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天上のダイアグラム  作者: R section
第3章 価値の器

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第45話 怪しげな少女

大佐が作戦開始を告げてすぐ、在原は写真の少女を探しに出ていた。


テーマパークには決して遊びに来ていたわけではない。


始めからこの作戦を実行するために、この場所で待機をしていた。


そして、在原は少女の写真から少女がいるであろう場所をすでに特定していた。


そして、その場所へ向かう道中


「にしても大佐は何をお考えになってるのか...」


在原は愚痴をこぼす。


テーマ―パークには、大きな城が鎮座している。


その城はテーマパークの大本が扱う作品に登場するものだが、その作品は少女が主人公である。


在原は少女の写真をみて、少女が少なからずその作品を気に入っていることを予測した。


「もしも、あの子がよんどころない事情によってここにいるのであれば」


わざわざ大佐が非人道的な手段を用いるということは、それなりの事情があるという事。


その対象が少女であれば、その少女はただの子供ではない。


そういうもろもろを考え、導き出されたのは


「ここかな。」


城が一望できる場所、そして人が少ないが人目がないわけではない場所


二つの条件に一致する場所がそこにはあった。


「君、大丈夫?」


ごく自然に、たまたま見かけて気になった様子で在原は少女に声を掛ける。


返答はない。


殆どが無視をされれば引き下がる。


だが、在原はそうでない普通を演出する。


「もし、困ってるなら係の人を呼んでくるよ。」


当然、不審な少女が応答しない理由はほとんどが知らない人と話してはいけないと教育されているから。


であれば、その施設の職員を呼ぶことになる。


だが、少女に迷子のようなありきたりな理由以外の事情がある場合は別だ。


「おねぇさん、私はここにいなきゃいけないの。」


少女が喋る。


もろもろの事情なんておそらくは理解していないだろう。


ただ、信頼できる何かになんども言われたことをそのまま述べる。


「そっか、どうして?」


在原は分かっていてあえて聞く


「お父さんに言われたから。もしも自分に何かあってもしっているひとがくるからって」


少女の目には涙が浮かんでいる。


おそらく尋常ならざる場面でここにいるように言われたのだろう。


「そうだね。お父さんに言われてあなたを安全な場所に連れて行くように頼まれたの。」


ありきたりな誘拐構文のようだが、少女の様子から不安が見て取れる。


そして、周りの客たちも少女に不信感を抱いている。


係が来てもおかしくはない。


であれば少女はその空間的不安を感じ、安心できる場所に行きたくなる。


「わかった。」


少女は在原と共に、業務用通路へ向かった。



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