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天上のダイアグラム  作者: R section
第3章 価値の器

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第39話 疑念の増加

翌日 11時00分 都内某所


事前にMoRSは飽和作戦を展開したこともあり、崩壊に至るほどの情報偏向はなかった。


今まで通り、レプリカでもデザインが良ければ満足する人や、本物でないと納得できない人など、個人によって意見が異なっていた。


平凡な日常の中で、しずめは生活用品を買いに複合施設へと足を運んでいた。


様々な専門店が隣り合う複合施設では、店員がタイムセールのお知らせを告げる声や人々の雑談が日常を演出している。


「とりあえず、ドラッグストアでトイレットペーパーと・・・」


買う物の確認をしながら通路を歩き、目的地へと向かうなか、とある店舗が目に留まった。


「ルイス・ヴィンテンって有名なブランドだよね。」


特段興味があるわけではなかったが今日はなぜか気になった。

しずめにとって、興味以外の気になるものの多くが、異常な存在である。


経験に基づく直感が、その店に行けとささやいている。


気づいたときには、何気なく直感に誘導されてルイス・ヴィンテンに足を進めていた。


「やっぱり高いね。」


当然だが、到底中学生には買えない金額の商品ばかり陳列されていた。


「う~ん・・・でもなにか気になる。」


もやもやとした気持ちが心の中を埋め尽くした。

言葉にするのはとても難しいが、何かがある。


直感はそう告げていた。

暫く店の前で考えを巡らせていると、いかにも金持ちといった風貌の夫婦が店に入った。


するとすぐに店内から何から言い争うような声が聞こえてくる。

しずめは気になって聞き耳を立てた。


「これここで買ったんだけど偽物だって査定でいわれたのよね」


どうやらクレームのようだ

店員は慌てて履歴を確認している。


幾つか確認を行ったり、客が怒りをあらわにしたり、やり取りが続いたが

最終的には店員から


「査定はあくまでも見る側が一方的に決める者ですので

当店で購入された履歴も証明ある以上査定した者のミスでしょう。」


と結論が出てその場は収まった。


そのやり取りを見ていたしずめは違和感を募らせていた。

「(そこまで本物にこだわるって生きづらいと思うけど)」

純粋な疑問がこころの中を埋め尽くす。


そして、気づいたときにはすでに走り出していた。


答えを知っているかもしれない人物のもとへ


――11月29日 18時00分 


しずめが向かった先は廃線の高架だった。どんよりとした空気が、薄暗い雰囲気を醸し出しているそこはMoRS本部への入り口の一つだった。


高架下の壁面にスマートフォンの絵が描かれている。一見すると落書きにしか見えないが、よく見るとMoRS支給の携帯型端末と瓜二つである。


「もしかしてかざせってことなの?」


しずめは恐る恐る端末を絵に合わせる。


すると殆ど音を立てずに壁面に扉が現れる。


「うん。聞いたことないよね。無音の隠し扉なんて」


若干呆れ気味にしずめが呟く。


純粋な少女は真実を求めて先へと進んでいく。

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