を回収すると思いますのでお楽しみに。


次回は明日更新。つづきを追いやすくするため、**ブックマーク(しおり)**で目印していただけると助かります。


また、作品のご感想やご意見もお待ちしております。厳しいご意見でも構いません。

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