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天上のダイアグラム  作者: R section
第4章 停滞の意

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第64話 個人の利益

雪乃と浅茅が到着すると、四人の男性が格納庫の内部に拘束されていた。


リーダーとみられる男に雪乃は


「起きなさい。」


と話しかけると同時に、平手打ちをする。


強制的に昏倒させられたとはいえ、体内のアルコールが分解されたころだった彼は


「いってぇ、なにすんだてめぇ!」


と激昂する。


「あなたには選択肢があります。雇い主の情報と、ASAに関する検証を行い虚偽を確定させるか、それとも」


「なんだよそれ。アインソフオウルなんてしらねぇよ。」


雪乃はあえてASAをエイエスエーと発音している。


だが男はアインソフオウルと発言した。


「実に滑稽ですね。諜報員相手にそのミスは」


「何言ってるかわかんねぇよ」


あくまでも知らないていで話をするようだ。


「では、お連れの方々に聞いてみましょう。」


雪乃は浅茅に目で合図を送る。


浅茅はナイフを取り出し、隣の男性の太ももを刺す。


「うわあああ」


突然走る猛烈な痛みが男性を覚醒させる。


「あんたら狂ってんのか?」


リーダーの男が青ざめた表情を浮かべる。


「いいえ。まったくもって素面ですよ。あなたたちと違って」


雪乃は何一つ表情を変えない。


足を刺された男性は叫び、暴れ出す。


それを聞いた、他2人も目を覚ます。


その中に、明らかに状況を理解しておびえた様子の人物がいた。


「やっぱり...」


そう漏らす男性は四人の中で、明らかに年齢層が上の男性だった。


「さぁ、皆さん目を覚ましたようですので改めて。皆さんには二つ選択肢があります。雇い主を明かして、ASAの検証を行うか。それとも」


そう聞くと年上の男性は


「雇い主についてはそこのチャラい男だ。ASAの検証については不可能だ。」


とすぐに情報を渡す。


「そうですか。残念です。」


再び雪乃が浅茅に目で合図を送り


後から目を覚まし、何もされていない男性ののどを切る。


男性は声を出そうと風の音をのどから出し、もがき苦しんだ。


リーダーの男性はそれをみて


「ちくしょう。なんなんだよ。」


明らかに悲しんでいる。


どうやら年上の男性以外は以前からの知り合いのようだ。


浅茅は続いてリーダーの男性に近寄る。


「なにすんだ。もうやめてくれ。」


涙を流すリーダーだったが雪乃はより一層冷たい声で


「いいえ、少なからずあなたは何も話していません。」


冷静に事実を突きつけた。


「分かった。分かったよ。雇い主だよな。」


「はい。」


「Jってやつだ。知り合いから美味しい話があるって言われて一緒に乗ったんだ。」


「Jと知り合いなのですか?」


「違う。今足を刺されてるやつが俺の知り合いだ。」


「じゃあJとは?」


「しらねぇ。そいつも知らないって言ってた。ただ家に日時と場所が書いてあって、そこから何回か現地に書置きしてた指示に従ったんだ。」


「なるほど。ではあなたは何者ですか?」


「ただの一般人だ!しいて言うなら地元で悪さしてたけど。」


「そうですか。」


Jとはいったい何者なのか。それが探していた敵かどうかもわからない。


「では最後に。ASAをどこで?」


「最後の指示で、モルディブ行きの飛行機に乗ったときそこのおっさんがぶつぶつ言ってたから聞いたんだ。ASAってなんだって。そしたら...」


言い終わるより前に雪乃は男の首を落とした。


明らかに異常な光景だった。


人を殺したことではなく、素手で男の首をもいだことこそが異常だった。


浅茅も明らかに動揺していた。


「え...今何を。」


思わず声を発した浅茅を雪乃の冷徹なまなざしが襲う。


すぐに視線は足を刺された男性に向かい。


男性の足に刺さるナイフを抜いた。


「グっ...ううぅ」


衰弱し、血と涙でドロドロになった男性はもう何も話せる様子ではない。


雪乃は中年の男性の方へと向かい


「ASAについて知っているのはあなただけのようですね。」


また、冷酷にただ述べた。


「若者をむやみに殺すとは。あまりにも残酷だな。」


中年の男性は哀れな表情を浮かべた。


「個人の利益を優先して、命を軽んじること。それは社会のリズムを乱す重罪です。」


「それでは、電車で優先座席に座る若者にも、君は同じことをするのかね」


男性もまた、冷静だった。


「いいえ。それはまず状況によりますが、その結果大きく社会を乱すことではありません。」


「そうかい。これでわかった。君たちは日本の諜報員だね。」


事実は違うが、雪乃はこれを待っていた。


「ええ、そこまでわかるならこの先も分かりますよね。」


「ああ、そうだな。じゃあ手短に」


男性は語った。ASAとはいったい何なのか、ミヤビテクノロジーは何をしたのかを。


それを聞いた雪乃と浅茅は四人の死体を溶解液に入れ、日本行の飛行機に乗った。






次回は明日更新。つづきを追いやすくするため、**ブックマーク(しおり)**で目印していただけると助かります。


また、作品のご感想やご意見もお待ちしております。厳しいご意見でも構いません。

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