第117話 確実の保証
はやりの風邪にやられてしまいました。長引くのがなかなかにつらいですね。
さて、今回は浅茅が再登場しましたね。
次回も懐かしいキャラが登場すると思います。
今章が複雑になっているので、ざっくりとおさらいをしておくと
①地方で情報災害かも?
②大佐が現地入り+観測調査
③多数の地方で発生 (歴史が改変されている)
④仮説立て=誰かが意図的にすり替えたのかも
⑤マッチポンプ発生=変えた歴史の事実をばらまく
⑥社会の精神状態が不安定になる。※これが攻撃
⑦MoRSが調律に動き始める←いまここ
歴史を変えれることがまずとんでもないですが、変わったことに気づかなければ問題ありません。
只、敵はこの事実を自らばらまくことで社会の崩壊(過去の否定)として攻撃に利用したわけですね。
今までの調律活動においては原因の特定と、その原因を修正することで調律を行っていました。
今回はこの原因自体が敵により利用され、これを修正したところで解決には至りません。
白票ミームの章と似たような部分もありますが、敵が表立っての先導をしていないのが今回の厄介な点ですね。
ではどうするのか...それはこの先の話にご期待ください。
―――大洗町
大佐は依然、現地での観測任務を続けていた。
だが、一度広がった波はとどまるところを知らない。
青森で情報感染が広がり、大洗にもその波が来ていた。
「どうして俺はこんな料理を...」
煮っころがし屋の店主は肩を落としていた。
「店主、どうされたのですか?」
雪乃は駆け寄る。
「俺ぁ、大洗の干し芋に誇りをもってたんだ。だけんどそれを醤油やらでケガしちまって」
「そうですね。誇りを汚されてしまいました。だけど、それは偶然じゃない。誰かが意図的に大洗を洗脳したからでしょう。」
「ああ、そうだ。許せねぇ」
大佐は煽る。
大洗の民の標的を未だ姿すら見えない仮想敵に据える。
本来ならばそのようなことは悪手でしかない。
だが、今回は不安定になることが一番良くないことだった。
「私が探します。犯人を。」
「旦那...旦那は一度俺たちを救ってくれた。それだけで十分だ。」
「いえ、これは私に課せられた試練なのです。」
「旦那...協力は惜しまねぇなんでも言ってくれ」
「では、まずは煮っころがしにすり替えられる前、五月の間に変わった観光客をみませんでしたか?」
「そうだなぁ...」
Jなのか、そうでないのかはわからない。
ただ、敵対する何者かが現地で心理工作をしているのは間違いないだろう。
「そういえば、若いのに一人でやたら変な恰好の人がいたな。」
「というと?」
「いやぁな...フードをかぶってたんだが妙に落ち着いているというか、観光にしたら感情が薄いような奴でさ。干し芋を買いに来た時に話しかけてきたんだよ。」
「なるほど。なんとなく異質な雰囲気ですね。」
「そうなんだよ。それにあいつ丁寧に何かを言い残して...いたた」
「大丈夫ですか?」
「なぜかうまく思い出せない。」
「分かりました。少し休んでください。」
そう告げると同時に雪乃が
「(端末越しに失礼します。先ほどの情報を元に近隣のCCTVのデータをチェックしたところ該当の人物は発見できなかったのですが)」
「(続けろ)」
「(はい。店主の話にあった時間、店主は誰かに話をする様子が確認できました。)」
「(相手の容姿は?)」
「(何も。影も形も記録されていません)」
「(...となるとやはり)」
「(はい...)」
「雪乃、近隣で同じ証言が取れないか調べてくれ、必要に応じてCLASS-3までの暗示を許可する。」
「承知しました。」
「それと、エイレーネ。話は伝わっているな?」
「もちろんです。マスター」
「では、電子的情報から件の人物を洗ってくれ。以後、該当の人物を広域重点観測対象-γとし、呼称をKで統一する。」
「ラジャー。」
「それと雪乃、青森や沖縄、地方観測官にも同じ情報を伝達してくれ。」
「承知しました。大佐は?」
「しずめを連れて一度指令セクターに入る。」
「承知しました。ご武運を」
―――MoRS本部 幽世 指令セクター
「大佐、お待ちしておりました。」
「浅茅か、情報の機密性は?」
「フェーズ5、一切の干渉はありません。」
「さすがだな。では、現時刻をもって指揮権を戻す。」
「了解しました。MoRS司令セクターの指揮権を返上、代理指揮官から副指令補佐へと回帰します。」
諸手順を終えて大佐は指揮官席へと座る。
そして、通信チャンネルを全体へと切り替えた。
「これより、今回の地方歴史改変事案に対し調律作戦を実行する。それに伴い概要の説明を行いたい。」
普段の調律とは違う雰囲気を感じ取った全構成員が傾注する。
「本作戦は、地方で発生した歴史改変とそれを利用した心理係数の意図的な低下に対して、MoRSが調律を行うことを”主”目的とする。」
「大佐、主ということは副次目標があるのですね。」
「ああ、加えて以前より断片的に観測されている敵対する何者かを発見、捕獲することを”副”目的とする。」
司令室がどよめく
目的に敵に関するものが含まれるのは初めての事だった。
「静かに!!」
浅茅が声を上げる。
「有難う。しかしながら、現状は敵に関する技術的情報がない。さらに、推定ではあるがこの敵は我々の技術すら超越している可能性がある。」
「ですね。」
「なので、今回の副目的が安全に遂行できないと判断された場合には、その目標を放棄または変更する可能性がある。」
「承知しました。」
敵が技術で勝るのであれば、おのずと危険度は跳ね上がる。
大佐や雪乃なら大丈夫であろうが、構成員の多くが敵の罠に気づけないだろう。
「続いて詳細だが、今回は広域に干渉する必要がある以上、地方観測員との連携や実働部隊の投入が不可欠である。そのため、詳細は各セクターに対してこの後伝達する。」
「それと、今回の任務でMoRSの存在が社会に示唆される可能性のある行動の一切を禁止する。これは最優先事項だ。」
多くの者が”いつものことでは?”と疑問に思っただろう。
だが、今回は”一層”注意しろという意味を含んでいる。
MoRS史上類を見ない広範囲の作戦であるから当然の事であろう。
ついに動き出すMoRSの行く末はいかに。
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