第42話 予測される停滞
通貨、それはおそらくもっとも多くの人類が共有する価値だろう。
単位は違えど、様々な国と地域で利用されている。
では、その価値が損なわれたらどうだろうか?
―—12月4日 警視庁公式会見
突然メディア各所に対して、警視庁から会見の連絡があった。
内容は伏せられたまま、ありとあらゆるメディアが集められたこともあり、開始前の会場はざわざわとしている。
「あー、それでは警視庁より国民の皆さまへご報告させていただきます。」
壇上に上がったのは警視総監だった。警察のトップである警視総監がわざわざ会見を行うのは異例であり、会場には緊張感が漂う。
「結論から申しまして、完璧な偽造通貨が流通しております。」
...会場は一瞬にして凍り付いた。
「現在、警察すべてのリソースを割いて調査を行っておりますが、まったく手がかりがつかめていません。」
「現物として特定の一万円札が大量に出回っており、明らかに偽造ではあるものの、銀行システム等の金融システムには問題なく認識されており、偽造である以外に何の問題もない通貨となっています。」
「そのため、実際に流通している量が把握できないほど流通している今、事実が発覚しました。」
メディアの記者はほとんどが動揺していた。
その後警視総監から述べられたのは、偽造通貨の流通と対策ができないという言い訳ばかりであり、何ら対策は講じられていない。ということだけであった。
メディアは大々的に取り上げるか選択を迫られた。
――翌日 国会議事堂 緊急国会
昨日の会見はすべてのメディアが発表を見送った。
しかし、SNSなどで情報は一部流出し、結果として緊急国会が開かれた。
議題は「偽造貨幣による経済テロについて」
内容の重大さから、非公開で開催となっているが、メディアは傍聴を許された。
但し、国家と企業で情報開示は国家が認めた場合に限るとの契約の上だった。
「初めに、財務大臣より現状の経済状況についてです。」
「財務大臣の稲岡です。現状、偽造通貨の流通での経済損失は10億円ほどとのデータがあります。」
稲岡は続けて述べる。
「これはあくまでも日本銀行が発行していない偽造通貨の流通量のみであり、通貨の信用破壊によって起こる経済活動の衰退は含まれていません。」
会場がどよめく
「続いて、対策についてですが...内閣より、対策案が」
「内閣総理大臣の石田です。この偽造通貨は共通のシリアル番号を持っていると判明しており、日本国内の取引システムにこの番号の通貨を弾く設定をついかし、偽造通貨による経済損失を止める策を提案します。」
「この案に対して投票を行います。」
静かに、石田総理の内閣が考えた対策案に対して投票が行われた。
結果は賛成多数。
すぐさま、情報解禁が行われ各メディアが対策案までのすべてを報道した。
――12月4日 午後 MoRS本部 指令セクター
国会の結果はメディアの報道より少し早く、大佐のもとへ届いていた。
しかし、大佐は非常に落胆し、雪乃は副指令席に座ったまま、硬直している。
安全のため、しずめも指令セクターに集められ、MoRSの構成員の多数が各セクターへと集めれた。
大佐と雪乃が動かないことで、妙な空気が指令セクターを包んでおり、殆どの人間が静かに作業をしていたが
「ふぅ...なぜわからないか、それは答えがないか。」
「よし、では始めるぞ」
大佐の宣言で全人員が動きを速める。
それと同時に中央指令室の大型モニタにタスクリストが表示される。
そのリストの目標は第一目標は暴動の阻止だった。




